2016年12月31日土曜日

2016年から2017年へ

世界史の潮流を変えそうな勢いの、今年おこった2つの事件を挙げるとすると、第1にアメリカ合衆国におけるトランプの当選、第2にヨーロッパ連合(EU)とイギリス(連合王国)の関係でしょうか。マスコミでいろいろと言われていますが、アイデンティティと秩序をめぐって、ぼくが『図書』1月号に書いた程のことを指摘している記事はあまり多くない。
重大事故の原因は、つねに一つではなく複数。革命は(ピューリタン革命もフランス革命もロシア革命も)つねにいくつもの要素の複合した情況(contingency)の産物です。
右か左か、白人中間層の不満、反エリート・反既得権益・反知性主義の「箱」を開けてしまったネットメディア(SNS)の存在も、たしかに問題でしょう。しかし、現状および将来に不安を抱く中間層(とそれに取り入るポピュリズム)だけで過半数を占めたわけではない。それとは性格のちがう要素も一緒に複合しています。
権力闘争という要素もあったでしょう。それらに加えて、イギリスでは立憲主義(議会主権)という問題、アメリカでは既得権益でうまくやってきた共和党成金たち(Trump家もその例)のさらなる利権欲もあったでしょう。フランス革命が民衆の反乱よりも、まずはアリストクラート(特権貴族)の反動から始まったことを忘れてはなりません。フランス革命の研究史から学ぶことは多い。

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