2016年3月18日金曜日
映画とイギリス史 1
『日本歯科医師会雑誌』という歯医者さん専門の月刊雑誌があって、その巻頭のコラムに連載を始めました。
第1回、3月号(pp.4-5)は「マーガレット・サッチャー:鉄の女の涙」、これは日本での映画公開名。メリル・ストリープ主演の原題は The Iron Lady, 2011年でした。
→ http://www.imdb.com/title/tt1007029/
だれもが知るかつての公人の晩年に仮託した、認知障害・アルツハイマーの患者をテーマとする映画ですが、これは、歴史と証言(そして映像資料)といった問題がシャープに表現された作品としても優れたものだと考えています。
今日の歴史学もまた現代的な学問ですが、連載では、歴史学ではどのようなことが問題にされ、歴史学者はどのような議論をしているのか。とくにイギリス史に取材した映画をとりあげて、知る人ぞ知る歴史的な人物や事件がどう扱われているか、すこし理屈っぽい話をしたいと予定しています。
拙著『イギリス史10講』では、ブリテン諸島に生きた人びとのアイデンティティと秩序のありかたを中心に述べてみました。その際にいくつもの文芸作品や映画に言及しましたが、それは(一部に誤解があるようですが)一般読者へのサービスでも遊びでもなく、むしろ今日の歴史研究における史料と表象といった方法論にかかわると考えたからです。それがどういうことか、これから連載で述べてゆきます。
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