菅義偉が自民党の総裁選挙に立候補したときから、ぼくは懸念を表明していました。
→ http://kondohistorian.blogspot.com/2020/09/blog-post.html
この人は政権の実務をあずかる能吏かもしれないが、No.1 になる(権力を代表具現する)にはふさわしくない人なのです。何より public speech ができない。むずかしい問題となると、担当官に言わせるか、事前に熟慮した想定問答集のメモにたより、失言しないようになるべく短く答える。
これは官房長官だったときの、あのでかく厚い帳面の端の付箋です。
→ https://www.asahi.com/articles/ASN962V20N93UEHF008.htmlなぜか朝日新聞 Online(9月7日登載)に一つや二つでなく10以上も類似の視角からの写真があります。見てみましょう。
たくさんならぶ付箋をよく見ると(クリックすると拡大)、「岸田 30万円」には上に「共」、 「30万円 妥当性」には「日テレ」、 「30万円 理由」には「朝」と朱書されている!
つまりそれぞれ共同通信、日本テレビ、朝日新聞が質問する予定項目(そして答弁)が並んでいるのです!次の写真の場合は、
「IMF予測」に「共」、 「布マスク配布」に「朝」とか朱書されて並んでいますが、それらの付箋の一番上には
一つだけ薄青い紙で「山口代表」とあります。つまり公明党の山口代表とのネゴ、あるいは配慮についての想定答弁・メモが(この場合は何社からの質問でもなく)用意されていた! 例の困窮家庭30万円給付から全国民一律10万円給付への転換( → 岸田政調会長の凋落の始まり)の直前に公明党の介入があったことの証拠でもあります!
菅おじさんは、こうした念入りの想定問答集がないと記者団の前に立つのが怖い。丁々発止、臨機応変のやりとりは苦手なのでしょう(岸田、石破、河野とは違うタイプです)。総理大臣に就任してからは通例の記者会見は9月16日のみ、それからはあのパンケーキ朝食会をはさんで、10月5日には読売新聞、北海道新聞、日本経済新聞の3社、9日には毎日新聞、朝日新聞、時事通信の3社に限定して「グループインタヴュー」なるものを設営しただけです。3社が総理を囲むように座して(予定の質問を発し)、他の記者クラブ各社はそれをただ傍聴する。当日志望の他のマスコミはクジで当選したら別室で音声のみを傍聴する(!)とかいう設営。
なにかとんでもなく「公共性を怖がる首相」を自由民主党は選んでしまったようですよ。外国メディアからあきれられても、当然です。菅個人というより、こうしたことを横行させる自民党、マスコミ、そして有権者の問題です。
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