1月末の拙著『『歴史とは何か』の人びと E.H.カーと20世紀知識人群像』(岩波書店)の刊行は、個人的には人生の一大事(!)なのですが、いま真冬の解散・総選挙という国民的大イヴェントのほうに人びとの関心が向いています。これじたいは健全なことなのですが、著者としてはほんの少しさびしい。ところが、政治文化の大きな転変、「大変貌」も予測されて、気がかりで、正気にかえります。8日(日)に投票所に行けない人は、不在者投票をしましょう!
拙著については、ふだんからお世話になっている方々から反応を頂いています。ありがとうございます。個人を特定する固有情報は除いて、順にエッセンスのみ紹介させてください。
NMさん
‥‥じつは二日ほどで、ほとんど拝読いたしました(後さき 行きつ戻りつもありましたが)。なんて沢山のものをお読みになって、桁外れのひとの頭のなかと人生とイギリス人のありようを活写なさったのかと、感じ入りました。‥‥本当にものを読むのがお好きなんですね。
ACさん
‥‥先生が長年、多彩な歴史家の皆さんとの交流を大切にされ、楽しんでこられたご様子を、まのあたりにしてきました。ですので、舞台を20世紀イギリス歴史学界にして、「知識人群像」というこのご本をお書きになられたことにつきましては、なるほどなと感じております。
少し驚きましたのは、ホモソーシャルで知的な側面ばかりでなく、取り上げられた方々のこだわりや失策や性愛にいたるまで、しっかり描かれていることです。女性たちの矜持や生き方も語られていて、実に興味深いです。全体に人物像がとても生き生きしており、立体的だと感じました。なんだかワクワクしてきて、読み進めていくのが楽しみです!! 個人的にはリチャード・コッブの『革命軍』を見つけ、なつかしくて涙が出そうになりました(笑)
ITさん
‥‥カーを取り巻く群像をポリフォニックに描くという離れ業へのご挑戦、流石としか言いようがありません。その「雰囲気」は芬々と本書全体から醸し出されています(人間工学的に優しい書籍の大きさ・重さも含めて)。 ケインブリッジの地図を眺め、ずいぶん昔に案内していただいたカレッジ群やケム川辺の風景、雑踏などが頭のなかに重奏的に甦ってきています。
全体は I~IIIの3部構成になっていて、Iの内部的オーソドックスな知的関係、IIの外部からの知的刺激、IIIのジェンダー的様相の3楽章は、それぞれ異なる旋律とハーモニーが奏でられるであろうことが早くも予感されてワクワクします。そして『図書』の連載原稿には、大幅に手が加えられ、‥‥各章に付記が周到に配されていることにも、読者への心遣いが感じられます。そしてポリフォニーのさらなる増幅がはかられているようでもあります。
HMさん
‥‥大変興味深いです。ケインブリッジの芝生のかぐわしい匂いがよみがえります。 同じ頃私はパリに留学していました。まだブローデルもフーコーも健在だったのに、視野の狭さと博論作成の難しさのゆえに、彼らの講義に出席することはありませんでした。今になってとても残念に思っています。 [‥‥] が日記を残しており、それを読むと歴史学者とその学問がその人の生きた時代の思潮の影響を、半ば無意識のうちに強く受けていることに気付きます。
HYさん
『図書』で欠かさず拝読していましたが、あらためて拝見すると、アングロフォンの知識人を中心とするカーの生きた時代の知的コミュニケーション空間が甦ってくるようです。その時代の思想空間を全体として反映するポリフォニーでなくとも、今日までなお歴史家に課題を提示する通奏音が聞こえる気がします。また何より生身の人間としての歴史家たちの交わりの物語が楽しめるのが喜ばしい。 こういう世界が、そしてこのようなスタイルの伝記的叙述を誘発するような歴史家(たち)は今後なお存在するのだろうかと思ってしまいます。
なお、新著の刊行にともない、じつに何年ぶりかですが、右上のぺージ = FEATURES も対応して、少しづつ更新してゆきます。よろしく。

0 件のコメント:
コメントを投稿