News and events
Professor Louise Richardson, currently the Principal and Vice-Chancellor of the University of St Andrews, has been nominated as the next Vice-Chancellor of the University of Oxford.
Prior to joining St Andrews in 2009, Professor Richardson lived and worked in the United States where she was Executive Dean of the Radcliffe Institute for Advanced Study at Harvard University.
Professor Richardson said of her nomination: 'Oxford is one of the world's great universities. I feel enormously privileged to be given the opportunity to lead this remarkable institution during an exciting time for higher education. I am very much looking forward to working with talented, experienced, and dedicated colleagues to advance Oxford’s pre-eminent global position in research, scholarship, and teaching.'
The Nominating Committee was chaired by the Chancellor of Oxford University, Lord Patten of Barnes, who said: 'The panel was deeply impressed by Professor Richardson’s strong commitment to the educational and scholarly values which Oxford holds dear. Her distinguished record both as an educational leader and as an outstanding scholar provides an excellent basis for her to lead Oxford in the coming years.'
Subject to the approval of Congregation, the University’s parliament, Professor Richardson will succeed the current Vice-Chancellor, Professor Andrew Hamilton, on 1 January 2016.
2015年5月31日日曜日
2015年5月29日金曜日
Christopher Bayly (1945-2015)
By Paul Lay < History Today, posted 13th May 2015
Paul Lay offers a few words on the eminent historian, who died in April.
The sudden, unexpected death last month of the distinguished historian Christopher Bayly, one of the pioneers of global history and a remarkable scholar of India in particular, came as a tremendous shock to those many who knew him, indeed anyone who had admired and absorbed his innovative, brilliant works.
Paul Lay offers a few words on the eminent historian, who died in April.
The sudden, unexpected death last month of the distinguished historian Christopher Bayly, one of the pioneers of global history and a remarkable scholar of India in particular, came as a tremendous shock to those many who knew him, indeed anyone who had admired and absorbed his innovative, brilliant works.
2015年5月19日火曜日
日本西洋史学会大会 @ 富山
富山で開催された日本西洋史学会大会、たいへん有意義に過ごすことができました。準備委員会の万端の用意と設営のおかげで、発表・討論も充実し、また懇親会の料理とお酒についても友人たちとともに感嘆いたしました。(じつは実際的にはたいへん大事なことですが、日曜日の昼食も生協食堂で明るく機能的、快適でした。)
日曜午後の小シンポジウムについても、複数の教室の間を移動しながら、いろいろと学びました。とはいえ、学術的に出席者すべてに強い印象を刻みこんだのは、記念講演の演者だったのではないでしょうか。
お二人の講演はそれぞれのお人柄がたくまずも伝わるものでしたが、個人的にはとくに立石博高さんのお話
「近世スペインとカタルーニア:複合国家論の再検討」
に感銘を受けました。なによりこれは第1に、近世ヨーロッパ国制史の先端的な「礫岩のような国家」論と「諸国家システム」論に棹さすもので、かつすばらしく具体的に立ち入った17世紀論でした*。スペイン・イベリア半島にかぎらず、同時代的な問題と受けとめました。かつての「17世紀の危機」論を今の研究水準で再考するならさらに得るところがあるでしょう(ぼくが学生のとき初めて Elliott という(詩人 T. S. Eliot ではない)名を意識したのは Past & Present 誌における general crisis of the 17th century 論争をめぐるエリオット先生の寄稿でした)。
第2には、学長という激務のなかで、よくまぁこれだけのものを準備なさった!と感嘆すべき密度の、明快な講演でした。中年以上の大学教師、研究時間の劣化を嘆く者すべてにたいする叱咤激励という効果があったのではないでしょうか。【*ただし『ヨーロッパ史講義』(山川出版社)をまだご覧に入れていなかった分、「時差」が生じてしまいました!】
学会のあと、日曜の夕刻には市庁舎の展望塔に登り ↑ 立山連峰を遠望して、さすが日本一の山塊という思いを新たにしました。望遠鏡も自由に見られて、この360度の眺望を無料で毎日・夜まで提供なさっている富山市の英断にも感銘しました。
委員会の皆さま、そして学生諸君にもお礼を申しあげます。 近藤和彦
日曜午後の小シンポジウムについても、複数の教室の間を移動しながら、いろいろと学びました。とはいえ、学術的に出席者すべてに強い印象を刻みこんだのは、記念講演の演者だったのではないでしょうか。
お二人の講演はそれぞれのお人柄がたくまずも伝わるものでしたが、個人的にはとくに立石博高さんのお話
「近世スペインとカタルーニア:複合国家論の再検討」
に感銘を受けました。なによりこれは第1に、近世ヨーロッパ国制史の先端的な「礫岩のような国家」論と「諸国家システム」論に棹さすもので、かつすばらしく具体的に立ち入った17世紀論でした*。スペイン・イベリア半島にかぎらず、同時代的な問題と受けとめました。かつての「17世紀の危機」論を今の研究水準で再考するならさらに得るところがあるでしょう(ぼくが学生のとき初めて Elliott という(詩人 T. S. Eliot ではない)名を意識したのは Past & Present 誌における general crisis of the 17th century 論争をめぐるエリオット先生の寄稿でした)。
第2には、学長という激務のなかで、よくまぁこれだけのものを準備なさった!と感嘆すべき密度の、明快な講演でした。中年以上の大学教師、研究時間の劣化を嘆く者すべてにたいする叱咤激励という効果があったのではないでしょうか。【*ただし『ヨーロッパ史講義』(山川出版社)をまだご覧に入れていなかった分、「時差」が生じてしまいました!】
学会のあと、日曜の夕刻には市庁舎の展望塔に登り ↑ 立山連峰を遠望して、さすが日本一の山塊という思いを新たにしました。望遠鏡も自由に見られて、この360度の眺望を無料で毎日・夜まで提供なさっている富山市の英断にも感銘しました。
委員会の皆さま、そして学生諸君にもお礼を申しあげます。 近藤和彦
2015年5月14日木曜日
酒都を歩く(英国編)
読売新聞 Online からこのような通知がきました。
>‥‥本村凌二先生の記事を今朝ほどアップしました。
>以下のURLです。
>http://www.yomiuri.co.jp/otona/special/sakaba/20150507-OYT8T50159.html
>2回にわけて掲載予定です。‥‥
関連ページがふえて、やや錯綜してきましたが、2月のぼくのインタヴューも含む、全体の「もくじ」はこうなっています。
→ http://www.yomiuri.co.jp/otona/special/sakaba/
>‥‥本村凌二先生の記事を今朝ほどアップしました。
>以下のURLです。
>http://www.yomiuri.co.jp/otona/special/sakaba/20150507-OYT8T50159.html
>2回にわけて掲載予定です。‥‥
関連ページがふえて、やや錯綜してきましたが、2月のぼくのインタヴューも含む、全体の「もくじ」はこうなっています。
→ http://www.yomiuri.co.jp/otona/special/sakaba/
あとの祭り
承前
従来のイギリスの世論調査、投票所出口調査(の方法)をめぐるマスコミ側の当惑は
→ http://www.bbc.com/news/uk-politics-32606713
労働党(と保守党)の将来については
→ http://www.theguardian.com/politics/2015/may/13/beware-of-instant-explanations-for-what-went-wrong-with-labour-campaign
従来のイギリスの世論調査、投票所出口調査(の方法)をめぐるマスコミ側の当惑は
→ http://www.bbc.com/news/uk-politics-32606713
労働党(と保守党)の将来については
→ http://www.theguardian.com/politics/2015/may/13/beware-of-instant-explanations-for-what-went-wrong-with-labour-campaign
2015年5月10日日曜日
連合王国(UK)総選挙の結果
1. 報道されているとおり、5月7日の庶民院(衆議院)選挙の結果は、
合計650議席(過半数は326)のうち、
現政権の保守党(Con)が24議席ふやして331議席へ
連立与党だった自民党(LD)が49議席へらして8議席へ
野党・労働党(Lab)が26議席へらして232議席へ
野党・スコットランド国民党(SNP)が50議席ふやして56議席へ
北アイルランドの民主統一党(DUP)が現状維持で8議席のまま
その他が2議席増やして15議席へ
となりました。
おおかたの予想に反して保守党が単独過半数を制し、これを機に基本的に政策構想の違う(社民リベラル的な)自民党との連立を解消し、保守党が単独で組閣するという結果になりました。
同時に(社民・EU的な)スコットランド国民党【民族党ではありません】がスコットランドの全59議席のうち56を占めて「圧勝」したわけですが、こうした事態について、日本のマスコミで明快な、筋の通る説明はありません。
一つは得票率と地域性を考慮にいれ、もう一つはSNPを「スコットランド民族党」と訳すことなく社民の地域党と認識すれば、ことは明白です。
2. 保守党またはトーリ党の正式名称は The Conservative & Unionist Party of the UK です。連合王国の保守・統一党。ディズレーリ以来の保守的=有機体的な世界・歴史観、したがって王制に親しい国民統合(one nation)主義、自由放任主義による「小さな政府」をかかげます。キャメロンは Thatcherのクールな「歴史の終わり」的アナクロニズムを反省して、ディズレーリ+ネオリベラル(それゆえの EU skeptic)で政権を運営してゆくようです。
親EUの自民党を切り捨てて単独政権とするという点で、(公明党を切り捨てない)安倍連立政権とは政治のやり方が違います。議席が24ふえたといっても、得票率は0.8%増で、むしろ現状維持。選挙上手あるいは敵失の結果といえます。One nationといっても、連合王国内の連邦主義に反対し、アイルランド・スコットランド・ウェールズを手放さない中央集権主義(England 中心主義)ですし、対外的にEU懐疑、親英連邦(pro-Commonwealth)、旧植民地以外からの移民規制に傾きます。
たいする労働党は、ブレア党首(1994)以来の New Labour, しかも Ed Miliband 党首は一時は moral economy を唱えていました。首都圏での善戦をはじめ、得票率は 1.5%増で悪くはない。ところが26議席も減らした。
なぜか? 歴史的に地盤としていたスコットランドで、社民路線のSNPに支持をさらわれてしまったから。これはスコットランド独立をめざすかどうかという国制(constitution)問題というよりも、現キャメロン政権(のあらゆる政策)にたいして明白な批判を呈示しているSNPへの支持という政治力学(politics)の問題なのではないかと思われます。
SNP(スコットランド国民党)はスコットランド以外で立候補せず、また近々にはスコットランド独立をはかるつもりもなく、むしろ連合王国政治におけるスコットランド地域の発言力をます、ということが目標です。
元来、グラッドストン、ロイドジョージ以来のリベラルと、80年代の労働党から分離した社会民主同盟がくっついてできた「自由民主党」(Liberal Democratic)-日本の自民党とは成り立ちが全然ちがいます- ですが、2010年から保守党と連立政権を維持して、不本意な「共犯者」の5年間を過ごしてきた結果、有権者から見捨てられたわけです。
3. 結局、これは推測ですが、
イングランドの従来の自民党(LD)支持者が → 保守党へ
スコットランドの従来の労働党支持者が → SNPへ
という大きな地滑りが生じ、スコットランドで労働党の死票がふえた、ということでしょう。選挙戦中には「接戦になる」という予想がもっぱらだったので、それに対応して SNPは anti-Tory, 保守党を連立政権から排除するために何でもすると明言し、つまり労働党=SNPの連立を予期していました。
蓋を開けてみると、232(Lab)+56(SNP)=288、これに8(LD)を足しても全然およばない。(スコットランドとロンドン以外では)反保守党勢力の完敗です。
保守党の one nation をかかげるキャメロン首相にとって、ウィリアム王子の姫シャーロットが選挙戦中に生まれ、大々的に報じられた、というのは、願ってもない追い風となりました。ナイーヴな愛国の国民は、王家とキャメロン一家と現政権下の繁栄を支持して投票場に行ったわけです。
投票率はUK全体で66.1%、スコットランドでは71.1%でした。【総選挙で66%すなわち3分の2が投票に行くというのは、現日本ではありえない数値ですが、イギリスでは伝統的に7割をこえていました。日本人よりはるかに political な nationです! ∴英国民としては(Scottish politics 以外では)、あまり燃える要素がない総選挙だったということになります。】
数値などデータは BBC および The Guardian(どちらも Online)、そして分析の前提は『イギリス史10講』(岩波新書)によります。
選挙予報・世論調査の信頼性という、もう一つの考えるべきイシューも露呈した総選挙でした。
2015年5月6日水曜日
SNP とは「スコットランド民族党」なのか?
否。
日本のマスコミは(新聞協会かどこかで決めたのでしょうか)5月7日の総選挙がらみで「スコットランド民族党」というのが存在するかのような報道が繰りかえされています。これは大間違い。
Scottish National Party とは、その公式のサイトには「スコットランド独立をめざす社会民主主義の政党です」とあり、民族うんぬんはいっさい言っていません。
→ http://www.snp.org/about-us
1) つまり右翼ではなく、社民の政党で、現保守党=自民党連立政権に反対する、というのが一番のポイント。選挙結果により連立が組まれる場合も、anti-Tory (トーリ党を政権に入れない)という方針で動く、と明言しています。
2) 雇用、福祉と地方自治、減税、環境、EU堅持を訴え、緊縮財政・ネオリベラリズムに反対しています。
→ votesnp.com/docs/manifesto.pdf
3) ロンドンの現 Westminster politics に反対してまずはスコットランドの発言力を増す、というのが第1の political な課題。次いで第2に(1707年に消滅した)スコットランド国の再生・独立、という constitutional な目標をかかげています。
すでに1999年からエディンバラに議会(Scottish Parliament)は存在し、機能していますが、完全独立国家になろうとしているわけです。(カナダやニュージーランドと同じような)英国王を元首としていただく、英連邦内の主権国家になろうという主張です。
4) その結果(おそらくは同君連合という関係になる)イングランド王国もまた改めて、手続きをへて独立国家となるのかどうか、ウェールズはどうするのか、は礫岩政体の、今後の重大・国制イシューですね。
∵なにより、大前提ですが、「スコットランド民族」というものは存在しません。ハイランドのケルトの血が騒ぐとかいっても、ロウランドは全然ちがうし、スコットランド住民には黒人もアジア系も多い。スコットランド国民(Scottish nation)という政治的な国民の党なのです。
∴結論:SNP の正確な訳は「スコットランド国民党」です。21世紀だから多民族党、というのではなく、Nation を民族と訳すことに無理がある。「国民」と訳しましょう。 ちなみに「アイルランド民族」というのも存在しません! すでに19世紀からアイルランド自治をかかげた Irish National Party 「アイルランド国民党」(80議席ほど)が、やはり二大政党政治のなかでキャスティング・ヴォートを握っていました。グラッドストンの時代にも理念型的な二大政党政治があったわけではありません。 cf. 『イギリス史10講』pp.227, 244-6, 267-8, 277-8.
歴史学や政治学や社会学における常識を、マスコミの皆さんも考慮にいれて、尊重してくださいね。マスコミ(デスク)の知的水準が問われますよ。
日本のマスコミは(新聞協会かどこかで決めたのでしょうか)5月7日の総選挙がらみで「スコットランド民族党」というのが存在するかのような報道が繰りかえされています。これは大間違い。
Scottish National Party とは、その公式のサイトには「スコットランド独立をめざす社会民主主義の政党です」とあり、民族うんぬんはいっさい言っていません。
→ http://www.snp.org/about-us
1) つまり右翼ではなく、社民の政党で、現保守党=自民党連立政権に反対する、というのが一番のポイント。選挙結果により連立が組まれる場合も、anti-Tory (トーリ党を政権に入れない)という方針で動く、と明言しています。
2) 雇用、福祉と地方自治、減税、環境、EU堅持を訴え、緊縮財政・ネオリベラリズムに反対しています。
→ votesnp.com/docs/manifesto.pdf
3) ロンドンの現 Westminster politics に反対してまずはスコットランドの発言力を増す、というのが第1の political な課題。次いで第2に(1707年に消滅した)スコットランド国の再生・独立、という constitutional な目標をかかげています。
すでに1999年からエディンバラに議会(Scottish Parliament)は存在し、機能していますが、完全独立国家になろうとしているわけです。(カナダやニュージーランドと同じような)英国王を元首としていただく、英連邦内の主権国家になろうという主張です。
4) その結果(おそらくは同君連合という関係になる)イングランド王国もまた改めて、手続きをへて独立国家となるのかどうか、ウェールズはどうするのか、は礫岩政体の、今後の重大・国制イシューですね。
∵なにより、大前提ですが、「スコットランド民族」というものは存在しません。ハイランドのケルトの血が騒ぐとかいっても、ロウランドは全然ちがうし、スコットランド住民には黒人もアジア系も多い。スコットランド国民(Scottish nation)という政治的な国民の党なのです。
∴結論:SNP の正確な訳は「スコットランド国民党」です。21世紀だから多民族党、というのではなく、Nation を民族と訳すことに無理がある。「国民」と訳しましょう。 ちなみに「アイルランド民族」というのも存在しません! すでに19世紀からアイルランド自治をかかげた Irish National Party 「アイルランド国民党」(80議席ほど)が、やはり二大政党政治のなかでキャスティング・ヴォートを握っていました。グラッドストンの時代にも理念型的な二大政党政治があったわけではありません。 cf. 『イギリス史10講』pp.227, 244-6, 267-8, 277-8.
歴史学や政治学や社会学における常識を、マスコミの皆さんも考慮にいれて、尊重してくださいね。マスコミ(デスク)の知的水準が問われますよ。
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