2010年7月17日土曜日

ノリッジ → キーン → IHR: その2



 ドナルド・キーンさん(1922年生、写真は public domainより)については日本国が文化功労者、文化勲章をもって敬意を表して至当と思います。ケインブリッジにおける日本学講師は、キーンの後任がブラッカ(1924年生)という関係だと今回認識しました。
 誠実な語り手ですが、現今の日本学の専門化については歓迎しつつも留保つき、という立場のようです。人文学のサイエンス化という大きな傾向には抗えないとして、しかし丸山、キーン、といった広く深い眼をもつ知識人なしには、世の中どうなってゆくんでしょう。「‥‥長く立っていて足が痛くなってきました」というキーンさんに恐縮して、椅子を勧めて、中世の教会堂を改装して公会堂とした Blackfriars' Hall をジョアナとともに辞しました。 

 異文化について、歴史について、サイエンスとして文句なしの仕事をこなし、専門をこえた明快な洞察も呈示する。そうした学者が少数であっても元気でいる社会でないと、このあとは decline and fall しかありません。今日の学者は、むやみに忙しく、疲弊しています。

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