2009年12月25日金曜日

A merry Christmas!



 このところ毎年末、医学部本館の正面に illumination が演出されて、予期せず出くわした人々を驚かせるのですが、今年は事業仕分けで中止かな、と思っていたら、23日から一挙にこんな夜が出現。
 (じつは終電まぎわには消灯してしまうようで、だからぼく一人が気付かなかっただけのこと?
 昨日・今日と、夜9時・10時には部屋を出て、したがって早めに医学部前を通過しました。)
 とにかく、クリスマス後にもしばらくは楽しめるのではないでしょうか。皆さんも、どうぞ!

2009年12月23日水曜日

こんな本



 東大出版会のつけた副題は〈日本語のアカデミック・ライティング〉。
 『留学生と日本人学生のための レポート・論文表現ハンドブック』という主題では、ちょっと縁がないかな、と思いながら手にしました。まず目に飛びこんでくるのは、あらゆる漢字にふられた総ルビ。キー表現には英語が添えてあって、これと、ちょっと見にはミスマッチではないかと思われた。‥‥
 しかし、この200ページ余のハンドブックの半ばから後半には、驚きとサプライズが埋め込まれていて、ビックリ!(といった tautology はいけません)目が覚めました。

 では、と落ち着いて、留学生ならぬ、日本の高校を出て大学に入学したフツーの学生、そして彼らに毎週接しているフツーの教員たちは、この本をどう利用するだろうか、という観点で見なおしました。
 第Ⅰ部は、大学に入りたての1年生向けレポートの手法案内。
→ 知的な高校2年生の「主題学習」にも応用できるかもしれない。とはいえ、東大の3年生で、ここに記されている基本さえ分かっていない者もいるんです。

 第Ⅱ部は「レポート・論文の表現」というタイトルで、日本語教育の観点から、かなり具体的に示すテクニカルな文体指導。例文もたっぷり。
→ これって、しかし、大学の『紀要』の執筆要項としても有益です。つまり、大学の先生がたの日本語も、じつはこの水準で、問題なのかもしれない。FD のテキストにしては、いかが?

 第Ⅲ部「レポート・論文の接続表現」は、その効果の重要性ゆえに、第Ⅱ部から分離独立したかと思わせる。
 とくに、並列、選択、焦点化、累加、換言、例示、補足、反対陳述、対比、結果提示、帰結、解説、 etc. にわけて「語句や文の論理的な関係を明確に示す」ためのスタイルを、たくさんの実例とともにデモンストレーション。
→ 英語の Connective expressions, if appropriately used, ... という条件句が生きています。
 日本語でできた文章が複雑だったり、dull だったり、混濁しそうな場合は、英語でどう言うか、と再考すると、good idea が浮かぶこともある(ない場合は、‥‥諦めるかな)。
 自分の文体について、常にここまで意識して構築していたわけではないので、反省しきり。

 本体価格2,500円。

 結論。本書のタイトルは「留学生と日本人学生のための」という部分は不要で、単純に『レポート・論文表現ハンドブック』とするか、あるいは、いっそ『日本語アカデミック・ライティング』というのがいいかもしれない。
 学生も、教員も、とくにⅡ部、Ⅲ部を読んで、みずからの文章を自己点検しましょう。

 欧語文献の表示法、註の付けかた、についてもっと詳しければ、文句なしに西洋史の院生にも薦めます。しかし、学問分野によって文献の表示法、註の付けかたはさまざま多様なのだから、「分野の違いに関係なくそれぞれの目的に合わせて利用」することをうたっているこの本では、それは望蜀というものでしょう。
(歴史学でも、古代史と近代史、また英・独・仏・米で違うのはまだしも、Oxford 方式と Cambridge 方式でも異なるんだから、困ってしまう! 今やっている『イギリス史研究入門』でも、じつはこうしたことで難儀しています。)

2009年12月19日土曜日

風邪です

 この1週間ほどのあいだにメールや電話で「ついに新型インフルエンザに罹った」「風邪です」といった来信があって、でもこちらは不思議に「なんでもないなぁ」と思っていたら、ついに直撃されました。光ファイバや電話線でも伝染するんですね!
 熱も症状も非常にひどくはないので、ふつうの cold でしょう。1日だけ休んで、他は出勤して積もりにつもった仕事を片づけよう、という殊勝な心がけですが、あまり効果はないようです。
(あの Max Weber が56歳で亡くなったのは、1920年、いわゆる「スペイン風邪」pandemic の尻がりでした。)
 関係者の皆みな様、すみません!

2009年12月7日月曜日

18世紀データベース、いくつも

 いま、似たようなデータベースがトライアル利用中で、どれがどうだったか、錯乱しそうです。どれもそれぞれ有益。以下に整理してみましょう。

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1. ECCO I & II
 これは、ご存じ ECCO の元来(I)の15万点には落ちていた、遺漏分データ(II)を追補すべき5万点です。
合計してどれほどの包括性があるか、使い込んでみないとまだよく分かりません。全文検索データベース充実の長い道程の途上でしょう。

 Cengage Learning Japan/雄松堂あつかい
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2. The Making of the Modern World
 よく知られている Goldsmiths-Kress Library of Economic Literature 1450-1850
すなわち30年くらい前に(?)マイクロフィルム化されて、経済学部(経済学史)の強い拠点大学の多くにすでに入っている ロンドン大学・ハーヴァド大学(+α)の稀覯本コレクション。
 でも経済学史だけじゃありません。ぼくの 『民のモラル』pp.14-15 で、女房売りの文脈で用いた『女性‥‥にかんする法律書』という1777年刊の大冊子は、東大経済の Goldsmiths マイクロで読みました。法学、社会文化史、ジェンダー史のいずれにとっても、宝庫です。

 ところが、東大の図書商議会は、昨年度、このデータベースについて「マイクロがすでに入っているなら緊急性はないだろう」といった、賢明ならざる決定をしました。‥‥大いに問題あり。
一々の稀覯本を読むというより、なによりデータベースとして分析的に使うと、すごい威力! 使いでがあります。ぜひ院生を含む、学際的な利用者の多さを考慮にいれて、あらためて判断してくださいな。

* 17th and 18th Century Burney Collection Newspapers
* 19th Century British Library Newspapers
* The Making of the Modern World 
トライアルではこれらが一緒に利用できます。

Access URL: http://infotrac.galegroup.com/itweb/ken_demo
Password: 「パスワードは tiger になります。
有効期限は新たに12月31日までに設定させていただきました」とのことです。大いに使って、「すばらしいデータベースだ」という学内世論を高めましょう。

 Cengage Learning Japan/雄松堂あつかい

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3. Eighteenth Century Journals Portal

 こちらは Bodleian (Oxford), University of Texas (Austin), British Library & Cambridge UL が所蔵する18世紀の種々様々の定期刊行物データベースを合体したポータル。
取次店は丸善です。
www.18thcjournals.amdigital.co.uk
期間は1月末まで。
東大図書館のサイトにも公示。
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/

¶ さっそく試用、キーワード検索してみました。
 検索は自由自在だけれど、ダウンロードは許さないように設定されていますね。検索結果をテクストで一定範囲、コピー&ペイストすることは可能です。

2009年11月20日金曜日

RHS Bibliography の改編



今夕、こんなメールが来ました。いよいよ1月には有料化するのですね。
『イギリス史研究入門』のリソース表示も修正しないと‥‥
なお、IHRのイーアン・アーチャさんは、オクスフォードの近世史イーアン・アーチャさんとは別人です。念のため。

NEWS FROM THE Royal Historical Society Bibliography

A message from the Academic Editor about free trails of the new Bibliography of British and Irish History

You will doubtless be aware of the impending withdrawal of the free service provided by the RHS Bibliography of British History, and its rebranding as the Bibliography of British and Irish History (BBIH), the result of a partnership between the Royal Historical Society, the Institute of Historical Research, and Brepols Publishers. The switch over will occur on 1 January 2010.

We are delighted to announce that individual free trials of BBIH are available from now until 31 December. Please go to [a:http://apps.brepolis.net/LTool/Entrance.aspx?w=19&h=pwd] and use the following login and password :

Your login: BBIH06

Your password: BBIH06

Institutional trails by IP address range are also available; please contact [a:mailto:brepolis@brepols.net] for more information.

We entered into the partnership with Brepols, after considerable deliberation, with the aim of securing the long term future of the Bibliography, as well as significantly enhancing the quality of the resource. Brepols was chosen by the RHS and IHR because of its long-standing expertise in producing high-quality databases....
Among the enhancements offered by the new BBIH are significantly faster searching, an auto-complete function, an auto-record count per search field, and extended export possibilities. A detailed brochure describing BBIH can be downloaded [a:http://www.brepols.net/publishers/pdf/Brepolis_BBIH_EN.pdf] here. You can also view the slides from my [a:http://weblearn.ox.ac.uk/site/human/modhist/personnel/785598/research/Presentation%20on%20Bibliography%20of%20British%20and%20Irish%20History%20at%20NACBS,%206%20November%202009.ppt]

You may wish to take up the issue of subscription with your librarians who should contact [a:mailto:brepolis@brepols.net]brepolis@brepols.net for information on pricing (institutional subscriptions in the US are based on the Carnegie classification of institutions, those in the UK on JISC banding. Individual subscriptions are also available.) It's possible that the RHS Bibliography (as a free resource) has not been very visible to librarians, so you may need to engage in some local lobbying!! <以下、中略>

Ian Archer
Academic Editor, BBIH

2009年11月14日土曜日

Eighteenth Century Journals Portal

丸善および図書館からの連絡で
Bodleian, University of Texas (Austin), BL & Cambridge
に所蔵の18世紀定期刊行物データベースについて、トライアル設定をしてくれるとのことです。
まもなく東大図書館のサイトに公示されるでしょう。すこしお待ちください。
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/
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”Eighteenth Century Journals Portal” のトライアル設定が
完了いたしましたのでご報告申し上げます。
www.18thcjournals.amdigital.co.uk
期間は1月末までです。
なお、
図書館に相談のうえ、可能であればIP認証にさせていただければと思っております。
経過につきましては、改めてご報告させていただきます。
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みなさん、10月24日付けの Cengage トライアル ↓ もまだ生きていますので、お忘れなく!
(ただしpwが修正されました。11月28日)

2009年11月1日日曜日

秀丸メール



 ぼくが使っている mailer は「秀丸メール」というシェアウェアです。簡単明瞭、軽快でスパムなどの仕分けもしっかりやってくれて気に入っています。多言語・テキストでメールをやりとりする合理主義者だったら、手放せないでしょう。
 1990年代終わりに東大文学部でデフォルト供給されていたのは AL mail でした。簡単明瞭、軽快ではあったが、
1) 迷惑メールが増えるにつれ、文サーヴァを通りぬけてきちゃった迷惑メールを仕分けできず、かつまた
2) 正常のメールでも相手の設定次第で文字化けするケースも少なくない。
というわけで、PCを変えたのを機会に、模索したあげく、エディタ「秀丸」の仲間である「秀丸メール」にたどりついた、というわけです。
http://hide.maruo.co.jp/software/tk.html

 これにしてから1年あまり、文字化けのケースもほとんどなくなり(相手がハングルや繁字体で書いていても OK )、スパムの仕分けもしっかりやってくれます。

 ただし、注意力散漫のまま「簡単振り分け設定」を設定すると、たいへんなことになる。
たとえば今日のようにブラジル発(.br)か中国発(.cn)かよく分からないメールが
From: Krystina <kondoアットl.u-tokyo.ac.jp>
Subject: Your tutor's information
と粉飾して来信したとすると、 → あまり考えずに、特定の発信者からのメールをはじくために
From: <kondoアットl.u-tokyo.ac.jp>
はすべて「着信を知らせることなく」
+「自動的にゴミ箱へ」
と「簡単設定」してしまうと、大変。自分の発したメールはすべて受け取れないことになってしまう! 

 万が一にも、皆さんのところに
From: Krystina <kondoアットl.u-tokyo.ac.jp>
Subject: Your tutor's information
という粉飾スパムが着信してしまったとしても、「特定発信者」としてはじかないでくださいね!
 ちなみに、このメールの来歴などを調べるために本文中に指示されるウェブサイト(www. *** .cn)を慎重にクリックしてみたら → クスリのサイトに自動転送されました。

2009年10月24日土曜日

科研費の季節に

 <17日の記事には誤解をまねく記述もありましたので、つつしんで訂正いたします。>

 16日(金)には、午後の授業を終えて、東洋文化研究所の黒田先生の組織なさった貨幣史のセミナーに呼ばれて Craig Muldrew (of Queens, Cambridge) の話を聞きに行きました。経済史とは文化史なり。将来を担うべき研究者だが、残念ながら口頭報告は上手じゃないね。その後直ちに出版社へ移動して、むずかしい企画編集案の会議。

 夜は、うまい鰻を食って帰ってみると、研究支援チームより下記のメール到来。

 文科大臣は、あるいは現政権は賢明に政策遂行しているか? 文教予算を渋ることは国家百年の計をあやまつことになります。
 庶民でなく statesman であればこそ、「もったいない」とか「(すぐに)役にたつか」とかで歳出をやたらに削減しないでください。また、公明党や国民新党みたいにほとんど衆愚政治的な「ばらまき」でもなく、しっかりと産業連関、傾斜配分といった、戦後日本の政府がかろうじて保持してきた長期的視点を堅持してくださいね。
 刮目して見守りましょう。
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関係部局科研費担当係 御中

本日、文部科学省及び日本学術振興会より、平成22年度科学研究費補助金の
公募について、平成22年度「概算要求の見直し」に伴い、下記課題の新規募
集課題を停止する旨の通知がありましたのでとり急ぎお知らせします。

【新規募集を停止する種目】
 ・若手研究(S)
 ・新学術領域研究(研究課題提案型)

つきましては、貴部局の研究者に広く周知するとともに、既に上記種目の
研究計画調書を作成中の研究者に、個別にご連絡いただけますようお願い
いたします。

文科省該当ページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1285813.htm

学振該当ページ
http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_091016_2/index.html

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Newspapers Collection トライアル



以下のとおり Cengage の厚意で
17世紀、18世紀、19世紀の新聞コレクションにアクセスして利用することができます。
東大に限定されることなく、どこからでも利用できる、はずです。
金曜午後の講義で言及していたオンライン・データベース(商品)の試用期間です。

積極的に活用し、意見や要望がある場合は、フィードバックしましょう。
ご所属大学での正規導入をお考えの場合は、下記の Cengage に交渉してみて下さい。
(近藤のブログで見たと言ってくださって結構です。)

近藤 和彦
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ご要望いただきましたデータベースの設定が完了しました。

設定概要:
*17th and 18th Century Burney Collection Newspapers
*19th Century British Library Newspapers
*Making of Modern World

Access URL: http://infotrac.galegroup.com/itweb/ken_demo
Password: sunshine
→ 修正します。「パスワードは tiger になります。
有効期限は新たに12月31日までに設定させていただきました
。」11月28日修正


Cengage Learning Japan
センゲージラーニング株式会社
Tel: 03-3511-4446
Web: www.cengage.jp/gale/
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2009年10月13日火曜日

RHS bibliography


 Royal Historical Society から emailにて bibliography 更新のニュース。
 これはご存じ、イギリス史・アイルランド史にかかわる公刊された(英語の)文献は、論文も著書も、すべて網羅しようという企画で、上手に使うと役にたつことこの上ない。
http://www.rhs.ac.uk/bibl/

 試しに k kondo で quick search にかけてみると → 5件が引っかかりました。なぜこの5件であって、他は採択されてないのか、理由は不明ですが。ただ今回ようやく AJC の Proceedings (2003, 2006) が2つとも採択されたのは喜ばしい。
一般に harumi goto や yoichi kibata でも 4・5 点づつヒットしてまぁ英語の文献検索としては悪くないのかな、と思わせますが、しかし、現状では完璧からほど遠い。

 たとえば、試しに hiroshi takayama で探してみてもヒットは無し。English Historical Review を採らないのはなぜ?
toshio kusamitsu ではヒットするのが唯一これだけ↓ History Workshop Journal を無視するの?
'Yanagi Muneyoshi (1889-1961) and the British medievalist tradition'. In Daniels, Gordon; Tsuzuki, Chushichi (ed.), The history of Anglo-Japanese relations, 1600-2000, vol.5: Social and cultural perspectives (Basingstoke: Palgrave, 2002).
 そしてある日本の故人については、なぜか日本語論文集や大学紀要論文ばかり計5本も採択されている‥‥といった、どうかと思われる点はいまだ残ります。

 それにしても構築中のものとして、無視できない、むしろユーザとしてどんどん意見を呈するべきデータベースでしょう。

 イギリスの文献データベースとしては、Copac もあって、こちらはUK内の所蔵図書館を示し、かつ一定の面ではRHSよりずっと包括的だったりするので、上手に使い分けるべきでしょう。
http://copac.ac.uk/search

2009年10月5日月曜日

Office 2007 ライセンス認証問題

Dynabook はすばらしいのですが、インストールしたマイクロソフトの Office 2007 ライセンス認証問題に悩まされていました。2008年にNECデスクトップと同時にきちんとアカデミックパックで購入して使っていた正規製品です。
 デスクトップと携行ノートと計2台は正規にインストールし利用できる、という理解ですが、今回のようにハードディスク問題で再インストールを繰りかえしちゃった場合については、ネットで検索してみても、面倒くさそうで、うーん、と先送りにしていました。
ところが、自分はワードもアウトルックも使わなくても、大学やダレソレが添付してくる文書はワードやエクセルばかり。そのたびにメッセージの「あと何回」が減って、ついに日曜にはあと1回!!

 その日曜の晩には、わがパソコンの師古谷先生との間で、以下のようなやりとり【抜粋】がありました。

2009/10/04 19:35 Kazuhiko KONDO :
  現在、Dynabook SS RX2 TJ** というので仕事しています。
  快適なマシーンです。
  唯一の問題は、MS Office 2007 の認証に問題ありとのメッセージ‥‥。
  不正使用してるわけでは全然なく、9月のNECデスクトップ機器の不具合で、
  なんども再インストールを繰りかえしてしまったから、こちらのノートパソコンは
  想定許容回数を越えているということらしいが。

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2009/10/04 22:43 daisuke.furuya :
この問題につき、すでにご覧になっているかもしれませんが、MSのホームページで情報を見出しました。

http://support.microsoft.com/kb/919895/ja
いろいろな問題が想定されるようですね。もしライセンス認証だけの問題でしたら、
LAN環境ではなく、直接電話をかけて入力する方法もあります。電話は機械対応です。

それにしましても、Dynabook SS RX2 は外見はスリムながら実にゴージャスな仕様で
すね。僕は今は完全にMacに移行してしまいましたが、IBM謹製 ThinkPadなき後、
キーボード重視派にはこれしかないかも知れません。

〈to be continued〉

2009年10月2日金曜日

ぼくの美人秘書



 9月に PC関連ではいいニュースはなかったのですが、22日にもしたためたように、
壊れたPC=NECのかわりに注文し、納品されても、AJCの終わるまでは開箱さえできなかった最新鋭の Dynabook SS RX2 という美しい逸物。ようやく20日に箱を開け、インストールし、ただちに大学および自宅で使い始めました。
 これはどうも大学生協の限定販売らしく、CPU は 1.4GHz、メモリ3GB、記憶装置はハードディスクでなく SSD で128GBです。967グラム。 薄くて美しい! 速い! 静かで熱くならない。
 Dynabook とぼくは相性がよく、じつは何を隠そう、家族のものを含めるとこれで4台目です。一番最初、2002年に三菱財団の助成をいただいたときに買った物が良かったから、その後もノートパソコンといえば第一候補は常に ダイアナならぬ Dyna でした。上の写真の右側がその最初の Dynabook SS5 です。XP で安定していたこと、Pen III 800MHz ですが、当時のノートPCとしては十分な能力。デスクトップにソニーの LX55G という、これは 1.7GHzの逸物を 同じ2002年に買ったばかりでしたから、2つのコンビで快適なPC生活が始まったわけです(とにかく ME、そして Gateway の悪夢の後でしたから、なおさら快適でした)。
 これはよく使い込みましたので、スペースキーは黒く照り輝き、A、O、N、M などは爪が当たって文字の角が剥げかかっています。5年間のうちには、ヒースロウ空港で荷の上からコンクリート床に落下させたり(一晩看病して息を吹きかえしてもらいました)、ときにはぶん殴ったり、夜間にさわれないほど熱くなったり、酷使によく耐えました。ついに昇天しましたが、感謝の意を込めて、いまでも保管しています。

 Dyna SS の利点を考えると、2つありました。
1) なにより keyboard が広く、構造が堅牢で、薄く美しい。というのでどこに出かけるにも一緒。モバイルパソコンは、小さいことではなく、薄くて軽いことこそが重要だと信じます。どうせ鞄の中ではA4の書類にはさまれて移動するのです。パナソニックの Lets Note に触れるたびに、よくまぁ世間の人々はこんなに狭いキーボードで文章入力ができるな、と感心します。
 ところがしばらく前、IBM の ThinkPad が市場から消えたころから Vaio や Lets Note の攻勢で、またごく最近は廉価でおもちゃみたいなシロモノの流行で、正統派のキーボード重視の商品が青息吐息でした。大学生協の店頭で見るかぎり、東芝という会社も Dynabook というブランドも積極性を失ったかと心配になることもありました。それが今年から再び盛り返しつつあるかに見えます。

 新鋭機は上の写真の左側です。15センチの定規を置きましたが、Z の左端から B の右端までちょうど95mmです。すなわち一つのキー当たり19mmという原則が厳守されて、しかも Lets Note のような縦方向の圧縮(纏足みたい!)もなく、文字入力する使い手のことを考えた構造です。上端に一部の見えるデスクトップのキーボードと比べて、各キーの大きさは変わりません。
 to be continued.

2009年9月27日日曜日

Snapshots of the AJC



 AJC専属カメラマンから、ようやく写真の報がありました。
ここでは 18日(金)夕刻のドリンク後の一斉写真と、19日(土)junior sessions の最後の光景をご覧に入れます(写真をクリックすると拡大します)。達成感ある、心地よい疲労でしょうか。

 画像は史料として有益ですが、しかし画像だけで他にサポート情報がないなら、後世のひとには、ただ友好的な催しがありました、といったこと以上に何も伝わりませんね。というわけで、しっかりした内実ある proceedings の刊行を是が非でも実現しましょう。

2009年9月23日水曜日

日英歴史家会議(AJC)の歴史


 日英歴史家会議(AJC)は盛況のうちに大きな支障はなく終了しました。まだ京都で Alastair のセミナーが残っているようですし、誰かは東北の山中を歩いているはずですが、委員会としての責任は果たしました。ご協力、ご参加、ありがとうございます。

 いろいろな場面のショット、とくに専属カメラマンによる全体写真を早く見たいものですが、なかなか日時がかかるようで‥‥
 その間、木曜夜の宴から、一つ歴史を想起させるショットを。Maxine が写真をかかげて、これに見入るひと、あっちの方向を見ているひと、と様々ですが、これは集中していないのではなくて、この写真があまりに効果的で、それぞれいろいろなことを口にし始めた場面です。
 Maxine のかかげている写真は、じつはこちらに数年前から登載されているものです。
1987年9月 京都における Textile History Conference
(専門誌 Textile History にもこの写真は掲載されています。)
真ん中に座る紳士【髪が白くなった以外は、今も全然かわりません】のすぐ後ろに中腰で Negley Hart, その後ろに微笑むのが、うら若き Maxine です。
向かって左に西沢さんをはさんで Pat Hudson もいました。近藤はどこだ、と分からないひとも居ましたね。左から3人目、中腰でいます。
 ついでに Maxine とぼくで撮ったショットもありました。

 なおまた、水曜朝に開会の挨拶でぼくが使ったAJC創設大会後の集合写真は、こちら。
AJC1994, London
Two beauties of London surrounded by gentlemen-historians

 ということで、浮沈のあったこの15年の歴史が想い起こされます。

2009年9月22日火曜日

盛り上がりました、AJC2009

 9月13日から19日の頂点をはさんで(最後は24日でしょうか)長期にわたったAJCおよび関連行事は、マイナーな支障はあったかもしれませんが、アカデミックな観点からも教育的・社交的観点からも、おおかた大成功といえるものになったと思います。首相の「全員野球ではありませんが」、全員の cooperation & collaboration の賜物です。

 とりわけ狭義の英国史にとどまらず、アジア史・日本史・インド史・アメリカ史・フランス史の第一人者の参加もあって、共通論題サブタイトルの expansion in perspective が現実化しました。とりわけ19日 junior sessions は盛り上がりました(十分に予期されたことですが)。こうした経験を一緒に共有できたことも、長期的にみて大きく深い資産となるに違いないと確信しています。

 久しぶりにメールを見ると、このようなメールが来ていました。関連しますので、引用します。

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Dear Kazu
Can I thank again the AJC committee, the young scholars who gave papers,
and the various 'staff' helpers? A tremendous amount of work was done by
you all, both to make the conference such a success, and to ensure that
the British visitors had an enjoyable and memorable stay.

I had a very good time indeed. I learned a lot, including about the
strengths and weaknesses of my own paper. I saw a lot. I ate a lot of
good food. And I met many interesting people - even on the Skyliner to
Narita the Japanese man next to me began to talk in good English about
his trips to Oxford and Aberystwyth!

With every best wish
Julian

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Dear Kazu,
Thank you so very much for inviting me to the AJC. I enjoyed
participating very much. I am very grateful for all the wonderful
hospitality. I was very honoured to meet many distinguished professors,
younger faculty, and very enthusiastic students. It is an excellent
enterprise. I am writing to a number of the students I met, and will
read some of their work.

With all good wishes,
Maxine

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 このように有意義に楽しく経過したAJCですが、土曜夜カポ・ペリカーノでは、食事が足りなくなりました。ご免なさい。
 店との間で、メニュおよび人数は当日午前中に確定して、以後の増減は飲物類で対応するという約束でした。何人になるか確たる予測は難しく「えいやっ」と決断して30名、しかも「中高年が多いので量より質」と言ってありました! 若い人がたくさん来てくれたのは嬉しいのですが、食いっぱぐれた人がずいぶん居たようです。済みません。

【なお、今月初めに壊れたPC=NECのかわりに注文し16日に納品したまま置いてあった最新鋭 Dynabook (限定販売。967g. ハードディスクでなくSSDです。薄くて美しい!) の開箱については、また後ほど。】

2009年9月7日月曜日

9月の催し

 大学のPCについては、9月3日に書きつけたような大問題が生じましたが、CISH および AJC そして関連会合については、支障なく、準備が進行しています。お誘いあわせていらしてください。↓
http://kondohistorian.blogspot.com/2009/08/1120.html

 ただし、予定された Patrick O'Brien, James Raven のお二人は、今回の来日は中止です。また今度の機会に。プログラム改訂版は ↓
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/AJC2009programme.htm

2009年9月3日木曜日

Windows が正しく開始できませんでした


 かなり不幸な気持です。
 2008年3月に購入して快調に使っていた XP Core 2 duo (メモリ 4GB), 320GB×2つのHDというマシーンがいかれてしまいました。

 昨1日午後、さくさくと作業中に前触れなくなぜか暗転し、自己回復したかと思ったら、ふたたびみずから再起動し、‥‥といったことを始めてしまった。この子も疲れたのかな‥‥、といったん電源を切ってしばらく休ませてから起動すると「システムは深刻なエラーから回復しました」というメッセージとともに動き出しました。
 しかし、ファイル名を変えたり、印刷したりといった命令をすると、とたんに自主的再起動に向かうので、もしやウィルス?と最初は疑いました。いえ、VirusBuster の状態は最新で、清潔そのもの。
 これはいかんと、すこし安定したかにみえた夕刻に、C:ドライヴの「最適化」と「チェックディスク」を行いました。これが結果的に悪かったのか、再起動できず、写真のようなメッセージ。
「このファイルが存在しないかまたは壊れているため、Windowsを起動できませんでした:
 ‥‥\config\system 」

 それに、修復のためのセットアップ CD-ROM なんてどこにあるんだ? 部屋中をひっくり返しても見つからない。
 昨夜はこれで挫折。枕と相談してみました。そうだ、CD-ROM ではなく「セットアップ領域」がハードディスクのなかに確保されているのではなかったか。そもそもぼくのPCには 伊達にハードディスクが2つあるのではなく、そもそも RAID というシステムで、緊急事態に即対応するはずなのに、どうなってるんだ?‥‥
〈to be continued.〉

2009年8月31日月曜日

大原麗子さん


 8月には色々なことが続きました。悲しいことも。
この方が亡くなったことも忘れられません。62歳。
 20年以上前の名古屋で、「天下の美女」ということで土居くんと意見が一致したのを想い出します。8月23日には青山葬儀場、お別れの会に参りました。

2009年8月11日火曜日

平戸 (Firando) にて





 先週に訪れた九州というのは、平戸と福岡でした。
平戸は初めて。その先の生月島は存在さえ知らなかった(イキツキ=息つく島!だそうです)。 行ってよかった。近世捕鯨の拠点。絶壁の灯台から東シナ海を望みました。

 このあたりは入江が深く、また365日、風が吹いていて、帆船にとっては好条件だったのでしょう。ザビエルも1550年に来て布教しています。今の平戸港だけでなく、その南にすこし行った千里が浜には1624年、鄭成功(国姓爺)の生まれた浜があって、その記念碑のあるホテル蘭風に泊まりました。このあたりには中国人や南蛮人の逸話の伝わる所が少なくない。もちろん、かくれ切支丹をめぐる話には事欠きません。地元の高校の歴史の先生が案内役兼運転手として大活躍してくださいました。

 アダムズとヨーステンの豊後漂着は1600年ですが、英国商館は1613年に設立(というより中国商人の家屋を間借り)、石造りの和蘭商館は1639年に建設。日英関係は1600年から説きおこすのが普通ですが、日蘭関係は1609年からというのが普通ですね。今年は日蘭400年の記念すべき年で、3階建ての立派な商館を記録にもとづいて再建工事中です。
 最初の和蘭商館は、破風に Anno Domini 1639 なんて刻印しちゃったから、幕府の怒りに触れて、取り壊し、1641年、長崎出島に移転するほかなし、という運命でした。
〈つづく〉

2009年8月7日金曜日

並木頼寿さん

 並木さんが病気を克服して復帰され(前よりも丸い顔で)にこにこと仕事をこなしておられるのを間近に見ていましたので、亡くなるなんて想像もしていませんでした。駒場と本郷と職場は違っても、ご一緒する機会は少なくなかったのです。
 九州に行っていて、知るのが遅れました。
 ご冥福を祈ります。

2009年8月2日日曜日

9月11日~20日の予定概観

  国際歴史学会議(CISH)および日英歴史家会議(AJC)に関連して、催しが目白押しです。混乱しないよう、このページで情報を整理しましょう。

9月11日(金)に CISH academic meeting @駒場 9:30~

  12日(土)13:30~ CISH 公開講演会@本郷・福武ホール
  13日(日)13:00~ Joanna Innes & master classes @本郷・山上会館地階会議室

      同じ14日に大阪大学、京都大学、東京大学(駒場)でも企画あり
  15日 reception for the invited
  16日(水)~19日(土)9:30~ AJC2009 @本郷・山上会館

  20日(日)  名古屋にて企画があります Revisioning Modern British History

AJC2009ポスター
 以上の複写やリンクはご自由に。

2009年7月25日土曜日

『週刊読書人』

 自分が書いた新聞雑誌の記事の複製権について、いまだ判然としないところがあって、しばらく経過するまでウェブには載せないでいます。
 読書人という語が消えつつあるわが日本で、『週刊読書人』は孤軍奮闘。7月31日号がいま出ています。
 毎年の季節行事として 〈上半期の収穫から〉、3冊の新刊を挙げます。今年の上半期(やや広くとって)には、
『チャリティとイギリス近代』
『自由と公共性:介入的自由主義とその思想的起点』
『中世の都市:史料の魅力、日本とヨーロッパ』
を挙げてコメントすることにしました。制限は400字です。きつい!

2009年7月18日土曜日

日英歴史家会議(AJC、9月16日~19日)のポスター


 このようなポスターを制作してもらいました。矢吹啓くんの制作です。




悪意の改変のないかぎり、ご自由に複写して広報に利用してください。

2009年7月7日火曜日

9月の催し

夏休みはまだ見えてきませんが、その先、9月には催しが目白押しです。(7月31日更新)

9月11日(金)に CISH academic meeting @駒場
  13日(日)に AJC master classes @本郷・山上会館 http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/masterclasses913.htm
  14日(月)都市史研究会 Miles Taylor @本郷・文学部 http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/Taylor20090914.htm
     同じ14日に大阪大学(中之島)、京都大学、東京大学(駒場)でも企画があります
  15日 休息日!?
  16日(水)~19日(土)に http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/AJC2009programme.htm

  20日(日)名古屋にて企画があります

AJC2009 のニュースは → http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/

2009年7月4日土曜日

Contributing bloggers による投稿実験

Contributing bloggers による投稿実験として、この投稿をします。(主様への回答は、直下の主様の投稿に対するコメントに整理します。)

こちらのブログは、Contributing bloggers としての権限が認められなければ、新たに投稿することはできません。つまりROMの方はコメントはできても新たな発言はできないようです。

コメント投稿におけるリンクなどはHTMLタグを直接入力することでしか対応できないようです。この発言のコメントで、試しにリンクを張ってみました。

(ちなみに投稿実験用にアップロードしたこの写真は、ウップサーラ郊外にあるリネーの荘園の写真です。リネーが貴族位を得てフォン・リネー姓を名乗った1757年の翌年に購入した荘園です。荘園領主の館とは言っても、木造の質素な家屋であるところがヨーロッパとは言っても北縁に位置するスウェーデンらしいところです。)
 

使い勝手の比較研究

 ほとんど何の準備もなく、この blogspot.com (西窓亭)を使い始めてまだ3週間です。今の時点で、2つのサイトの使い勝手を比較対照してみます。

 http://kondo.board.coocan.jp/ (談話室@nifty) の構造的欠点は、
1) サイトの主の好悪にかかわらず広告が強制的に入ること。たとえば学会の話をすると、なぜか創価学会会員むけに墓地の広告が挿入される! これは、精神的苦痛をともなう領域侵犯です。
2) タグ(キーワード)の設定は最初の発言時のみ可能で、後から加減することはできない。この点は致命的ではないが、すこし不便。


 こちらの blogspot.com (西窓亭@Google) は、まだ使いこなしてないので、よく分からない点も多いのですが、現時点で比較すると、上の 1, 2 についてはクリアしています。しかし、別の問題がないではない。

3) ブログ仕様なので(?)、亭主・管理者以外が発言スレッドを立ち上げることは想定してないように見える。つまり、すでにある発言にコメントすることは誰にも自由だが、新たな話題を開始することは亭主と管理権限者にしかできない。
4) 3 とも関連しているのかも知れないが、コメントには写真を貼付したり、URLにハイパーリンクを付けたり、といったことはできないように見える。これは、「承前」発言をよくする身からすると、致命的ではないが、すこし不便。
 また、コメント文を最初から一覧表示することも、まだできていません。

5) サイレント読者(ROM)でありたいサイト訪問者からすると、Readers/Contributing bloggers とかいう「資格」はなんだか intimidating で、敬遠したくなる、という気持はわかる。これは特定の目的を共有するグループ・ブログの仕様ですね。
 断乎 ROM でありたい人は、大丈夫。静かに読んで静かに去れば、足跡は残りません。

6) 【上に写真を載せましたが】board.coocan.jp (談話室@nifty) の場合、スレッドタイトル一覧というページがあって、何年前のものであれ、タイトルを頼りに溯ることが可能だった。こちらの blogspot.com (西窓亭@Google) の場合は Google でサイト内キーワード検索をしなさいということなのだろう。慣れの問題かもしれないが、いまのところやや不便かな。


 そもそも旧発言は、どうやって一括移行するのでしょう。coocan の場合は同じ @nifty の中の会社都合による移行・仕様変更だったので、自動的にやってくれました。 Gustav 先生の場合は、いちいち手作業で異サイト間の移行作業を行うんでしょうか?
 ご助言を求めます。

2009年6月30日火曜日

News from the RHS Bibliography

NEWS FROM THE Royal Historical Society Bibliography, Irish History Online AND London's Past Online
↑ のような email news が 本日 到来。

RHS の書誌情報は完璧ではないにしても、きわめて便宜なものとして利用していましたが、要するに、来年1月から、有料サーヴィスに転換するということですね。よく読むと、これまで予算を支えていた Leverhulme Trust, Andrew W. Mellon Foundation, United Kingdom Arts and Humanities Research Council が金を出し渋って、受益者負担とせざるを得ない、ということのようです。Fellow でも有料なの? ‥‥
以下、抜粋引用します。

The way in which the RHS Bibliography and London's Past Online are published will change from 1 January 2010. The new service, under a new name - Bibliography of British and Irish History (BBIH) - will be a partnership between the Royal Historical Society, the Institute of Historical Research and Brepols Publishers. The existing editorial team, with its close links to academic historians, will continue to be involved. Our aim is to maintain and to improve upon the standards and facilities of the current Bibliography, and of course to keep the Bibliography up-to-date by adding information about new publications, which currently entails adding well over 10,000 records each year.

As a result of these changes, the service will no longer be available free of charge, but the RHS and the IHR have concluded that this is the only way to secure the updating and improvement of the database in the long term, and thus to ensure the on-going usefulness of the work that has so far been funded by several charities (including the Leverhulme Trust and the Andrew W. Mellon Foundation), and by the United Kingdom Arts and Humanities Research Council. The RHS and IHR will be increasing their financial commitment to the Bibliography in order to keep subscriptions as low as possible.
BBIH will be available by institutional and individual subscriptions, and we hope that our existing users will be able to use it. You can help by telling your library about the changes and encouraging them to subscribe to BBIH.

BBIH will be available for institutional trials from October 2009 and will be launched on 1 January 2010, when the existing Bibliography website will close.
We have prepared answers to some of the questions that we think users are most likely to ask ( http://www.history.ac.uk/partners/rhs-bibliography/faq ).

2009年6月28日日曜日

本郷近影

 赤門の手前に このような建物が出現しました。フランス風というのか、オランダ様式というのか。黒い屋根に赤褐色の壁という構造が 緑に映えて、外観は悪くない。

 学士会分館とは 戦後すぐに、神保町・一橋の学士会館を占領軍(GHQ)が接収したので - 日本が1945年に一敗地にまみれて連合国に占領されたというのは、まさか常識でしょうね、学生諸君 - 、接収されてしまった立派な学士会館の代わりに、本郷の帝大構内に 急造りのモルタル2階建ての分館を建てたのが始まり。ここで学士たちの同窓会や集い、柴田先生の結婚披露宴とか、各種出版の企画会議とかが催され、さらには国大協の事務もおかれていたとは、今では常識ではないかもしれない。

 ぼくが委員だったころの史学会編集委員会は、常にここの2階の小部屋で開きました。 『深層のヨーロッパ』の原稿(皇太子の結婚式と都市暴動)を編集者に手渡したのも、1987年、この分館1階のラウンジでした。1992年の、記憶から「過ぎ去ろうとしない」日本西洋史学会大会の懇親会も、ここでやりました。

 その後、ナタリ・Z・デイヴィスはここを Faculty House と呼び、ゲオルク・イガース先生はここで軽食とともに懇談したけれど、本当は faculty ではなく、graduates の会員施設。だから 英語の本来の意味での club house ですね。 それよりむしろ、この建物の南の芝生で、毎夏 開店するビアホールで 無数の蚊と戦いつつ 安いビールを飲んだことを覚えている人は 少なくないでしょう。

 そのビアホールの芝生が立ち入り禁止になって、考古学的に発掘調査されたかと思うまもなく、写真のような中層のしゃれた建物になりました。まだ外装だけです。後方 【写真 右下】 の白っぽいモルタル造り2階建て分館は、築60年にして、すでに風前の灯火です。戦後アカデミズムの 一つのmemento. 機会があったら、写真でも撮ってやってください。

 それにしても 日本の街並みは電柱と電線に覆われていますね。それが 一歩大学構内に入ると、たいていの大学では電線が目立たない。 ということは、電信柱を地下に埋めるのは、その気になれば 特別に困難なわけではない、ということですね。

2009年6月26日金曜日

さらに新刊2つ














『中世の都市  史料の魅力、日本とヨーロッパ』(東京大学出版会)
 → 〈年報都市史研究〉の若手グループ8名が、史料の形状を見せつつ、日欧の史料論を展開。豊富な写真もふくめて議論は具体的。とても啓発的な出版だと思います。

『国民国家と市民  包摂と排除の諸相』(山川出版社)
 → こちらは東京外国語大学のグループ11名。何年か前には『国民国家と帝国 - ヨーロッパ諸国民の創造』を同じ出版社から出していましたね。

 市民といっても英語のタイトルでは citizenship. なるほど、と思いましたが、しかし副題をみると
 in- and exclusion in a civil society
とあり。この前半は「気どって」いて悪くないが、しかし a civil society というのが問題的。

∵1) a を付けたことによって、この共著がある一つの具体的な市民社会のケーススタディであるかのように示唆してしまう。ところが事実は「それぞれの現場からの諸問題を‥‥大胆に呈示することにした」という 諸 論文集。

2) civil society というからには、「共通理解となる概念規定」ないしそれに向けての明示的な議論はどこかで必要ですね。 あとがきは、その点、たいへん正直です。

2009年6月22日月曜日

新刊書 2つ


 『パリと江戸 - 伝統都市の比較史へ』(山川出版社)

→ この強烈なカバー絵は、それだけでも力強く迫ります。 もちろん 吉田伸之・高澤紀恵グループの論文集。

そして

 『近代イギリスと公共圏』(昭和堂)

→ こちらのカバーデザインは何を暗喩しているのか、よく分からない。p.12 の概念図と符合するのかどうか、しばらく考えこみます。 大野誠 編集の論文集。昭和堂の方針でしょうか、目次に各章の執筆者名が見えないので、じつは使いにくい。

 こちらは鮮烈な議論を呈示しているというより、ハーバマス と経験主義史学の問題の立てかたの違いをおのずから明らかにしています。 たとえば ジョアナ・イニス の「イギリス史研究における公共圏概念の登場」と取り組むことによって、読者はこの発想の違いとその意味を再考せざるを得ないでしょう。

 もしや、これはジョアナの論文の本邦初訳ということになりますか?

2009年6月20日土曜日

The Saatchi Gallery

 http://www.saatchi-gallery.co.uk/

 ↑ この Saatchi Online というのか The world's interactive art gallery というのか、ウェブページの最初に、3分弱にわたり、奇想天外、「美女の顔 尽くし」がつづきます。

 今年開設された The Saatchi Gallery には5月に早速行ってみました。 もと Duke of York's Headquarters と呼ばれたチェルシの軍施設でした。東京・六本木の自衛隊あとが、新国立美術館や政策大学院になってるのと似ている、と言えなくはないけれど、根本的にちがうのは、もとの建物を生かすか殺すか。

 ロンドンでは兵舎(しっかりした建物、高い天井、広い部屋)をそのまま生かし、東京ではすべて壊して新設計、ポストモダンの新建築にしてしまいました。Saatchi は民間で無料、新国立は有料というのも、可笑しな対照ですね。

 Sloane Square 駅から歩いてすぐ。次にロンドンにいらしたときには、皆さまもどうぞ。

2009年6月18日木曜日

Cambridge

 ブログのタイトル写真は、どこの何亭だ? との問い合わせあり。
 残念ながら我が屋敷にあらず、この5月初めに快適に過ごすことのできた
  Master's Lodge, Trinity Hall, Cambridge
を fellow's garden からふりかえって真東にカメラを構えて撮ったものです。

 この学寮長公邸には、1階にディナー室、多くのゲストを迎える応接室(というよりパーティ会場)があり、西の fellow's garden の芝を望むという向きです。2階にはゲストルームが2つ用意されていました。

 というより、ケインブリッジをご存じの皆さまには、カメラを構えた位置でそのまま身体を南西に120度回転すると、上のような馴染みの光景が撮れる、と説明したほうが分かりやすいでしょうか。
市の中心部から University Library に向かうときに Trinity College と Trinity Hall の間で必ず渡る Garret Hostel Bridge (ケインブリッジにしてはモダニズム的なコンクリート橋) がすぐ右=北西にあります。

 それにしても我が「西窓」とは、ちと違う光景なり。

2009年6月17日水曜日

ルーヴル17世紀展

 ルーヴルの17世紀展はもう終わってしまったけれど、たいへん良かった。
 <上の絵は、Claude Lorrain, c.1648>
 
 ぼくは見通しが甘く、最終の金曜(12日)に、会議を終えて 18:40くらいに国立西洋美術館に駆けつけてみたら、「待ち時間80分」との掲示あり、20:00に閉館なのにどうするんだ‥‥。
 でも慌てず騒がず‥‥いつだか東博の北斎展もそうでしたが、結局は、閉館30分前までに行列した人々を入れないわけには行かないのだから‥‥と割り切って、西洋美術館右隣のオープンカフェ的空間で、アイスクリームで血中糖を補いました。 上野公園も、昔よりはすこし、初夏の都市的空気を醸しだすようになってきました。 Stadtluft macht frei.
 19:05に戻ってみましたが、なお行列は短くなるどころか、さらに長くなってる様子。まだ明るいので、だれかの原稿を読みながら、長いとぐろを巻いた行列をとぼとぼ進みました。
 入館は20:05、‥‥最終的に閉館を告げられて売店から出たのは21:05.

 したがってちょうど一時間かけての観覧でした。もうすこしゆっくり見たいとは思ったけれど、展示のコンセプトは明らかで、17世紀オランダ・フランスの古典主義のインパクトが伝わる企画です。ルーヴルやナショナルギャラリに行けば、容易にもっとたくさんの作品に囲まれるけれど、17世紀という時代の精神を一度に味わうには、この程度が適切で必要十分なのかも。
 イタリア・フランス・オランダという国境をこえて西欧全般にひろまった civic humanism の美術的現れとして見ると、クロード・ロランもジョルジュ・ドラトゥールも、すばらしい時代の証人(witness of the age)です。
 そういえば、昔の談話室で、こんなやりとりがありました。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/GalleryTalk.html

 (つづく)

西窓亭

 このサイトを〈西窓亭〉と改名しました。

 名の由来については、ずいぶん前にこんなことをしたためたことがあります。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/seisomogo#西窓

 ご笑覧ください。

2009年6月14日日曜日

日本西洋史学会大会@専修大学

 主催校の皆さまのおかげで、有意義に過ごしました。
 土曜の城戸さん、油井さん、板垣さんの講演に刺激されて、もろもろのことを感じたり考えたりしました。日曜午後のセッションも共通して、歴史における violence や war をテーマとしていましたが、暴力なのか、強制力なのか、争いなのか。とりわけ集団的な強制力は、戦争や内戦という形ばかりでなく、一揆やリンチという形もとります。それらは例外的な事態というより、
   「争いごとにこそ、ふだんは隠れていた事実が浮上してくる」(スリニヴァス)。
ぼくも 『民のモラル』 の一巻をつかって、時代の文化として規範・価値観の強制と、違犯者への〈制裁の儀礼〉を論じました。民衆史か社会史か、といった次元をこえた歴史学として、今でも有効な観点だと信じます。

 なお、板垣さん、ホロコーストの記憶こそパレスチナの悲劇を隠す装置だとは、よくぞ言ってくれたと思います。歴史的なユダヤ人差別やナチスの暴虐ばかりを説いて、現在のユダヤ人の暴虐に言及しないのは、(一番ひかえめに言っても)アナクロニズムでしょう。ただし、板垣さんの万事イスラーム起源主義≒Eurocentrism批判は、いささか眉唾です。そして挑発主義は、議論の始まりとしてはおもしろいが、それで終わるわけにはゆかない。
 ぼくは油井さんと同じく、多文化主義(異文化との共存)に希望を託します。城戸さんのように「(若いときからずっと)挑発を続ける板垣さんに脱帽する」と言いつつ、ご自分の静かなスタンスを守るのも、大人の態度ですね。

2009年6月13日土曜日

日英歴史家会議(AJC)

 本日の西洋史学会大会(於 専修大学)にて、ある方から、AJCプログラムを見ることができない、まして abstractをや、とご叱責がありました。 どうか下のページからもう一度ためしてください。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ajc2009/AJC2009programme.htm
 9月16日~19日については、もろもろの日程が確定しています。

 これに加えて、CISH の公開講演会が9月12日(土)に本郷で、またAJCのマイナーリーグ?(正しくは master class)が13日(日)に予定されています。ふるってご参加ください。
 ほかにも、この好機に、大阪、京都、名古屋, etc. でいろいろな催しが続きます。

 詳細は AJC2009 のページ、お問い合わせは、そこに記されている委員あてにどうぞ。
 

2009年6月10日水曜日

ごあいさつ

 はじめまして。 近藤です。

 従来から
   ウェブサイト http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/
   掲示板  http://kondo.board.coocan.jp/

を運用してきました。

後者については、やや使い勝手がわるく、
新規にこちらで、どんなぐあいか試してみよう、と考えました。
しばらくしたら、方針をはっきりさせます。

 ご助言など、どうかよろしく。