2016年8月28日日曜日

成瀬 治 先生(1928-2016)


 日曜未明のメールで第一報を知りましたが、別のソースから確認をとるのにすこし時間がかかりました。
「Landständische Verfassung考(上・中)」(『北海道大学文学部紀要』)、『岩波講座 世界歴史』14巻、17巻(1969-70)、そして吉岡・成瀬(編)『近代国家形成の諸問題』(木鐸社、1979)などなどで研究史を画した成瀬先生、翻訳もたくさんありますが、闘病中のところ、26日に亡くなったとのことです。88歳。
7月末に『礫岩のようなヨーロッパ』をお送りしたら、奥様からお変わりなく過ごしておられるというお葉書をいただきましたし、2週間前のケインブリッジでは、成瀬 → 二宮 → われわれ、といった(ねじれた?)系譜をヨーロッパの学者たちと議論していましたから、. . . 残念、としか言葉がありません。
ぼくにとっては(先生にとっても!)本郷西洋史最初の演習は Rosenberg, Bureaucracy, aristocracy and autocracy: the Prussian experience 1660–1815; 続いて講義はフランス・アンシァンレジームにおける impôt (アンポ税制)史で -「アンポ、反対。闘争、貫徹。」の時代だったので - 法文一号館の教室に冷たい空気が流れていたような気がしました。大学院に入ったら演習は Habermas, Strukturwandel で、こういった点にも、時代の表面に流されることなく、見るべき所をしっかり見ている方だったことが現れています。ただし、68-70年の東大内の政治力学に翻弄された面もあったでしょうか。すこし才能をもてあまし気味のところも。
 学問的な評価という点では、『礫岩のようなヨーロッパ』序章(pp.3-24)をご覧ください。
 ご冥福をお祈りしております。

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