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2011年1月27日木曜日
『創文』と相川さん
旧臘のことですが、創文社の月刊誌『創文』が終刊。いろいろなことを考えてしまいました。
→ http://www.sobunsha.co.jp/pr.html
相川養三さんが『創文』の編集責任者になられたのはいつだったのでしょう。80年代から何度も「おみやげ」の本とともに訪問をうけ、執筆も依頼されていました。それというのも、紹介してくださったのは二宮さんで、ルフェーヴルの『革命的群衆』を美しい装丁で出版なさった直後。「本はきれいだけれど、高くて学生には買えないよ」などと勝手なことを口にしました。ゾッキ本ではなく、洗練された造本に値する内容の本を作りつづけて、何十年でしょう。
そもそもぼくが学生として創文社という出版社を意識したのは、マックス・ヴェーバー〈経済と社会〉シリーズの翻訳、なかんづく世良晃志郎訳『支配の社会学』上下あたりが最初でしたか。高いかもしれないが、これだけ丁寧な訳注をつけてくれるのだから文句は言えない‥‥。まだ駒場の学生として、西洋中世・近世史、そして世界史の基礎知識はもっぱらこのウェーバー翻訳シリーズによって学びました。本郷に進学してからも役にたちました、ヴェーバーをちゃんと読んでる西洋史の学生なんてほとんどいなかったので。
本郷に赴任してからは、ぼく自身が繁忙で『創文』への小文の寄稿、そしていただく本の書評はかなわなかったので、青木さん西川さんなどに手助けしてもらいました。John Brewer, Sinews of power の日本での最初の紹介は、青木さんによる『創文』だったんですよ。
『史学雑誌』や『思想』みたいに重くない、軽快な知的雑誌としての魅力はつづいて、そろそろぼく自身もなにか書かせてもらえるだろうか、などとぼんやり考えていたところ、昨秋に相川さんから留守電。
以心伝心、とうれしい気持でようやくお話ししたら、なんとご病気で、年末に退職する、これまでの愛顧に感謝‥‥とのことで、絶句しました。
相川さんの居ない『創文』はないので、終刊。なんとも明快で、かなしい結末です。
月刊の『創文』は、かくして消えましたが、その後、廃刊はあんまりだ、と惜しむ声が強く、季刊の『創文』として復刊したことは、みなさんご存じのとおりです。
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