コメンテータのお一人が事前のパワポでたいへん重要なことを言ってくださっていたのに、当日欠席で、討論できなかったのは残念でした。ぼくとしても「ECCOから見えるディジタル史料の宇宙」『歴史学研究』1000号(2020年9月)よりさらに一歩踏み込んで議論すべきことがありました。
個人的感想としては、1994年以降のアイルランド和平交渉が進んだ中で I. Paisley のような長老派ユニオニスト(宗派主義右翼)が、オールマイア・パワポでも紹介されたような、2010年10月22日の発言(演説)をしたことが決定的に重要だと思います。
. . . A nation that forgets its past commits suicide.
サッチャ時代の荒廃をなんとか癒やし矯正すべく、そのための環境作りをした保守党メイジャ、労働党ブレア政権をいま再評価すべきでしょう。
宗派主義にたいして世俗合理的に考え、かつ影響力をもつ人の働きが決定的に重要となる局面が歴史にはあります。1598年のアンリ4世、1919-48年のガンディ。
日本では1990年代後半に、80台後半だった林健太郎さんが「日中戦争は侵略戦争であって、いかなる意味でもそれは否定できない」と他ならぬ『朝日新聞』に寄稿したことを想い出します。お弟子さんたちが「これはすばらしい遺言だ」と感激していました。欲を言えば、参議院議員をしている期間に、国会での演説として議事録に刻みこみ、広く国際的な物議をかもしてほしかったですね。
なお Jane Ohlmeyer については、今年初めの「フォード講義」@Zoom
Ireland, Empire and the Early Modern World ↓
https://www.rte.ie/history/2021/0304/1201023-ireland-empire-and-the-early-modern-world-watch-the-lectures/ (梗概と動画50分×6)
そして新聞などでの積極的発言 ↓
https://www.irishtimes.com/opinion/ireland-has-yet-to-come-to-terms-with-its-imperial-past-1.4444146
が、とても好ましい。マスコミがそれだけ知識人を大切にしている文化の現れでもあり、日本におけるぼくたちの側の工夫が不足していることの現れでもありますね。
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