2013年2月26日火曜日

柴田蔵書


 柴田三千雄先生が亡くなって、5月にははや2年となります。

 その蔵書については、いろいろなことがありましたが、結局、お茶の水女子大学の関係者の皆さんの奮闘で、その図書館に収まる方向で進んでいます。先に遅塚忠躬先生の蔵書がやはりお茶の水女子大学に寄贈されていますので、これと合体し、フランス革命史関連では、もしや日本で一番充実した図書館となるかもしれません。

 その作業の途上ですが、日曜に北原さんと一緒に柴田家に伺いました。2階の書斎の本はもう段ボール箱に収まっていました。1階西の書庫はほとんど手つかずで、洋書はフランス史ばかりでなく、イタリア史、イギリス史、ヨーロッパ史、そして方法論、とりわけ政治文化関連、またあらゆる分野の日本語文献が、ご本人独自の分類によって排架されています。すでに生前に、ロシア史関係はI氏へ、インターナショナル議事録関係はN氏へ、贈与されたとのことですが。

 昔日は手書きのフランス語で購入年月を記入されるだけで、蔵書印はほとんど使われなかったようですが、石は中国にいらした折に購入され、文字は日本で刻印された立派な物があります。お茶大で整理する際にこれを捺すことにしましょう、と方針が決まっています。
 とにかくお茶大関係の皆さん、ありがとうございます。

 この日、先生の蔵書から何冊かいただきましたが、蔵書印を記念に自分で捺して収めました。

2013年2月19日火曜日

50th anniversary of EPT's Making of the English Working Class !


 ハーヴァード大学から、今朝、前触れなく a conference to reflect on the importance of Thompson's work around the world on the occasion of the 50th anniversary of the publication of The Making of the English Working Class への参加の意向を尋ねるメールが到来。開催は10月3~5日だそうですが、proposal は5月、draft paper は9月1日まで、というのはちょっと厳しい。

でも、添付の案内などを熟読のうえ、間をおかず、積極的な返事を出しました。(学期中とはいえ、校務やたいくつな執筆, etc. より、学問と国際的発信のほうが優先ですよ!)
Translating E. P. Thompson: English Idioms and Traditions in Global Context

Class Formation: An Important Category of Analysis in History?

Moral Economies and Political Economy: Culture, Economy and Politics

Spatially Situating Social Processes: Communities, Regions, Nations, World-Systems

などがイシューとして想定されているようです。
ということは、ぼくが出ていって場違いでないことは明らか。というより、ご指名で . . . as an ideal participant from Japan, so I write to encourage you to take part in this event. It would be an honor if you agreed to participate と書いてくださっているのだから、ありがたい話です。「日本におけるEPTの受容」といったよくある話より、もう少し普遍的な意味のある議論をしたいな。

Call for papers にもある表現ですが、
critical engagement with Thompson's legacy
ということで思いの丈を語りましょう。

このところ、ぼくの書くものはすべて「思いの丈」を率直に表明することにしています。かつてレトリックを用いて「上品に」書いたものの、正反対に受けとめてくださる読者もいたりして、これじゃ困る。
残り時間も少なくなってきたことだし‥‥。

2013年2月4日月曜日

『みすず』読書アンケート


『みすず』1・2月合併号(no. 611)、恒例の読書アンケート特集が到着しました。
→ http://www.msz.co.jp/book/magazine/

 例年の特集号ですし、おおくは例年なじみの執筆陣(計158名とのこと)。それぞれさまざまですが、それにしても楽しみな企画です。新刊ばかりでなく旧刊についても、教えられることが多い。

 ちなみに、今回ぼくが言及したのは、

1. 松方冬子『オランダ風説書と近世日本』(東京大学出版会、2007)
  同(編著)『別段風説書が語る19世紀』(東京大学出版会、2012)

2. 石田千尋『日蘭貿易の史的研究』(吉川弘文館、2004)
  同 『日蘭貿易の構造と展開』(吉川弘文館、2009)

3. A. P. Wadsworth & Julia de Lacy Mann, The cotton trade and industrial Lancashire 1600-1780 (Manchester U.P., 1931)

4. John Lukacs, The future of history (Yale U.P., 2011)

です。 今やっている仕事の関連で手にした本、という偏りがあります。これしか読んでないというわけではありませんが‥‥

 去年の特集号については、こちらをご覧ください。↓
http://kondohistorian.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html