2017年4月4日火曜日

痛みと感情のイギリス史

前々から予告されていた6人の共著『痛みと感情のイギリス史』(東京外国語大学出版会、2017年3月)を手にしました。
まずは第一印象を。
目次を見ても、期待感をそそられますが、さらにカバーを取り去り、本体を見て驚きました。瀟洒です。紙なのに、しっかりして柔らかく、手になじむ上品な装幀。
http://www.tufs.ac.jp/blog/tufspub/

しかし、この装幀、ぼくも知っているぞ、と記憶をたどりつつ書棚から引き出したのは
英国をみる: 歴史と社会』(リブロポート、1991年)です。
この共著は慶応ボーイの企画にぼくが紛れこんだ異文化遭遇の本でしたが、元筑摩書房のリブロ編集者(現・書籍工房早山の社長)が入れ込んでやってくれたのですが、
「ちょっといい物にしました」と控えめに自慢していました。

とはいえ、ちょうど手になじむ大きさ、版面の美しさ、赤いしおり付き!
今回の『痛みと感情』には負けます。しかも、2600円! どうして可能なんでしょう?
これだけ読者に物としての感触的喜びをもたらす本は、あまりありません。

もう一言つけ加えます。
英語のタイトル Pain and Emotions in British History については、
Pain and Emotion . . . あるいは Pains and Emotions . . . というのがありうるけれど、
Pain だけが単数形で抽象化された概念、
Emotion は複数の具体的な、さまざまの喜怒哀楽・快不快、
というのは、どうでしょう。明快な説明が必要です。
たしかベンサムの場合は pleasure and pain ないしは all sorts of pleasures and pains でした。

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