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2009年6月17日水曜日

ルーヴル17世紀展

 ルーヴルの17世紀展はもう終わってしまったけれど、たいへん良かった。
 <上の絵は、Claude Lorrain, c.1648>
 
 ぼくは見通しが甘く、最終の金曜(12日)に、会議を終えて 18:40くらいに国立西洋美術館に駆けつけてみたら、「待ち時間80分」との掲示あり、20:00に閉館なのにどうするんだ‥‥。
 でも慌てず騒がず‥‥いつだか東博の北斎展もそうでしたが、結局は、閉館30分前までに行列した人々を入れないわけには行かないのだから‥‥と割り切って、西洋美術館右隣のオープンカフェ的空間で、アイスクリームで血中糖を補いました。 上野公園も、昔よりはすこし、初夏の都市的空気を醸しだすようになってきました。 Stadtluft macht frei.
 19:05に戻ってみましたが、なお行列は短くなるどころか、さらに長くなってる様子。まだ明るいので、だれかの原稿を読みながら、長いとぐろを巻いた行列をとぼとぼ進みました。
 入館は20:05、‥‥最終的に閉館を告げられて売店から出たのは21:05.

 したがってちょうど一時間かけての観覧でした。もうすこしゆっくり見たいとは思ったけれど、展示のコンセプトは明らかで、17世紀オランダ・フランスの古典主義のインパクトが伝わる企画です。ルーヴルやナショナルギャラリに行けば、容易にもっとたくさんの作品に囲まれるけれど、17世紀という時代の精神を一度に味わうには、この程度が適切で必要十分なのかも。
 イタリア・フランス・オランダという国境をこえて西欧全般にひろまった civic humanism の美術的現れとして見ると、クロード・ロランもジョルジュ・ドラトゥールも、すばらしい時代の証人(witness of the age)です。
 そういえば、昔の談話室で、こんなやりとりがありました。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/GalleryTalk.html

 (つづく)

1 件のコメント:

  1.  レンブラントの若い自画像も一つだけ出品されていました。ルーヴル美術館 学芸員デュコスによる解説では、
    「‥‥オランダのエリートたちのこの貴族化は、他のヨーロッパ諸国(特にフランス)の絶対王政によって発展した優雅さや権力のモデルに魅せられたものであり、レンブラントのこの自画像において、きわめて明瞭に示されている。」
    とありますが、これは間違っています。
     それこそフランス中心主義ゴーマン版というのだよ。事実は逆で、オランダを意識し、レンブラントを模して17世紀後半のヨーロッパは展開するのです。フランス絶対王制の結果でなく前提としてオランダの繁栄があったことを忘れないように。

     人気のフェルメールは、まぁ、好みの問題。静謐な室内画ということなら、今回の「レースを編む女」よりは、新国立美術館で展示したシャルダン(『歴史学再考』のカバー絵)のほうが、よいかな。
     いずれにしても、次の展示は京都でしょうか。行って再見しようかな。

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