2010年5月18日火曜日

日時計



 どうしてイギリス人はこんなに日時計が好きなんだろう、と前々から不思議でした。
 Dry とは(関東地方の冬のような)乾燥でなく、「雨が降っていない状態」つまり曇りのことを言い、毎日毎日、天気予報は sunny spells with scattered showers と言ってれば当たる、という国です。オクスブリッジのすべての学寮に備わっている日時計は、なんの役にたつのでしょう。

 今日、わが Clare Hall の煉瓦の家と芝生とちょっとした木や花が連なる、こぢんまりしたgarden を散策して、こんな庭がわが集合住宅にもあると最高! と思った最後に、blackbird (日本語でクロウタドリって言うんですね!) に導かれて日時計に遭遇。
 写真のとおり5時前を指していますが、いまは夏時間なので、じつは6時前。めずらしく快晴の im wunderschoenen Monat Mai, 花ひらき鳥うたう中で、小さき日時計にはこういう碑が刻んでありました。S方角の ∴ から文章が始まります。時計の反対回りに読んでください。
   Let others tell of storms and showers ・
   I'll only count your sunny hours
 ふふふ。
 日時計の真実を淡々と語りつつ、昔あるパブで見つけた
'A friend in need is a bloody nuisance'
といった正直な人間心理も、上品に伝える。How witty!

 日時計って、時を伝えるためじゃなくて、一人歩くひと、語りあう二人に、真実=心理を突きつけて局面を展開させるための碑文として、設けられていたのか。【かつては必ずのようにラテン語、今ではたいてい英語です。こちらはラテン語リテラシの問題でしょうね。】 つまり一人か二人で歩くのが好きなイギリス人には、晴れでも曇りでも、日時計の碑文が memento として必要なのでした。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

                 
                
  

近藤 さんのコメント...

ご心配いただきましたが、ようやく5月らしい天気が続き、今日も快晴で、24度になるとの予報です。

こんどの日曜が Whitsunday なので、今日(水)のディナーは特別の
Whitsun feast です。「1715年マンチェスタにおける恐るべき群衆」でも、『民のモラル』でも Whitsuntide (Pentecost)の民衆文化的な意味については記しましたが、インテリ集団の学寮でも特別にお祝いするのですね。