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2011年7月4日月曜日

本郷の変貌 - 楠を切る愚 -

 ご無沙汰しています。またもや悲しいニュースです。

 先のエントリから6週間もあいだが空きました。
 理由として、例年より2コマ多い授業;柴田先生関連の追悼文の執筆(『史学雑誌』7号)や 7月14日の準備とかいったこともないではありません。しかし何といっても、総合図書館前で写真に見ていただくような変な工事が進行して、驚愕し、動揺し、しかもこれを推進している方々がぼくの知らない人々ではない、という事実に当惑して、無力感にさいなまれている、というのが大きい。


 5月26日、文学部教授会において、鈴木先生がじつに冷静・簡潔に、1923年関東大震災の戒めの象徴である噴水(地下は貯水池)と楠の大樹2本を、2011年東日本大震災の年に破壊するという東大執行部の案は愚劣にして驕慢、と説いてくださって、これで安心と思いきや。
教授会関係者がほとんど本郷にいない6月4日(土)に、写真のような工事が速やかに遂行されたのです。枝ばかりでなく、根回りも「処置」されました。ほとんど重機の前に投身して、業務妨害=阻止行動をとりたい気分でした。

 東大の総合図書館書庫問題は、もう20年前から議論されていて、ぼくは今の建物の真下の地下か、農学部の野球場の地上および地下に10層の書庫を建築すべきだと言い続けていました。予算がかかりすぎるとかなんとかいった理由で、むずかしいとされてきました(本気に検討されたことはあったのでしょうか)。
→ http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/contents/ac.html
 今回は、それゆけ現(文系)執行部のうちに、という拙速案で、歴史も記憶も景観も思慮も、どこかへ吹っ飛んでしまった。たった300万部の図書のために、楠の大樹2本と、立派な噴水を抹消するなら、現執行部と新図書館構想会議のメンバーは将来にわたって呪われるでしょう。(300万部って、ケインブリッジ大学中央図書館の3分の1にも満たないよ!)

 みなさん、工学部の公園スペースの緑のなかに、前田藩のお女中の呪いを鎮めるための灯籠が、いまでも大事に保存されていることを、ご存じですか。新図書館構想会議のメンバーである歴史学の先生方が、歴史を粗末になさるのを端で見ているのは、じつに悲しく虚しいことです。

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