アポロン(太陽神=美青年)さん、日曜のコメントありがとう。
オンライン学術情報に限られることなく、知の戦略という問題だと考え、独立のスレッドとします。
取り組み、支援‥‥について、それぞれの場でできることをするしかないと思います。とはいえ、ルートのないまま、個人で財務省や文科省や国家戦略担当相に意見書を送っても、また『朝日新聞』に投書してみても、ほとんど無駄でしょう。【万一にも担当課長や、政権ブレーンに知り合いがいたら、是非とも個人的信頼関係を築いて、実態を訴えてほしいですが。∴科学官さんは、重大なお仕事、頑張ってください!】
ただちに考えられるのは、
1) その筋、すなわち学士院や学術会議、そして史学会や歴史学研究会などが、熟慮した決議と議論を根気よく提起すること。
2) そして、世論作りではないでしょうか。NIIも、政治家も、世論のバックなしには何もできません。
1, 2 のうち、とくに 2 については若者・院生にもできることは一杯あると思います。
1, 2 いずれについても「学問・人文科学・古典教育は、大切だ。尊重されたい‥‥」なんていう星菫派の論理ではなく、もっと今日の(非英語国)ドイツ連邦や大韓民国における具体例を挙げつつ、日本の知の戦略を積極的に議論する必要があるでしょう。だからといって、そのさいにぼくは単純な「グローバル主義」や「ハードアカデミズム」論は採りませんが。【星菫派とは加藤周一さんの語ですが、『文明の表象 英国』も見てください。】
そう、簡単で効果的な方法が、もう一つありました。
3) 何より「世界一でなくちゃいけないの?」「無駄をなくそう」って議員は落選させることです。ケインズ経済学でも新古典派経済学でも、産業連関を考えない政権が続くなら、国は滅びます。
じつはぼくの新年度、ケインブリッジでのテーマは、マンドヴィルの「私悪は公益」論の積極的な受けとめ and/or E・P・トムスンのモラル・エコノミ論の再審、おそらくは乗り越えです。18世紀前半のイギリスで、公共性と moral philosophy がめざましく展開したのは、ご存じのとおり。ハーバマスの市民的公共性は、まさしく私人が欲得づくで担ったものですし、ブルーアは『スキャンダルと公共圏』で、問題のありかをカラフルに描きました。
今の日本国の第1の悲劇は、いかなる経済学的基盤も理解ももたぬ populist, amateur 政権が総選挙の結果として造られてしまったことでしょう。第2の悲劇は、学問の世界の基盤や水準もまた、怪しげになってきていることではないでしょうか。
近刊の『イギリス史研究入門』も『イギリス史10講』も、広くアピールしたい著作です。
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