2013年10月31日木曜日

新刊予定3冊

いま出ている月刊『図書』の巻末に「12月刊行予定の本」として、ぼくの関与した本が2冊並んでいます。

1つ目は『イギリス史10講』(岩波新書)(ただし272頁というのは間違い、300頁を超えます)
2つ目は『岩波 世界人名大辞典』(こちらは項目選定と執筆)
この世界人名大辞典の関連で、『図書』コラムに後藤さんが執筆しておられます。

なおまた、3つ目で出版社は違いますが、
J. ルカーチ『歴史学の将来』(みすず書房)も巻末の「解説」を担当しました。
こちらは支障なく進めば、11月に刊行です。

1つ目は16年がかり、2つ目は数年がかり、3つ目は1年弱の仕事でした。

2013年10月20日日曜日

『 イギリス史10講 』

秋らしく涼しい日々となりました。気温が下がって、しっかり着込まないと寒い!

ところで、ご心配の皆さまへ近況ですが、

『イギリス史10講』(岩波新書)はようやく脱稿し、
今、印刷所からばらばらと初校ゲラが到来している状態です。
あとがきは、ハーヴァードの図書館 H.E. Widener Library で10月1日に仕上げました。

16年越しの仕事になりましたので、ふりかえって感慨深いものがあります。1997年夏(というと、ナタリ・Z・デイヴィスを送り返した直後でした!)、岩波書店の企画会議に出された柴田先生のメモについても、あとがきで一部を引用させていただきます。
『10講』の基本的構成は『ドイツ史10講』『フランス史10講』と同じく、15世紀までで3講、16世紀以降で7講を用いるのですが、じつはいろいろな点で既刊の『10講』とは違う特徴があります。意図的に変えました。そのことについては、おいおい。
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_toku/tku0302.html

岩波新書としては破格の厚さとなってしまいました!
12月20日発売という予定で進行中です。

ご心配をおかけしてきましたので、あらかじめお知らせしておきます。

2013年10月9日水曜日

日航 B 787 と映画

無事、東京の蒸し暑い10月に帰着しました。

ところで往復とも話題の日航の Boeing787 でしたが、座席も快適。ちょっとした作業もできて、行き(成田 → ボストン)は飛行機のなかで約2時間+30分寝ました。
トイレも工夫されて(大きな鏡を2面に張り)清潔、気持ちよい。
これでバッテリ関連のトラブルというのは、かわいそう、という感想です。
JALの食事も、最初の昼食は機内食でこんなに美味しいもの!と驚くほどおいしいものでした。
野菜が生・和え物・加熱と3種類。
機中で、The Great Gatsby も見ました。これは F.C. Fitzgerald 原作(1925)で、DiCaprio 主演とはいっても、あまり楽しめない作品。原作自体の問題かも。

復路(ボストン → 成田)の食事は、期待が大きかっただけに幻滅。ボストン地域のケイタリング業者のセンスのなさ、ということでしょうか?
映画は Une estonienne à Paris. これが和名「クロワサンで朝食を」になるとは!?
いくら反知性的でオブラートにくるむ日本文化とはいえ、これでは見るべきインテリ・学生が見ようとしないではないか。英題 A lady in Paris は事柄の半分だけ伝えています。
一言でいえば、
老境のジャンヌ・モロ(1928年生)の「サンセット大通り」+パリにおけるエスニック・コミュニティの問題 
往路の「ギャツビ」のけたたましく虚しい大騒ぎにくらべて、なんと静かでゆったりとさびしいんだ。どちらも主人公は我が儘ほうだい、とはいえ余韻は後者のほうがはるかによい。老い(と記憶と友情≒許し)がテーマです。
(う~ん、やはり写真は登載できませんね。)

2013年10月5日土曜日

旧知の先生方

今回のコンファレンスの利点の一つは、アメリカの進歩的歴史家たちに会えて話を聞けること。
なんと、MARHO, Visions of History『歴史家たち』におけるインタヴューアの一人 Michael Merrill がいる。同じ『歴史家たち』のJohn Womack が名古屋大学出版会の漫画のような青年ではなく、今にも倒れそうな老人として現れたのには隔世の感。
とはいえ、話し始めると、さすがJohn Womack, だれかが「時間だ」とかいったのにたいして、別の(ぼくの隣の)女性が大きく No! といって昔話、意味のある昔話を続けさせました。
『歴史家たち』のウォーマック翻訳はぼくが担当したけれど、(院ゼミでも読みましたね、安村くんもいました)メキシコ革命だけでなく Harvard におけるラテンアメリカ研究全般についての研究指導をしていたんだな。E.P. Thompson か Perry Anderson かというのは、68年世代にとっては共通のイシューです。
Albion's Fatal Tree の Cal Winslow と奥さん、それから丸山眞男を知っている Charles Maier とか。
ぼくの場合は(若い世代の軽薄な-というか思いつきでしかないような-報告よりは)年季の入った中高年の渋い話のほうが、よほど聞き甲斐があります。Moral economy という、人を惹きつける用語は catchword としては良い。もっと今日の世界経済、将来の政治社会を考える助け(準拠枠)になるような概念がほしい。

なぜか写真を登載できませんが(もどかしい!)、コンファレンスの様子は、リアルタイムで世界のどこからでも見られるとのこと。 お試しください。↓ 東海岸で土曜の8:30~(日本時間との差は13時間)。
(http://bit.ly/18cpE73)
http://www.ustream.tv/channel/global-e-p-thompson-conference-harvard-university-october-3-5-2013


今晩は、主催者の一人 Sven Beckert のお宅で House dinner (といってもケイタリングサーヴィスの全面出前). 息子さんも一緒に皿をつつく、という設定。
市橋さんとともに徒歩にて寄宿。

2013年10月2日水曜日

ハーヴァード大学

 直行で12時間半!イギリスより遠いフライトの後、はじめてボストンに降り立ち、Cambridge, MASS. に来ました。 晴で、涼しい。
やや古めのホテル、大学キャンパスのほぼ中心 Garden Street に荷を解きました。
LANおよび無線の環境は良いみたい。
しかし、日本との時差13時間遅れ、というのは、調子狂います。

 17世紀にイングランドの Cambridge大学(Emmanuel College)を卒業した
牧師ハーヴァードさんが Harvard College 法人を生前贈与したので、
町の名もそう命名された、とかいったことは承知していましたが、
来てみれば、本家に比べて中世要素がない分、近現代にがんばって、
広々とより大きく育った分家、という感じ。

 ところで米国のケインブリッジは、英国のケインブリッジに似た大学町で
人口10万あまりですが、違いは、
1) 建物がちょっと大きく、道も広い。
2) 大都市ボストンから 5km ほどなので、スーパーとか量販店とかいったものが見あたらない。
3) 大学関係じゃない人口もそれなりにいるようです。はるかに多文化で、スペイン語、ロシア語、そして中国語が乱れ飛ぶ。こじき(物乞い)もいるが、それぞれ Change, change, change, とか歌ったり、そぼくな楽器(せいぜいカスタネット)をならしてパフォーマンスをしている!
 人びとは比較的おだやかで(全米とはちがう特異なエリート都市だから?)、信号も守るし、今のところイヤな思いをすることはありません。(この感想は中国旅行の直後だから?)

 宿から繁華街(といってもこじんまり)Harvard Square および大学中心 Harvard Yard までは徒歩で500mほど。川までは1キロかな。
地図の左上に Sheraton Commander Hotel(1775年に司令官 George Washington が将兵を鼓舞した所とのこと), 右上にコンファレンスのある CGIS, 手前に Charles 川。

 歴史的な Harvard Yard 構内でも威容を誇るのが図書館 Widener Library です。
なんと1912年のタイタニックで亡くなった息子(卒業生)を悼む母親が、寄贈してできあがったとのこと! アメリカ人の富は規模がちがう。写真のとおり、大階段を強調する設計思想です。

申告したら、簡単に利用票(3カ月有効)をつくってくれました。