2010年10月28日木曜日

『イギリス史研究入門』 をめぐって



 新刊書について、さっそくご感想・ご意見などをいただいていますので、双方向でやりとりしやすい掲示板〈イギリス史研究 Q&A〉に抜粋登載しています(10月26日以降)。
こちらです → http://kondo.board.coocan.jp/

 個人的な要素はできるだけ省いて、共有される論点 or 普遍性のある問題を討論できればと思います。よろしく。

2010年10月20日水曜日

Schedule 11月

 11月といえば、まだ先のことですが、自分のためにも混同しないよう、明記しておきます。

2日(火) 京都大学文学部にて史学研究会、翌3日に読書会

12日(金)夜~14日(日) 熊本大学にて Korean-Japanese Conference of British History

24日(水) パシフィコ横浜にて 図書館総合展・学術情報オープンサミット2010
   の公開セミナー「大学図書館における人文社会系データベース
   【もちろん無料です。ただし予約は必要。 ← クリック】


 --------------------<以下 未確定も含む>--------------------
12月4日(土)5日(日) 『伝統都市』合評会@東京大学出版会

12月18日(土)   イギリス史研究会@青山学院大学

 組織者の方々、それぞれ日時だけでも早めに確定してくださいな!

2010年10月18日月曜日

読者へ



  だれもが知っている(と思っている)イギリス。
  じつは歴史の重さゆえに、わかりにくい英国。

 新刊の『イギリス史研究入門』(山川出版社)ですが、最初からことばの問題に取り組みます。
でも、どこかの修正主義文献のように「ことは複雑で一様に語れない」「合理的分析にはなじまない」なんて論法ではありません。学問=科学なら simple & clear に論じてみよ!というのが、知り合いの scientist たちからの教訓です。

 「読者へ」というアピールもありますので、右肩の FEATURES からクリックしてご覧ください。

 この程度の抜粋引用は、著作権契約の許容範囲内でしょう。ただし皆さんがこれらから一部・全部を引用なさる場合は、出典を明示する必要があります。

2010年10月15日金曜日

史学研究会(11月2日@京都大学)



 案内のポスターをいただきました。ありがとうございます。
 「モラル・エコノミー論を歴史的に再考する
という題で話をいたします。右上肩の FEATURES(ページ)に案内状を転載させていただきました。

 このブログでは、これまで以下のようなエントリで一寸づつですが関連ある発言をしてきました。

モラル・エコノミー(労働党の今日)↓
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/09/blog-post_28.html
悲報(EPTの研究助手の死)↓
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/10/blog-post_12.html
ウォーリク大学 現代史史料センター
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/09/sent-to-coventry.html
ジョン・ウォルタ
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/06/john-bron.html
ずっと前、2007年のインタヴューも関連します ↓ 
http://www.cengage.jp/ecco/2007/05/post-1.html
つまりディジタル史料論でもあり ↑
また、わが『民のモラル』(1993)の再考 ↓ という意味もあります。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/statet0402.htm
どうぞよろしく。

2010年10月14日木曜日

新 刊



『イギリス史研究入門』(山川出版社)、ようやく見本を手にしました。まだ糊付けの乾いていない状態の写真を14日に載せましたが、それはあまりにひどかったので、16日、端正なものに入れ替えました。なにしろ菊地信義さんの装丁です。

 奥付は 10月15日 1版1刷 発行 となっていますが、実際に全国の書店に並ぶのは20日だそうです。
 ノンブルを打ってないページも加えると viii+412 pp. これで2500円+税というのは安い。出版社としては、しっかり売って元をとろうということでしょうね。
編集会議が始まったのは 2006年の科研費を申請する前でしたから、結局、何年がかりでしょう。


 皆さんの手元に行きわたったら、メリットと問題点など、おいおい討論しましょう。

2010年10月12日火曜日

悲 報

 なんたることだ。今はウースタに一人で暮らす Dorothy からメール到来。

Dear Kazu

I sent you the name and address of Edward's former research assistant Malcom Thomas . . <中略>. . but I thought I should tell you that I have just had a
'phone call from his wife to say that he died yesterday.
He was only 67 and apparently in reasonable health. His wife didn't know whether you had been in touch as she is not an academic and doesn't keep in detailed touch with his academic work.

He was a delightful man and his death will be a loss but his files will be full of unpublished material - he was too much of a perfectionist to publish much of his work.

Best wishes Dorothy Th.

 このマルカムの次のリサーチ助手が E. E. Doddで、後者とのコレスポンデンスがウォーリク大学にあって9月に読みに行ったのです。Moral economy 論議をめぐってそちらで判明しない事柄はしっかりマルカム君に尋ねなくては、と考えながら後回しにしていた。ぼくは一種、現代の切迫したオーラル・ヒストリをやっているのだという自覚が不足していました。油断してると当事者はどんどん消えてゆく! 反省します。
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/09/blog-post_28.html
http://kondohistorian.blogspot.com/2010/09/sent-to-coventry.html

 ドラシへの返事には次のようにしたためました(抜粋)。

. . . thank you for letting me know the truth.
<近況について中略>
I now realize that Edward acknowledged both 'the late E. E. Dodd' and
'Malcolm Thomas . . . whose gifted services I was once fortunate to have as a research assistant' in his Customs in Common.

I just regret that I should have come in touch much sooner.
Thank you again and please take good care of yourself.


 それにしてもアナログ時代の写真の管理は、よほどしっかりしないと迷宮入り。Wick Episcopi で
EPT夫妻と一緒に撮った写真はどこかに隠れてしまい、その白黒ゼロックスの何度も複写したものしか手元にはない!? これまたひどい話、なんとかしたい。

2010年10月11日月曜日

事 情 説 明

 帰国してこのかた、このブログは間遠になっていますが、その一般的な理由は、帰国翌日の文学部講義からただちに平常業務に復帰して、また内外の公務を処理して、余裕がなかったということ。もう一つ、やや憂鬱な特定事情がありました。話は長くなります。


 ぼくは海外で使う財布と国内で使う財布をわけて、中身はそのままとし、出入国・通関の前後に2つの位置を鞄から衣服のポケットに(& vise versa)替える習慣にしています。こういうことはあまり公衆の面前ですべき仕事ではないと考えて、トイレやあるいは飛行機の座席で落ち着いておこなうのが普通。こんどの帰国に際しても、機内でそれを済ませたつもりでいたのですが‥‥。
 9月29日昼ヒースロウ発 V社の帰国便はむやみに混んで、しかも機械チェックインで夫婦別々の席になってしまったので、非常口脇の脚部が十二分に空いている51A-Cに替えてもらいました(二人で計75ポンド)。空間があってよいのですが、欠点は前に座席がないのでちょっとものを置くネット袋がなく、また手荷物を座席下に置くこともできない(頭上の物置にあげるしかない)という点です。
 座席ではケインブリッジで完成しなかったペーパーに、未練がましく推敲をいれ(それどころか議論の順を変えてパラを移動してみたり‥‥)、それにしても鞄がすぐ足下にないと、こんなにも不便とは‥‥。食事のあとはちょっと気を抜いて映画 Robin Hood と Bollywood を見て、あまり睡眠できないなぁ、と疲労感とともに、30日午前、雨模様の成田に降り立ちました。日本としては涼しいのかもしれないけれど、14度15度のイギリスから来ると残暑を感じる。
 離陸時と着陸時に非常口前に対面して着席する客室乗務員の美女とのあいだで、ケインブリッジのパントがむずかしいとか、清澄白河がどうとかいったローカルな話で盛り上がったついでに、彼女は「成田から東京に出るには疲れたときにはリムジンバスが一番」という意見。そもそも通関時に別送品(25キロ×2)を申告し、税関の捺印申告書をヤマト運輸の「GPAお預かりカウンター」に提出。そのとなりの宅急便で大きなスーツケース2つ(33キロ+30キロ!)の即日配達を託してようやく身軽になり、ふだん使っている鉄道ではなくリムジンバスへ。そうか、箱崎ばかりでなく、東陽町「イースト21」行きのバスもあるんだ、と目を開かれ、快適な高速の帰途についたのです。
 10月1日は早暁から目ざめ、講義の第1回目を慌てて済ませ、その後さっそく学生と面談はいいけれど、*出版社もただちにやってきて、これとそれとあれのスケジュールの念押し。
 2日と経つうちになんだかおかしい。ポンドや University of Cambridge のカード、CULの利用票をいれた財布がどこかに紛れてしまっている‥‥。
 V社に連絡しようとしても、少なくともインターネットには成田・東京のメールアカウントは無いようだし、ようやく探し出した電話番号も月曜~金曜のみ受付! いくら日本便を軽く見ているとしてもそれはないよ。‥‥ようやく4日アサイチに電話してみました。応対は丁重ですが、調べたあげく、午後にそうした遺失物の連絡はありませんという返事。
 うーん、こちらの不注意というか、無意識におこなった習慣的行動の確認不足のせいで紛失したらしいのだから、20ポンド紙幣5枚~10枚未満+コインは諦めるとして、ケインブリッジ大学のカードと図書館利用票は(もしロンドン便に乗った誰かがこれを見つけて)悪用しようと思えば可能だ。これは連絡しておかないと面倒なことになるかも‥‥。
 翌5日、歯医者、三菱財団、11月の京都出張、etc. の処理をしているうちに、自宅から電話。久松警察署から東大へ連絡があった、という連絡があったとのこと。? ただちには意味が飲みこめず。


 翌6日午前に日本橋・人形町の久松警察署(なるものが存在するとは初めて知りました)に参上。リムジンバス会社からの遺失物届け出のうちの一つに Kazuhiko Kondo のカードと外国の通貨の入った財布があったとのことで、落としもの係で、簡単な確認の後、無事143ポンド余り+University of Cambridge のカード+CULの利用票+クレアホールのコピーカードを手にしました。リムジンバスの座席前の網袋に置いたままだったのです。
 V社には(掃除が行き届かないとか)根拠のない嫌疑をかけて済みませんでした。
 それにしてもリムジン会社は一律に所管の久松警察署に届けることにしているのでしょうが、警察はどうやってぼくの日本のアイデンティティを探し当てたのでしょう。昔むかし41年前の記録?ヤマカン?
 でも若い人によると、ウェブでローマ字の氏名 + university で検索すれば一発。しかもカードに顔写真があるからコンファームもできる、とのこと。そうかもしれない。
 そういえば、このネットの検索力を信じているからこそ『イギリス史研究入門』では、『アメリカ史研究入門』のように長たらしい URL を記すことなく、Googleによるキーワード検索を原則としたのでした!
 日本の安全平和と、警察の有能さを再認識しました。円強(日本の底力の高い評価)の傾向がつづいて、しごく当然ですね!
 関係者の皆々さま、ありがとう。

 というわけで10月6日まではこのブログに書きこむ元気も消沈し、6日からは気を取りなおして公校務に紛れ、土日は風邪の症状が始まり‥‥今日にいたるわけです。
 暑いのか寒いのか、身体のほうであまり対応できないようで、ちょっと困りました。
 皆さまはどうぞご自愛ください。

2010年10月5日火曜日

Newton Institute

 何ごとにも終わりはあって、哀しみとともに帰国いたしました。

 夕刻のケインブリッジには、このように「伝統都市」ならぬUFO集団が着陸したかのような風景もあります。
 この地区を昼間訪ねると、個々の建物はこんな感じ。玄関の「碑文」をみてください。クリックすると拡大します。

 なにしろニュートンの大学ですので(!) 数理科学研究科は、東大駒場の建物の比でなく、いかにもなんだかおもしろいこと(変わったこと)やってるぞ、という雰囲気が生きています。