2015年7月11日土曜日

『文化財の併合 : フランス革命とナポレオン』

むしろ新刊書で驚嘆し、おもわず姿勢を正したのは、『物語 』よりなにより、
服部春彦 『文化財の併合:フランス革命とナポレオン』 (知泉書館、2015年6月)
です。
1934年生まれ(81歳!)の服部さんの、これまでとうって変わって、文化政治史のお仕事。「普遍主義ミュージアム」の立場からする略奪・押収・併合と、その後の祖国への返還を分析したモノグラフです。「研究史の概観と課題の設定」から始まって、書き下ろし、xii+481ページ。第Ⅱ部は「フランスにおける収奪美術品の利用」、その第4章は「フランス革命とルーヴル美術館の創設」です。18世紀の絵画カタログを多用なさっているようですが、これらの「ほとんどは現在インターネットで閲覧可能」と。服部先生は IT を活用なさっていたのですね。興奮します。

天上の河野健二、柴田三千雄、二宮宏之、遅塚忠躬としては、これを見て脱帽するしかないのではないでしょうか。地上の現役研究者諸兄も、ね。

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