2017年5月11日木曜日

マクロン、マカロン?


 フランス国民がEU堅持(その中での改革)を選んだうえで、ラ=マルセイエーズを合唱した、というのは、穏健で健全な安全運転と受けとめられます。去年のイギリスの熟慮なき失策から学習しているとも言えます。
 イギリスは、去年のレファレンダム、今年3月の離脱交渉開始宣言によって、これからかなり無駄なエネルギーをEUとの交渉に割かねばならず(身から出た錆です)、有権者と政権が連続して間違った選択をしたことを長期的には悔やむことになるでしょう。
 もしEU官僚のやり方に不満があったとしても、EUのなかで闘うべきでした。21世紀のイギリス(UK)およびヨーロッパ(EU)の衰退の始まりとして2016-17年は記憶されることになる。イギリス史をやっている者として、またヨーロッパ文明から学び続けてきた者として、悲しいことです。
 そうしたヨーロッパの暗い見通しのなかの微笑ましい事実は、マカロンのような顔をした新大統領の25歳も年上の(!)ファースト・レイディ、ブリジット(Brigitte Macron)。高校の女先生と、こうなる、そして続くって、「あり」なんですね。

 マカロン大統領の道は険しく、じつは議会の牽制をうけてあまり強力な政治力は発揮できないのではないかと予測されています。しかし、強力な政治力と決断ばかりが良いとは限らない。問題の先延ばしが悪いとは限らない。困難な時代の上手な保留は、合理的な選択です。『イギリス史10講』p.95.

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