2020年10月29日木曜日

記者会見

 学術会議会員の不任命とその後の菅総理大臣および加藤官房長官の説明にならない言い逃れ、といった事態から、じつは学術会議がどうこう、というよりもずっと深刻な情況が明らかになって来つつあると思われます。権力者の意思は黙って貫き、異論は無視して -「人のうわさも75日」だから - やがて、くどくどと同じ対質をくりかえす連中は孤立し、結局は内閣官房の思いどおりに世の中は動き定まる‥‥。その内閣官房の意思は、どのようにして(どんな理由いつだれが言い出して、可能な別の選択肢は不採用として)決まったのか、については「最終的な決済」以外はゴミなので破棄して記録は残さない‥‥。

 このような、法治国家や市民社会にあるまじき、権威主義的な集権国家がいつのまにか登場し、通用し、こうしたことに「おかしい」とか「気持が悪い」とか言うひとはたしかに一定数いるが、それが国民の、あるいはマスコミの大多数にはならない、という情況。これが不気味です。いつこうなったのでしょう?

 古川さんと鈴木さんの始めた change.org の署名活動が、14万人以上の署名を短時間で集めたこと、そして10月13日にこれを内閣府に提出したことはNHKなどで報じられました。 → https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201013/k10012661631000.html

 さらに26日には日本記者クラブで記者会見が行われ、古川さん、鈴木さん、瀬畑さんの発言、質疑の様子が Youtube で(計1時間17分)見られます。組織的でも党派的でもない、3人の誠実さと真意が現れた、よい記者会見だったと思います。まだなら、どうぞ → https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=5W71tY9IqBY&feature=youtu.be

 古川さんのキーワードは不公正(アンフェア)、鈴木さんの場合はわたし個人の考え、瀬畑さんの場合は、政府も自信をもって理由を公けにしてください、でした。

2020年10月22日木曜日

〆切は今日22日(木)

菅政権の反知性主義的で、強権的というより陰険な政治のやり方への抗議の署名キャンペーンが続きます。「西洋史研究者の会」の呼びかけたものは今晩で〆切です。 → https://seiyoushi-kenkyusha-kai.org/

賛同署名者は西洋史研究者に限定していません。あくまで個人的に賛同してくださった方々です。そのご氏名(匿名希望者は除く)は、こちら → https://seiyoushi-kenkyusha-kai.org/index.php/home/sandousha/

携帯の自由競争、前例打破‥‥といった受けの良い政策提言で支持率を維持しつつも、都合の悪い文書記録は残さない/廃棄するという、近代法治国家としてはありえない官房の(断固たる!)方針に支えられた知性攻撃ですから、恐ろしい。

「総合的・俯瞰的」という管理者的で上から目線の言い逃れだけで、なにも理由を説明しない、「木で鼻をくくった」応答に終始するのではいくらなんでもまずいだろう、という発言が自民党議員のなかにもチラホラ出ています。その名は記憶しておきたい。 → 岸田文雄(前政調会長)、稲田朋美(元防衛相)、村上誠一郎(元行革担当相)! こうした議員までもが「説明責任を果たしていない/乱暴ではないか」と言明する事態なのです。

なお、10月2日のぼくの発言もご覧ください。 → https://kondohistorian.blogspot.com/2020/10/blog-post_37.html 

2020年10月14日水曜日

日本史の14万人余り署名

今夕のNHKニュースで14万人余りの署名をもって内閣府へ提出しに行った鈴木淳さん古川隆久さんの勇姿を拝見しました。日本史の近現代史ゼミの元院生の皆さんが見せた結束力。すばらしい。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201013/k10012661631000.html

それから一歩遅れて始まった「西洋史研究者の会」ですが、 → https://seiyoushi-kenkyusha-kai.org/index.php/shomei/

「今回の任命拒否の6人に宇野重規さんの名前が。えっ誤爆じゃないの‥‥」 という声もあります。ぼくもそう思いました。 宇野さんはそもそも自由な人で、その立場を貫いて安倍政権のいくつかの施策に反対を表明していたにすぎない。菅義偉およびその取り巻きたちは、「諫言」(かんげん)という言葉を知らず、「甘言」のパンケーキに囲まれていたい人々なのか。 これでは、自由民主主義の政治家としての未来はありません。

もともとテレビでアップされた菅の「眼」には(安倍晋三にはない?)暗さ・悲しさのようなものを感じていました。おぼっちゃま安倍晋三くんより、実力と運で這い上がってきた菅義偉くんのほうが狭量(非寛容)で、陰険(危険)なのかもしれません。 それが就任時のご祝儀高支持率を背景にして、菅イカロスのように、冷たく結論だけ表明して、「分かるでしょ」「よく考えなさい」という路線を押し出してきたようです。これはモンテスキュのいう専制政治、- 法も徳も名誉もなく - 君公の勝手な都合と「恐怖」によって統治するデスポティスムです(『法の精神』岩波文庫、上、pp. 51, 82-3)。

9日の「3社グループインタヴュー」における「105人のリストは見ていない」という発言は、学者を小馬鹿にしたものでした。万が一にも(見てもだれとは分からないから)「テキトーに5・6人削っといて‥‥」ということだったとしたら、不勉強すぎます。秘書官などに選別をまかせた、即 総理大臣以外の判断結果をみて「99名任用」がなされたということなら、違法性はさらに増しますよ。法学部卒業者なら、そこは分かるでしょ。

このところ、日本も合衆国も連合王国も中国も(!)それぞれの現れ方には政治文化のちがいがありますが、それにしてもそれぞれ大変な時代(great transformation!)に居合わせたものですね。 こちとらも、老いぼれてはいられません!

2020年10月12日月曜日

西洋史研究者の会

みなさま ご無沙汰しております。

菅政権に抗議する署名キャンペーンが始まりました。

このURL、https://seiyoushi-kenkyusha-kai.org/index.php/shomei/ をクリックして署名フォームに入ってください。

行政の長としての器じゃない驕慢な言動のある菅イカロスですが、 まだ高い支持率を引きずり下ろすには、それなりの運動が必要とみえます。 22日〆切としています。

 近藤 和彦  http://kondohistorian.blogspot.com/

2020年10月11日日曜日

パンケーキが怖い

菅義偉が自民党の総裁選挙に立候補したときから、ぼくは懸念を表明していました。

http://kondohistorian.blogspot.com/2020/09/blog-post.html

この人は政権の実務をあずかる能吏かもしれないが、No.1 になる(権力を代表具現する)にはふさわしくない人なのです。何より public speech ができない。むずかしい問題となると、担当官に言わせるか、事前に熟慮した想定問答集のメモにたより、失言しないようになるべく短く答える。

これは官房長官だったときの、あのでかく厚い帳面の端の付箋です。

https://www.asahi.com/articles/ASN962V20N93UEHF008.html

なぜか朝日新聞 Online(9月7日登載)に一つや二つでなく10以上も類似の視角からの写真があります。見てみましょう。

 たくさんならぶ付箋をよく見ると(クリックすると拡大)、

「岸田 30万円」には上に「」、 「30万円 妥当性」には「日テレ」、 「30万円 理由」には「」と朱書されている!

つまりそれぞれ共同通信、日本テレビ、朝日新聞が質問する予定項目(そして答弁)が並んでいるのです!

次の写真の場合は、

「IMF予測」に「共」、 「布マスク配布」に「朝」とか朱書されて並んでいますが、それらの付箋の一番上には

一つだけ薄青い紙で「山口代表」とあります。

つまり公明党の山口代表とのネゴ、あるいは配慮についての想定答弁・メモが(この場合は何社からの質問でもなく)用意されていた! 例の困窮家庭30万円給付から全国民一律10万円給付への転換( → 岸田政調会長の凋落の始まり)の直前に公明党の介入があったことの証拠でもあります!

菅おじさんは、こうした念入りの想定問答集がないと記者団の前に立つのが怖い。丁々発止、臨機応変のやりとりは苦手なのでしょう(岸田、石破、河野とは違うタイプです)。総理大臣に就任してからは通例の記者会見は9月16日のみ、それからはあのパンケーキ朝食会をはさんで、10月5日には読売新聞、北海道新聞、日本経済新聞の3社、9日には毎日新聞、朝日新聞、時事通信の3社に限定して「グループインタヴュー」なるものを設営しただけです。3社が総理を囲むように座して(予定の質問を発し)、他の記者クラブ各社はそれをただ傍聴する。当日志望の他のマスコミはクジで当選したら別室で音声のみを傍聴する(!)とかいう設営。

なにかとんでもなく「公共性を怖がる首相」を自由民主党は選んでしまったようですよ。外国メディアからあきれられても、当然です。菅個人というより、こうしたことを横行させる自民党、マスコミ、そして有権者の問題です。

2020年10月8日木曜日

田中優子さん、カッコいい!

法政大学のサイトにすみやかに総長メッセージが出ていたのを知りませんでした。 「日本学術会議会員任命拒否に関して」と題する5日付けのものです。

https://www.hosei.ac.jp/info/article-20201005112305/

(まずこの間の経過と制度をまとめ確認したうえで)「‥‥内閣総理大臣が研究の「質」によって任命判断をするのは不可能です。」と明快です。 「さらに、この任命拒否については理由が示されておらず、行政に不可欠な説明責任を果たしておりません。」

 そしてこのあとに続く文章がすばらしい。

「本学は2018年5月16日、国会議員によって本学の研究者になされた、検証や根拠の提示のない非難、恫喝や圧力と受け取れる言動に対し、「データを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任」であること、それに対し、「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」との声明を出しました。そして「互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます」と、総長メッセージで約束いたしました。

その約束を守るために、この問題を見過ごすことはできません。」

 
 田中さんがカッコいいのは、和服姿だけではありません!

2020年10月7日水曜日

日本学術会議 - 日本学士院

 5日のこのブログで言及した署名キャンぺーンを始めた日本史の二人は、「左翼」とは言い難い、個人主義的な、学者として誠実な人たちです。そこに意味があると思います。

 今晩のニュースで思わず快哉の声をあげたのは、またもや静岡県知事、イギリス学界では Heita Kawakatsu として知られる川勝の記者会見です(オブライエン先生もファーニ先生も[ドイツ的に]ハイタ・カワカツと発音していました!)。川勝もまた(学生時代はいざ知らず)左翼とは言い難い。むしろ彼を右寄りと受けとめている人も多いでしょう。

 その川勝知事が今日、静岡県の記者会見で日本学術会議の人事に触れて、

「‥‥「菅義偉という人物の教養のレベルが露見した。『学問立国』である日本に泥を塗った行為。一刻も早く改められたい」と強く反発した。  川勝知事は早大の元教授(比較経済史)で、知事になる前は静岡文化芸術大の学長も務めた、いわゆる「学者知事」だ。  川勝知事は6人が任命されなかったことを「極めておかしなこと」とし、文部科学相や副総理が任命拒否を止めなかったことも「残念で、見識が問われる」とした。」

ということです(朝日新聞 online、7日夕:https://digital.asahi.com/articles/ASNB761QMNB7UTPB00D.html)。

 そうなんですよ。菅首相が苦学して「法の精神」も、「現代政治の思想と行動」も身につける間もなく卒業してしまい、しかし経験的に世の中の機微だけは修得して権力に近づいた、小役人の頂点として内閣官房長官に納まるまでは幸運のわざ、と諒解できます。しかし総理大臣、すなわち statesman もどきの政治家として役を演じきるには、どうしても近くに賢いブレーンが必要不可欠です。(あの驕慢なエゴイスト・トランプがこれまでなんとか演技できてきたのも、献身的な側近 brains のおかげでしょう。)

 川勝知事の記者会見で「文部科学相副総理が任命拒否を止めなかったことも「残念で、見識が問われる」とした」というのも、問題は同類です。菅義偉という男のまわりには、権力の亡者ばかりがたむろして、忖度し追随しないと怖いことになる、という冷たい空気が漂っているのでしょうか?【ただし、ここで制度的に厳密なことを言い立てると、日本学術会議は文科省ではなく内閣府(← 総理府)の機関で、これを総理大臣が所轄しているので、文科相には発言権限がない! 文科省が管轄する(名称が似ていないではない)国家公務員団体は「日本[むかしの帝国]学士院」です。】

 ここで、日本学術会議よりもう一つ格上の賢者の集まり、「日本学士院」が - ただの御老体の終身年金受給者集団ではないという証に - どのような見識を示すのか、注視したいと思います。

2020年10月5日月曜日

日本学術会議会員の任命拒否 → 署名へ

 

前から申していますとおり、宇野重規、加藤陽子さんの態度表明は - 菅内閣の一枚上を行こうとして - 立派だと受けとめています。

菅政権は「適法にやっています」と黙って専制をつらぬく、という姿勢。いくつかの野党は「戦前への逆コース」をアピールしていますが、そうではない。これは新しい、ポストモダンの政治手法です。マスコミはトランプの病状と芸能人の死のほうが視聴率を取れるので、そちらの方面ばかり報道する‥‥。これはむなしい現状です。

 このブログで嘆息する以上に、なにかできることはないか、と案じていたら、アカデミズムのなかから、鈴木淳さん・古川隆久さんの呼びかけで、こんな署名キャンペーンが始まりました。ノンポリで(むかしの伊藤ゼミ、高村ゼミのよしみ?)学問的に誠実な動きだと思います。

→ https://www.change.org/p/菅首相に日本学術会議会員任命拒否の撤回を求めます!

 このまま放っておくと、香港のようになってしまいます。菅義偉の顔が習近平のように見えてきました。

2020年10月2日金曜日

自由民主主義は今や‥‥

 事態に1日遅れで反応していることを恥じますが、日本学術会議会員の任命を拒否された学者に、宇野重規さんも含まれていると今朝知って、天を仰ぎました。

他の分野の方々の学問的なお仕事についてぼくから言えることはありませんが、少なくとも歴史学の加藤陽子さんと政治学・思想史の宇野重規さんについては、まちがいなく今日の学問と自由民主主義の担い手です。宇野さんの公開声明は熟慮された、立派なものです。こうした賢者を自由民主党総裁・菅義偉が任命拒否したとなると歴史的なスキャンダルです。

菅義偉は田舎出身で苦学して政治の世界に入ったとかいう経歴が一時話題になりましたが、苦学すれば即、立派な人なのではない! いったい法政大学で何を学んだのでしょう?(もしや左翼への反感のみ?)そもそも法学や政治学の考えかたを修得しましたか? 加藤陽子さんが小泉内閣(福田官房長官)のもとで公文書管理法の成立のためにどれだけ力を尽くしたか。こういった専門知を大切にしないとしっぺ返しを喰いますよ!

中国の習近平やロシアのプーチンならやりかねない暴政を、日本国の首相、しかも自由民主党総裁が(黙って)やってしまった。どんなに重大な失政をやってしまったか、菅首相もその取り巻きも、まだ認識していないようです!(司法研修生の任官拒否とは質が違います!)公明党はすこし動揺し始めたかな?

これには、まず全国の学者・研究者が抗議すべきです。(担当秘書官のせい!?とかへ理屈を造作して)とんでもない職務怠慢・誤解でした、とすみやかに決定を撤回し、任命を回復するならよし。さもなければ、

1) 日本学術会議として、まず会長声明。次いで学術会議の各会員は政府の審議会で委員をしているなら、その席でまず不条理を訴え、わたしは菅政権の御用学者ではない、自由な発言を続けると声明する。政権側の動きがないかぎり、以後の出席を拒否する。

 そもそも学術会議は、病気でもないのに6名の欠員、即、定員不足のまま任務を完遂できるのですか? 首相としてこうした異常事態を招いた責任をどうします?

2) 全国のあらゆる学会で抗議の声明。新聞などへの公共広告。さらに事態が解決に向かわないなら、学会メンバーたちの政府への協力を拒否。たとえば新型コロナ関連の専門家(疫学・生理学‥‥)も助言・データ提供を拒否します。

こうした学界をあげてのサボタージュで、事態の深刻さ、自由民主主義と学問のなんたるかを菅政権に知らしめるしかないでしょう。岸信介・佐藤栄作・安倍晋三と継承されてきた保守右派の国政のうちでも、管理主義、中央集権の性向をいや増した菅政権。おどろくべく非文明的で貧相な政権です。この件の処理をまちがうと、急転直下、信任を失い、短命な内閣に終わる、という展開になるかもしれません。


菅内閣の暴挙

「任命を拒否された」と東大の加藤陽子教授

2020/10/1 16:42 (JST)10/1 22:25 (JST)updated

©一般社団法人共同通信社

学術会議新会員任命見送りは6人

 日本学術会議が推薦した新会員候補者のうち6人が任命されなかった問題で、東大の加藤陽子教授は1日、共同通信の取材に「いまだコメントできる段階ではないが、任命を拒否された1人であることは事実だ」と電子メールで回答した。

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 もう寝ようと思ってニュースを見たら、信じがたい暴挙が進行中。

 もし共同通信の報道のとおりだとすると、菅内閣はトランプ政権にも劣らぬトンデモ政権ということだ。これでは学会も、東大の教授会も、アカデミズムをあげて暴挙の撤回を求めるしかない。

 加藤さんは、彼女をおいて今日の日本の歴史学を語ることのできない逸材です。 

2020年10月1日木曜日

きのうのニャロメ

すでに10月、中秋の名月です。

春からずうっとせわしなく、慌ただしく、2つほどの原稿は仕上げ、旧友とのリモート懇談や Webinarを楽しむ余裕はありましたが、なにより3月以来ある課題を抱えこんだまま進展がなく、憂鬱な気持がつづいていました。それが28日に人手を借りつつなんとか解決して、ようやく秋の涼風や名月をよろこぶ気分にもなったのです。

そうしたなかで、昨日は若き友人からのメールにて、岩波書店のtwitterにこんな記事があると知らされました。

 → https://twitter.com/Iwanamishoten/status/1310459260334215170

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「岩波書店@Iwanamishoten

1066年の今日、ノルマン・コンクエスト開始。ノルマンディー公ギヨーム(ウィリアム)がイングランドに侵攻、勝利を収め、ノルマン王朝を開きました。征服王朝であるため、封建制に立脚するものの王権は強く、影響は地方にまで及びました。

近藤和彦『イギリス史10講』 http://iwnm.jp/431464

午後3:00 ・ 2020年9月28日・Hootsuite Inc.

愛知地域労働組合きずな@QDdrZLvHCC29HKa

・9月28日

返信先: @Iwanamishotenさん

以前にも書きましたが、中の人は近藤先生から先生が名大助教授時代に西洋史を教えていただきました。元東大全共闘として出された、明日のジョーを文字った、昨日のニャロメというガリ版のビラを講義で学生に配布して戦後歴史学の転換、刷新を熱く語っておられたことが記憶に残っています。」

 ----------------------------------------〈以上、引用〉

この投稿者はだれでしょう。名前までは想いだせませんが、書いてあることは(忘れていましたが)まざまざと想い出せる事実です。69・70年の退却戦という局面でたしかに「きのうのニャロメ」の漫画イラスト付きのビラを作っていました。それをコピーして77年後半~80年前半(?)くらいに名古屋の西洋史の教材として配ったのでした。

これに類したことは名古屋大学だけでなく、1974~77年に助手でしたので東大西洋史でもいろいろありました。とぎれとぎれの記憶の糸をたどると、学生Sくんは(西川正雄さんの下でドイツ社民党かなにかをやろうとしていましたが)他の何人かとも一緒に、安丸良夫やE・P・トムスンを読んだりしました。

Sくんはときに研究室にたむろしていましたが、ある日、テレビ局から電話の問合せで、「エジプトのピラミッドは正確に東西南北を向いているというが、それは各面がそうなのか、稜線が向いているのか」という質問がありました。ぼくが百科事典のぺージを繰りつつ、「この研究室にはエジプト史の人はいませんので‥‥」とうろたえていると、Sくんが研究室の『広辞苑』を開いて、各側面が東西南北に向いているとのことです、と助けてくれたのでした! 機転の利くSくん、ともに「広辞苑もさすが簡にして要をえたレファレンスだね」と感じ入った場面をいま想い出しています。現行の広辞苑には(エジプトに特化した)そういう記述はありませんね‥‥。

そうした彼が学者先生になるのでなく、故郷に戻って組合専従になるのだというので皆驚きました。同窓会名簿(2012)をみると、その時点では ITUC(International Trade Union Confederation)に勤めているんですね。世界史的な見識を発揮していることでしょう。