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2010年5月20日木曜日

Whitsun feast



 今日19日(水)は、これぞケインブリッジという一日でした。

① 朝7時、blackbird (クロウタドリ) の美しい歌声で目覚め、Cengage からはじつに感謝すべきメール。もともと Chadwyck-Healey はケインブリッジの企業だったといっても、感激雨あられです。なんと、わが CUL は The Making of the Modern World (Goldsmiths-Kress Library) を持っていないのですよ! と書いたら迅速な対応をいただきました。

② 朝のBBCテレビにわが学寮長さん。UKの高等教育についての調査報告書をまとめたというので、テレビのインタヴューはおざなりだが、お疲れさま。

③ 午前から午後にかけて、去年公刊された Jo の最初の単著をようやく落ち着いて読み、自分用の索引を書きこむ。きわめて重厚で議論は明快。生命の長い本であることは、すぐに分かります。亡きお父さんへの謝辞もしっかり刻まれて。
 しかし文献目録をつくらなかったことの弊害のようなことも、見える。学者の最初の単著は、なんといっても大学の校務がきびしくなる45歳より前に著すべき、ということでしょう。ぼく自身の単著も46歳。ちょっと遅かった。彼女のもぼくのも、あと10年早く出るべきだったかな。

④ 夕刻5時から Trinity Hall にてプリンストン/パリから来た Jeremy Adelman の Morality and markets: thinking about Albert Hirschman in the 1970s を聴く。exit, voice, loyalty についての現代経済社会学の割り切った人の話かとおもえば、そうではない。1968年以後の倫理と啓蒙とマキァヴェッリ以降の人文主義(資本主義精神の起源論)、そしてケインズ、ギンズブルグ、ラテンアメリカ政治、そして disengagement with the American economists!‥‥なんて面白いんだ。なんて日本の戦後歴史学(大塚、高橋、丸山、堀米)は狭く自己限定して、発展の余地をみずから刈ってしまったんだ。近代主義=禁欲主義。
(ぼくの周辺で言えば)八木紀一郎、二宮宏之、毛利健三を結ぶ線は、存在しなかった。かろうじてこの三人とお付き合いがあったのは、ぼく一人か。それぞれの人に感謝しつつも、一歩前に出るべきなのかも。
 
⑤ 夜の予定があるので、討論が終了しないうちに自転車に。Trinity Hall の角を曲がったとたんに出くわしたのが、Bill Speck. あんたどうしてケインブリッジに? えっ、しかも Clare Hall? 想像を絶する遭遇。あす1時、ランチをともに、という約束をして先を急ぐ。


⑥ こんどの日曜23日は復活祭の49日後、Whitsunday (Pentecost). 夏の始まりということで、Clare Hall の水曜のディナー(今晩)も特別に Whitsun feast. 予約のうえに男性は black tie というドレスコード。ダークスーツは用意してきたが、黒タイなんて持ってないので、M&S にて出費。ぼくの奥さんは、出発時の混乱で真珠のネックレスとか装身具をみんな置いて来ちゃった(ことに今日になって気づいた!)というので、直前にあれこれ着替えて、どうかしら。いつだかオクスフォードで招待されたときは dinner jacket と二度も念を押され、夫婦で貸衣装を借りたことがあった。今回の案内状を見直すと、そもそも Lounge suit or black tie とある。or なのだった。ガウンもない学寮なので、ちょっと略式でよいことにする。
 7:30の開場時間を過ぎても二人であたふた(日本は背広ですべてを済ませる略式の国だ‥‥)。
 7:35に Hall の手前のラウンジに行くと、ドイツは Goettingen 出身の Peter につかまる。幸か不幸かゲティンゲン大学はハノーファ公国でジョージ1世、2世が投資したケインブリッジ大学図書館の兄弟的存在なのです。ひとしきり話は盛り上がったが、学寮の割り振った席割りでは、Peter 夫妻とぼくたちとはテーブルの対角線的位置。
 8:00のドラでそちらに移動。普段より良い料理。というか、ワインは白が Sancerre, 赤は Haut Medoc, デザートに 1988年のポルト、ということでいつもとは水準が違います。
 ディナー後のコーヒーと懇談では、昨夜お話をうかがった James C から、畳みかけるように、戦後日本の政界トップに CIA からどれだけ現金が渡っていたか、という話。悲しいけど、しっかり弁えておくべき事実。
 酔っぱらって、これを書いています。

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