『中世の都市 史料の魅力、日本とヨーロッパ』(東京大学出版会)
→ 〈年報都市史研究〉の若手グループ8名が、史料の形状を見せつつ、日欧の史料論を展開。豊富な写真もふくめて議論は具体的。とても啓発的な出版だと思います。
『国民国家と市民 包摂と排除の諸相』(山川出版社)
→ こちらは東京外国語大学のグループ11名。何年か前には『国民国家と帝国 - ヨーロッパ諸国民の創造』を同じ出版社から出していましたね。
市民といっても英語のタイトルでは citizenship. なるほど、と思いましたが、しかし副題をみると
in- and exclusion in a civil society
とあり。この前半は「気どって」いて悪くないが、しかし a civil society というのが問題的。
∵1) a を付けたことによって、この共著がある一つの具体的な市民社会のケーススタディであるかのように示唆してしまう。ところが事実は「それぞれの現場からの諸問題を‥‥大胆に呈示することにした」という 諸 論文集。
2) civil society というからには、「共通理解となる概念規定」ないしそれに向けての明示的な議論はどこかで必要ですね。 あとがきは、その点、たいへん正直です。
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