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2012年12月17日月曜日

安倍政権という展開!


 総選挙の結果ですが、民主党の失政、小選挙区制、小党乱立、東アジア情勢、いつまでも続く不景気、などなどの複合的な結果(contingency)だろうと思います。投票率が低かった、ということも自民・公明には有利に働いた。一言でいうと「自民党と公明党の地滑り的な勝利」ですが、鳩山由紀夫以来の民主党政権のあまりの無責任さ・稚拙さが、こういう形で懲罰された、といえます。
 ぼく個人としては、現在の日本政治は政界再編の途上(移行期)と考えていますので、その芽が育っているのかどうか、に注目したい。そうした点から憂慮すべきことが3点あります。

a. なにより安倍晋三政権の内向き右翼の言動は、もし今回の「圧勝」で増長するなら、日本国を奈落の底に突き落とすでしょう。
 父・安倍晋太郎(もと外相)の御曹司とはにわかに信じられないほど、国際センスも政治センスもない。政治的無能(とマスコミの甘さ)という点では、左右正反対だけれど、民主党圧勝後の鳩山政権と似ている。
 首相の靖国参拝によって‥‥途中は省略しますが‥‥日本経済は大きく傷つき、これまで誠意ある日本人が築きあげてきた国際的信頼は失墜します。新政権は景気浮揚・公共投資といった言を弄していますが、それらもすべて靖国によって国際的には無に帰するでしょう。

【ぼくは、二世議員だからダメなどと、ナイーヴなことは言いません。ほんの数年前には福田康夫、麻生太郎と、二世ではるかにましな首相がいましたが、日本のマスコミは、こういった知的な政治家を嫌う傾向があります。ピットもピールもグラッドストンも二世議員でした。】

b. 石原慎太郎。こちらもゴーマンで品格のない言辞で「庶民」・おじさん・おばさんを引きつけてきました。ハッタリで大衆を掌握する二流文筆家=政治家という点では、ほとんど19世紀のディズレーリに似ています。【ちなみにディズレーリも二世議員!】

【安倍、石原のご両人とも、日本国民なら御霊を祀る靖国に参拝するのは当然しごく、という立場らしい。「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」を祀る所なのだから、というでしょう。
しかし、カマトトでなければご存じでしょうが、靖国神社とは東条英機を祀り、西郷隆盛を打ち棄てる神社です。1978年の東郷合祀以来、昭和天皇も今上天皇も参拝していないことは、みなさんご存じのとおり。 両陛下のほうが、安倍・石原よりはるかに聡明で、筋を通しておられます。】

c. 低投票率。想定外の好天ゆえに、投票率が低く、マスコミが(おもしろ半分に)期待した第3極は伸びず、堅実に票固めをしていた自民・公明が漁夫の利を得た。
 これは有権者大衆の責任です。国民がもし目先のことに(ニワトリの条件反射のように)反応するだけで、自分と社会の来し方行く末を考え、政治的な意思表示をしないとしたら、将来は身から出たサビ。ぶつぶつ不平不満を述べる資格さえないでしょう。愚かな国民には愚かな政治がふさわしい。

 ポピュリズムとは別のところで、真剣に、立ち入って議論すべきは、長期的な社会経済政策であり、この国のかたちだと思います。歴史学の出番かもしれない。

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