帰国してこのかた、このブログは間遠になっていますが、その一般的な理由は、帰国翌日の文学部講義からただちに平常業務に復帰して、また内外の公務を処理して、余裕がなかったということ。もう一つ、やや憂鬱な特定事情がありました。話は長くなります。
ぼくは海外で使う財布と国内で使う財布をわけて、中身はそのままとし、出入国・通関の前後に2つの位置を鞄から衣服のポケットに(& vise versa)替える習慣にしています。こういうことはあまり公衆の面前ですべき仕事ではないと考えて、トイレやあるいは飛行機の座席で落ち着いておこなうのが普通。こんどの帰国に際しても、機内でそれを済ませたつもりでいたのですが‥‥。
9月29日昼ヒースロウ発 V社の帰国便はむやみに混んで、しかも機械チェックインで夫婦別々の席になってしまったので、非常口脇の脚部が十二分に空いている51A-Cに替えてもらいました(二人で計75ポンド)。空間があってよいのですが、欠点は前に座席がないのでちょっとものを置くネット袋がなく、また手荷物を座席下に置くこともできない(頭上の物置にあげるしかない)という点です。
座席ではケインブリッジで完成しなかったペーパーに、未練がましく推敲をいれ(それどころか議論の順を変えてパラを移動してみたり‥‥)、それにしても鞄がすぐ足下にないと、こんなにも不便とは‥‥。食事のあとはちょっと気を抜いて映画 Robin Hood と Bollywood を見て、あまり睡眠できないなぁ、と疲労感とともに、30日午前、雨模様の成田に降り立ちました。日本としては涼しいのかもしれないけれど、14度15度のイギリスから来ると残暑を感じる。
離陸時と着陸時に非常口前に対面して着席する客室乗務員の美女とのあいだで、ケインブリッジのパントがむずかしいとか、清澄白河がどうとかいったローカルな話で盛り上がったついでに、彼女は「成田から東京に出るには疲れたときにはリムジンバスが一番」という意見。そもそも通関時に別送品(25キロ×2)を申告し、税関の捺印申告書をヤマト運輸の「GPAお預かりカウンター」に提出。そのとなりの宅急便で大きなスーツケース2つ(33キロ+30キロ!)の即日配達を託してようやく身軽になり、ふだん使っている鉄道ではなくリムジンバスへ。そうか、箱崎ばかりでなく、東陽町「イースト21」行きのバスもあるんだ、と目を開かれ、快適な高速の帰途についたのです。
10月1日は早暁から目ざめ、講義の第1回目を慌てて済ませ、その後さっそく学生と面談はいいけれど、*出版社もただちにやってきて、これとそれとあれのスケジュールの念押し。
2日と経つうちになんだかおかしい。ポンドや University of Cambridge のカード、CULの利用票をいれた財布がどこかに紛れてしまっている‥‥。
V社に連絡しようとしても、少なくともインターネットには成田・東京のメールアカウントは無いようだし、ようやく探し出した電話番号も月曜~金曜のみ受付! いくら日本便を軽く見ているとしてもそれはないよ。‥‥ようやく4日アサイチに電話してみました。応対は丁重ですが、調べたあげく、午後にそうした遺失物の連絡はありませんという返事。
うーん、こちらの不注意というか、無意識におこなった習慣的行動の確認不足のせいで紛失したらしいのだから、20ポンド紙幣5枚~10枚未満+コインは諦めるとして、ケインブリッジ大学のカードと図書館利用票は(もしロンドン便に乗った誰かがこれを見つけて)悪用しようと思えば可能だ。これは連絡しておかないと面倒なことになるかも‥‥。
翌5日、歯医者、三菱財団、11月の京都出張、etc. の処理をしているうちに、自宅から電話。久松警察署から東大へ連絡があった、という連絡があったとのこと。? ただちには意味が飲みこめず。
翌6日午前に日本橋・人形町の久松警察署(なるものが存在するとは初めて知りました)に参上。リムジンバス会社からの遺失物届け出のうちの一つに Kazuhiko Kondo のカードと外国の通貨の入った財布があったとのことで、落としもの係で、簡単な確認の後、無事143ポンド余り+University of Cambridge のカード+CULの利用票+クレアホールのコピーカードを手にしました。リムジンバスの座席前の網袋に置いたままだったのです。
V社には(掃除が行き届かないとか)根拠のない嫌疑をかけて済みませんでした。
それにしてもリムジン会社は一律に所管の久松警察署に届けることにしているのでしょうが、警察はどうやってぼくの日本のアイデンティティを探し当てたのでしょう。昔むかし41年前の記録?ヤマカン?
でも若い人によると、ウェブでローマ字の氏名 + university で検索すれば一発。しかもカードに顔写真があるからコンファームもできる、とのこと。そうかもしれない。
そういえば、このネットの検索力を信じているからこそ『イギリス史研究入門』では、『アメリカ史研究入門』のように長たらしい URL を記すことなく、Googleによるキーワード検索を原則としたのでした!
日本の安全平和と、警察の有能さを再認識しました。円強(日本の底力の高い評価)の傾向がつづいて、しごく当然ですね!
関係者の皆々さま、ありがとう。
というわけで10月6日まではこのブログに書きこむ元気も消沈し、6日からは気を取りなおして公校務に紛れ、土日は風邪の症状が始まり‥‥今日にいたるわけです。
暑いのか寒いのか、身体のほうであまり対応できないようで、ちょっと困りました。
皆さまはどうぞご自愛ください。
2010年10月11日月曜日
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