2010年8月23日月曜日

Landed aristocracy その3:御当主夫妻と会見

 じつは18世紀はじめのホウィグ貴族のもう一人の大物、turnip Townsend (すなわち「マンチェスタ騒擾とジョージ1世」の国務大臣タウンゼンド伯) の館も10キロほど離れたお隣さんですが、これは closed to the public.
 夕刻、車で農地のあいだを20分ほど南に戻って、緑のなか、これまた closed to the public と明記してある15世紀の館へ、お茶しに寄りました。

 こちらの当主 Sir John は Trinity Hall の卒業生、高級官僚・国際公務員でした。奥様が相続した館は、玄関のうえの家紋も崩れているように、ちょっとメインテナンス不足とはいえ、内部は16世紀くらいの板に描いた祖先の油絵肖像画が、こっちにもあっちにも掛けてある。【なにしろ奥様は、1770年代はノース首相の末裔でいらっしゃいます。】17世紀のタペストリもあちこちに。わたくしメ夫婦を案内してくださった2階のいくつもの寝室は、あきらかに何ヶ月も開けてない模様。隠れ階段もあるし、夜は怪しげな音も聞こえたりして、ちょっと怖いんではないだろうか。
 Sir John は退職後は美術愛好家で、NPOの理事もしている模様。Who's who にも載っています。レノルズ描いた誰某の肖像画、と話題になると、ただちにそのレファレンスを持ってきて、会話を確かなものにしてくださった。
 この陶磁器室には、サンドリンガムから Princess Anne がお茶しにいらっしゃいます!

 というわけで Sir は「平民」なのか? という問題にあらためて帰着します。今日訪問した3館の主、首相ウォルポールも、農業改良のクックも、もと国際公務員 Sir John も、平民最上位の Sir で、だからこそ庶民院(衆議院)の議員になれたのですが、House of Commons ははたして近藤の言うように「庶民院」でいいのか? むしろ青木さんの言うように、爵位貴族の上院(Lords)に準ずる、爵位なき貴族的下院(Commons)と呼ぶべきだ、というのも、たしかに一理ありますね。
 ただし、Sir を「卿」と訳すのだけは止めたい。卿は正真正銘の爵位貴族にのみあてはまる呼称です。

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