2022年1月30日日曜日

寒中お見舞い申しあげます

 年が改まって、なかなかご挨拶が遅れました。

 ぼくや家族が健康を害しているとかいうわけではありません。たしかに年相応の故障はありますが、そして Covid-19 (という名称にそのしつこさが表れています!) のニュースが毎日の憂鬱要因ですが、なんとかやっています。ただ12月31日の記事にもしたためましたとおり『歴史とは何か 新版』の最終局面にあり、- 普段のぼくには珍しく - 選択と集中の体勢でいます。そのぶん失礼の段、みなさまには申し訳ありません。

 そうこうしているうちに、本日『みすず』no.711 (1・2月合併号) が到来。恒例の「読書アンケート」です。これは百数十名による読書案内というだけでなく、執筆者の個性と現況がうかがえる企画で、毎年楽しみにしています、書き手としても読み手としても。むかしは丸山眞男や、二宮宏之の書いたものをフムフムと読んでいたのですが、最近は毎年、キャロル・グラック、徐京植、ノーマ・フィールドといったみなさんが力作を寄稿なさいます。執筆者の年齢も若返って、年長の方々よりは団塊の世代が多く、さらにずっと若い人々も増えました。

 というわけで、今号は 
・八木紀一郎『20世紀知的急進主義の軌跡 - 初期フランクフルト学派の社会科学者たち』(みすず書房, 2021)


・岸本美緒『明清史論集』計4巻(研文出版, 2012-21)
・立石博高『スペイン史10講』(岩波新書, 2021)
・バーリン『反啓蒙思想 他二篇』(岩波文庫, 2021)
そして
・Jonathan Haslam, Vices of Integrity: E. H. Carr 1892-1982 (Verso, 1999) に登場していただきました。
バーリンとハスラムはE・H・カーがらみです。バーリンの論文選は、これからも岩波文庫で続刊とのこと。ハスラムの伝記については邦訳があることは存じていますが、『誠実という悪徳』とかいう訳タイトルはありえない。むしろ「学者としての本分(integrity)ゆえの数々の欠点(vices)」といった意味でしょう。of は由来・理由です。