2017年4月26日水曜日

〈歴史のフロンティア〉は今


 1993年11月から刊行の始まった山川出版社の〈歴史のフロンティア〉。最初だけ2冊配本で、近藤『民のモラル』と森田安一『ルターの首引き猫』が出ました。それから、松本宣郎『ガリラヤからローマへ』、喜安朗『夢と反乱のフォブール』、荻野美穂『生殖の政治学』、石井規衛『文明としてのソ連』、山本秀行『ナチズムの記憶』‥‥と続き、90年代半ば、歴史学の一風景をなしたのではないかと思います。
 結局、出版環境の変化と担当編集者の退職により、計20巻、本村凌二『帝国を魅せる剣闘士』(2011年)が最後となってしまいました。
 四六判の立派な装丁による定価2600円~2700円の本には一般学生が手を伸ばさないという時代になって、それならと、文庫に形をかえて出版されるのは、歓迎すべきことでしょう。文庫版として出た順で並べると、
・近藤和彦『民のモラル - ホーガースと18世紀イギリス』 ちくま学芸文庫 2014年(364 pp.) 1300円
・谷川 稔『十字架と三色旗 - 近代フランスにおける政教分離』 岩波現代文庫 2015年(306 pp.) 1240円
・松本宣郎『ガリラヤからローマへ - 地中海世界をかえたキリスト教徒』 講談社学術文庫 2017年(341 pp.) 1130円
 それぞれの出版社・文庫担当者の方針と見識が現れているかと思われます。講談社はずいぶん安く仕上げましたね。ただし、1ページに18行つめこんでいます。
 この次に文庫版で出るのは何でしょう。すでに準備されているのでしょうか。ぼくが出版者ならただちに「これ」と推せるものがありますが‥‥。

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