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2010年6月1日火曜日

Did you know?



 イギリスの司法の末端は、ヴェーバのいう名望家支配の典型=治安判事がしきる四季法廷でになわれ、重罪事犯になると、中央から巡回してくる高裁判事のもとで行われる Assizes が一種、州共同体の祭事のように機能した、と自分でも書いていました(『民のモラル』;『伝統都市』第4巻)。高裁はあっても最高裁はない、or 貴族院の law lords が決裁する、という理解です。
 貴族院は立法府でありながら司法の最高機関でもあり、(アメリカの議会と違って)国家元首が出席するか、欠席の場合も玉杖が Crown in parliament を代表具現する。

 日本やアメリカの、三権分立を厳しく設定した憲法になじんでいると、イギリスの司法と立法の「癒着」は際だちます。法曹のなかでも barrister は弁護士だったり判事だったり、そもそもみんな Inns of court のメンバー。いったいこれでよいのか! と感じていました。
 わが友人の妻は去年まで barrister だったのですが、今年から判事殿です。日本では弁護士と裁判官の人事交流は稀ではないでしょうか。それに日本の判事(判事補)さんは、3年ごとに任地を転勤して(地域インタレストに左右されない裁判をおこなうためだそうです)、たいへんな生活を送っておられますが、イギリスではローカルな勤務が認められ、自宅家族の居住地からあまり遠くない裁判所に通勤する例が多いようです。

 そうした現状に「革新」の大ナタがふられることになったのは、EU人権裁判所からの意向でした。2005年の国制改革法により、2009年10月に貴族院から The Supreme Court of the UK が独立して、12人の判事が構成する司法の最高機関=最高裁が確立したのです。
 ようやく形式的にも三権分立となったわけです。しかも最高裁の場所はウェストミンスタ、議会と修道院の対面、かつての Middlesex Guildhall、すなわち財務省のはす向かい。司法・立法・行政、そして教会が Parliament Square を囲むことになりました。
 ご存じでした? ぼくはほんの数日前に知りました。(あいかわらずスコットランドは刑事裁判の最上級審だけは自国内に堅持するようですね!)

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