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2010年5月7日金曜日

CUL




 ぼくがこれまで利用した図書館のうち、一番合理的で気に入っているのが Cambridge University Library.
 特定の書物や手稿史料、学位論文については Bodleian や British Library、ときに Chetham や Manchester Central Library に行くしかないのですが、落ち着いて、自由な発想でしっかり研究しようというときには CUL ではないでしょうか。なにしろ開架で、貸し出しもするし、また写真のような slip を本に挟み込んで署名することによって、任意の机で「ここはわたしのコーナー、この本はいじるな」と宣言することができる。
 この朱色のスリップ(縦 17cm)は、じつに30年前から変わってない!(左下の [19] というのは無かったかな)
 ケインブリッジを出て今はロンドン大学教授である Julian が言っていました。史料調査はあらゆる文書館、図書館に出かけて遂行するとしても、本の執筆の最終段階、校正時には CUL がなければ仕事にならない、と。ときどき(少なくとも数年に一度は)この参考室(Reading Room)に帰ってきて、高い木造の天井と窓からみえる空を眺めつつ、自分の研究の意味を再考し、人生の priority を練り直すことをしないと、知的 integrity を保てない気がする‥‥。
 東大の総合図書館団地と似て、それを大規模にしたようなもので、外からみるとほとんど長方形の敷地に8層の建物がつらなります。正面の塔は日本の国会議事堂と似た設計。戦間期の建築思想のコスモポリタニズムに思いいたります。(それにしても東大の総合図書館が、じつは「図書館団地」の4分Ⅰさえも占めていないというのは恥ずかしい事実です。教育学部も * * 研もすべて追い出して、同じ敷地に地下10階、地上10階の全館図書館・文書館・研究センターを再建すべきです。)

 そうそう、出発が10日間狂ったので、いったん荷に入れたものを再度出して仕事したりしたものだから、必携のものをいくつか日本に置いてきてしまった。『民のモラル』もその一つ。なぜか『文明の表象 英国』や『江戸とロンドン』、Workhouse issue, Town & county directories... などは、持参しなくてもこのCULに所蔵しているのですが。『民のモラル』は無い‥‥
 どうするか。5月12日まで、もうあと1週間ないとなれば、頭の中にあるものを信じて議論する以外にありません。

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