昨日郵便にて、小山内孝夫さんのマンチェスタ大学における学位論文
The Baltic Trade of Hull in the Seventeenth Century in a Regional Approach
が到来しました! 2025年提出、2026年 PhD判定/授与。A4で384ぺージ。待ちに待った朗報です。
卒業論文のヨークシャ毛織物工業から発展して、北海貿易、ズント海峡の重要性、国民経済論批判としての region 重視。副次的に史料の信頼性についての比較考量も。添えられた私信には「‥‥図表の多い不格好な論文となってしまいました」とありますが、そんなことはない。経済史の論文には図表はたっぷりあったほうがよい。Patrick O'Brien も Georges Lefebvre も図表たっぷりの1000ぺージを越える学位論文(国家博士論文)を仕上げたものです。
Google で検索してみたら、マンチェスタ大学のサイトで当該論文に一発でアクセスできました。↓
https://research.manchester.ac.uk/en/studentTheses/the-baltic-trade-of-hull-in-the-seventeenth-century-in-a-regional/
だれでもフリーで学位論文を読み、ダウンロードできるのですね! 昔、未刊行学位論文を読もうと思ったら(当該大学に参上するか、相互貸借で取り寄せて)誓約文にサインしたうえで図書館内で読んだものです。やがて個人の研究用に複写をとることが許されるようになり、今では誓約文もサインもなしで入手できるとは、時代も変わりました。
たしかにかりに勝手に(許諾なしに)盗用/剽窃した場合、原論文も剽窃論文も公共空間にあれば、だれでも比較検証し、剽窃を指摘できるわけで、クッキーも残るし、大丈夫なのだ!
【小山内さんには、これから英語感覚が鋭敏なうちに英語論文の発表/publicationを優先することを勧めます。Publish, or perish! という箴言は、嫌われながらも、今も学界通用の警句です。】
これから個別チャプターごとに分けて日本の専門誌に投稿するというのは、手間がかかるわりに効用の乏しい作業かもしれません。というのは、問題意識と研究史を明らかにするために、イントロなどで日本人向きの工夫・手当てを加えることが必要で、手間ひまかかりすぎるかも。投稿を受けた編集委員会の側でも、章だけの議論は too specific とか言って不採用とするかもしれません。
むしろこの学位論文全体をまとめて一挙に一巻の専門書として公刊するなら、小山内さんの研究の独自性・オリジナリティ・包括性、これが文句なしに明らかにされて、歓迎されるのではないでしょうか。その独自性・オリジナリティ・包括性については、上のウェブぺージの最初におかれた Abstract に12・3行でじつにストレートに記されています。