2012年10月19日金曜日

Offshore !?


 ぼくが不在中の自宅に「ロンドンの銀行、 HSBC とかいう所から電話がかかってきて早口でまくしたてるので困った。話し手の電話番号だけはなんとか聞き出したから、なんとかして」、との家族からの電話。

 うーん、たしかにぼくの銀行口座は(むかし British Council に指定された Midland Bank)いまは合併後の HSBC にある。でも必要な通知はいつも郵便でくるのに、なぜ電話なんだ?緊急のことといえば AJC ? でも、ちょっと怪しい。

 で、念のために、言われた電話番号を Google で検索。

 すると、いくつかのblogでの言及とともに、HSBC Africa のページが上位にある。慎重にそのページにアクセスすると、

OFFSHORE: Welcome to offshore banking with HSBC Bank International . . . .

これはうそのページではなさそうだ。トップにロンドンの電話番号が記されていて、Get in touch . . . とある。あらゆる可能性がまだ否定できないが、結局、こっちがあまり英語のできない日本人だということをよく分かってない若手職員による、ごく普通の「営業トーク」だったのかもしれない。お疲れさま。

 ちなみに offshore とは、大陸から海を隔てた「ブリテン諸島」とか「日本列島」とかいう意味じゃなくて、海外居住者向けの金融ビジネスで、税制・法制上の有利をはかるもの;日本でタックス・ヘイヴンと呼ばれるものと関係する場合も関係しない場合もふくむ概念のようだ。

 英国の銀行口座を持ってるといっても、それは32年前の留学生として開いた口座を維持しておいたほうが細々としたことで便利だ、というだけで、残額も微々たるもの。有利な運用もなにも無縁なのだが。円とポンドで桁を間違えたんじゃないでしょうね。--とはいえ、ガラパゴス日本の平和で安全な日夜にぼんやりしているうちに、「上客」と見まがわれたか。気をつけましょう。

2012年10月1日月曜日

Hobsbawm, 95 years old

こんなメールが飛びこんできた。
ケインブリッジのAJCでは、ホブズボームは元気、ロシア革命と同い年、と話題にしていたのだが。
Dear Kazu

Sad to say, Eric Hobsbawm died today - we were talking about him at the AJC.
See http://www.bbc.co.uk/news/uk-19786929

〈以下は一晩あけて、10月2日に加筆〉
 1974年に初来日、東大社研の研究会で労働者文化とコミュニティについて質問。社会学にたいして厳しい見方をしていることに、意外な印象をえました。70年代の日本では歴史学と社会学が近づいていたので。【今から振り返ると、ただ柴田三千雄と高橋徹、二宮宏之と宮島喬が仲良かっただけのことかな?ぼくじしんも学部時代は社会学か西洋史かと悩んだんですよ。】
 1980年に留学して、ただちにロンドンのホブズボーム・ゼミに出ましたよ。いつも椅子の数よりたくさんの出席者であふれる盛況。床や窓や机に腰かける者もいて、活気がありました。その年のクリスマス前にゼミのあと、ジョン・レノンが殺された、と耳にして、ケインブリッジに帰る列車が激しく揺れるのを、恐ろしく感じました。
 ホブズボームの仕事について、ぼくは何度か書きました。たとえば樺山紘一(編)『現代歴史学の名著』(中公新書、1989);「同時代史としての20世紀論」『週刊読書人』(1997年5月16日), etc. それから、こんな小文をウェブに載せていたのを忘れかけていました。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/HobsIoT.htm
ホブズボームの仕事は立派だけれど、その質と広がりに見合う日本語訳書はきわめて少ない、というのが残念ながら事実です。
彼のインタヴューは『歴史家たち Visions of History』(名古屋大学出版会、1990)のトップに収められています。