拙著の読者からのご感想の第Ⅱ弾です。お寄せくださった皆さま、ありがとうございます。たいへん嬉しく、また励みになり、著者冥利に尽きるとはこのことです。個人的固有情報は除き、エッセンスのみご紹介いたします。
AMさん
‥‥岩波の『図書』に連載されていたエッセイは、部分的に読んでいたのですが、内容に引き込まれて、先週末に一気に読み終えました。「人物対照年表」を見ながら、錯綜した人間関係とOxbridge, LSEとの関係を改めて見直すことができました。
描かれる人物像とともに、付記の部分にも引き付けられました。付記12の、英米の出版事情の相違と、ご自身のオリジナルな史料的「発見」の部分は、さりげなく書いてありますが、本書における重要な独自性にもなっていると感じました。
KHさん
‥‥すぐにご本を拝読いたしました。複雑な面白さなので、読んでいると止まらなくなって2晩で読了。二、三の感想を記して御礼にかえたいと思います。
登場する歴史家たちの大半について、学生時代以来さまざまの読書で学んできました。このご本の I部では文句なしに、第6章 経済史家にして教育者、トーニ。
II部では、第7章 フランス革命史-ルフェーヴルとコッブ、第9章 バーリンとドイチャ、カーの二人の友人 の両章がすばらしい。私はバーリンは大嫌いでしたが、今回その理由が分かったと思います。ルフェーヴルの本は何冊か持っていますが、やはり筋金入りの歴史家であることを納得。
III部は、とてもきつい。戦後育ちの私は、第15章 E・H・カーと女性たち を読むのが辛かった。時代的被拘束性は分かっていますが、それにしても何というカーなのだ、と。この本はこれから何度も読み直すと思います。
率直な不満があります。第8章 『パースト&プレズント』の歴史家たち の記述にはやはり不十分さを感じました。私は、学生時代からホブズボームの仕事が好きでしたので、E・H・カーとホブズボームはいったいどのような関係であったのかを知りたい。その探索の可能性は果たしてないのでしょうか。‥‥
YNさん
‥‥引き込まれるように一読させていただきました。素晴らしいご著書で、感嘆しております。
E.H.カーを軸に、20世紀を歩んだイギリスの歴史研究者を、その研究や大学人としての歩みだけでなく、全人格とともに描写し尽くす。これは並大抵なお仕事ではないと、門外漢ながら感じ入っております。英国におけるオックスブリッジの位置、また学寮を基礎とする大学の社会や機能、そこを主な舞台として繰り広げられてきた20世紀英国の歴史学の状況が、きわめて鮮明な像として描かれ、とてもよく理解できました。
いくつも印象的な部分がありました。
*ネイミアのいう、歴史家の仕事は画家に似ている、医者の診断に似ている。。。
*(歴史家の)頭のなかで響いていた音を聞き分ける
*ハスラム「カー評伝」における、私生活を含め「全人格をあつかう」という手法
*こうした視点で叙述された「知と愛とセクシュアリティー」の各章
また、ぜひ再読させていただくつもりです。
KSさん
‥‥興奮をもって読了しました。
激動の20世紀のイギリス主要大学で、伝統の血/知と外国からの新しい血/知が混ざり合い、濃密な人間関係の中で、互いの仕事を意識しつつ、強烈な自負をもつ、総じて「奇矯な」人びとが、教え学び、時代の荒波を生きて、同時代的課題に向き合い、友情や嫉妬や恋心や虚栄心や失望に翻弄されながら歴史を書いていたさまが、息遣いを再現するかのように描かれていて、ほんとうに、ほんとうにおもしろかった。
たしかに人生を生き切ったような綺羅星のごとき人たちの頭を「いっぱい」にしていたことを踏まえてはじめて、その人の仕事の真の評価ができるのだなと思います。
本書は、まことに「ポリフォニック」な作品だと思います。カーを出発点にして、数珠つなぎのように人間関係を探査していくうちに、当初計画にはきっとなかったような意外な事実が次々に浮上したのだろうと推察いたします(研究計画に偶然性を組み込んでいる、ということではないでしょうか)。登場人物が勝手に語り出すような、勝手に自己主張し始めるような、そんなところが随所にある気がいたします。著者自身が登場人物のお一人でもあり、そのことが独特の臨場感を与えています。 個人的に、昔お世話になった人に出逢った感もありました。「地上の星」的な存在にも随所で言及しておられるのも素晴らしいです。
本書は一書として自律したポリフォニックな書物ですが、また『イギリス史10講』と『歴史とは何か 新版』とトライアングルを成していて、互いのサブテクストになっているのだな、との印象を抱きました。このようなコンステレーション - 近藤史学の星座 - を観られるのは幸せです。
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