2014年5月30日金曜日

『民のモラル』(ちくま学芸文庫)

 ご無沙汰しています。5月は wunderschoen というわけには参りませんで、
多くの皆さまにご心配をかけてきました。

 ただこの間にも筑摩書房と精興社の方々は獅子奮迅のお仕事を進めてくださり、そのおかげで、順調に『民のモラル』の改訂版が出ます。6月10日発売、本体1300円です。
筑摩書房のページ・著者近影も
こちらでは山川版とちくま版、それぞれのカバーデザインをご覧に入れます。
山川のカバー写真(1993)では、なぜか赤色が強調されたうえ全体に黒っぽくなっていました。まるで夕焼けの街頭みたいに。
ちくまのカバーおよび口絵(2014)では、青色の要素もしっかり表現され、白昼、青空の下の光景であることが歴然。

 せっかくこの機会をいただいたので、今となっては中途半端な終章「新しい文化史」は削除し、副題を「ホーガースと18世紀イギリス」と改めて、焦点も議論も明快な本としました。本文も巻末の史料・文献解題もミニマムながら補正して、2014年の刊行物として意味あるものとしました。なおまた編集担当者の熱意のおかげで地図など図版を追加することができ、18世紀なかば、Rocqueのロンドンを、シティのニューゲイト監獄・市門から、ホーバンを西に、聖ジャイルズ教会を経由して、オクスフォード街、そしてハイドパーク入口のタイバン処刑場までたどって歩けるようにしました。じつは今日でも基本的に(微調整すれば)この260年前の地図で歩くことができるんです! 見開きの地図が、右から左へと、次々に連続します。

 本とは一人では出せないものと承知はしていましたが、今回もつくづく、その認識をあらたにしました。
あとがきに名を挙げた方々に、感謝。

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