2019年1月17日木曜日

Brexit  愚かな選択を撤回し、合理的な決断へ

 ブリテンという役者が退場/去るのだから、劇場用語として exit Hamlet (ハムレット退場)といった言い回しがあり、これを生かして exit Britain から名詞化して Brexit といっているのでしょう。発音は日本のメディアで言われるブレグジットのように濁るのでなく「ブレクシット」です。
 これについて、ぼくの意見ですが、すでに2016年から申していますとおり、政治ゲーム(権力抗争)に振り回された限りなく愚かな選択です。唯一の解決策は、EU離脱を撤回するという決断( → そしてEU内で必要な改革を推進する)しかないと思います。
→ http://kondohistorian.blogspot.com/2016/06/blog-post_51.html
→ http://kondohistorian.blogspot.com/2016/07/brexit.html
 ここまで2年半の経過をたどると、第1に、2015-6年のキャメロン首相の野心に駆られた賭け(referendum)が - 予測をこえるポピュリスト右翼の煽りによって - 凶と出た。第2に、さらに輪をかけて、それまでEU残留派だったはずのメイ内相が、これまた政治的な賭でEU離脱のリーダーシップをとる(文字どおり、火中の栗を拾う)という冒険に出た。保守党政治家のこの二つの野望によって、連合王国は従来なら考えられないほど愚かな、そして狭い道を突き進み、今に至ったわけです。
国家主権」なるものを至上と考える主義によって、英国の経済・文化を成り立たせていた金融からも高等教育からも人材と資源が流出してしまう。さらには国境・税関の問題が肥大化して、経済も社会も機能不全に陥り、なによりイギリス国民が二つの極に分断される。20世紀の歴史の教訓はすべてチャラにされて、まるでニワトリかマウスのように短期の条件反射によって国民の運命が左右される‥‥。これを衆愚政治(mobocracy)といわずして、なんと呼ぼう?
 放っておくわけにはゆかないというので、文字どおりの弥縫(びほう)策が提案されては消えてゆきます。こんなことで時間と人材とカネが浪費され、そればかりか、大事な友人も失ってゆきます。もっと意味あること/将来のために、建設的に、時間も人材もカネも用いるべきでしょう。
 It's never too late to mend.(過ちを改めるのに遅すぎることはない。)この諺は、つねに真理です。
ゆきがかりも面目もあることは承知の上で、それにしても頭を下げて短慮をわびる。
こんなにも大変なこととは考えが至らず、愚かな選択をしてしまいました。2016年以来のわたしの言動を撤回し、元どおりヨーロッパのなかでやってゆきたい。言いたいことはたくさんあるのですが、EUのメンバーとして是々非々でお願いしたい。」
これこそ、イギリスの有権者も政治家もマスコミも、採ることのできる唯一の合理的な選択です。

 → なお、そのための手続きとしてレファレンダム(国民投票)をもう一度やりなおす必要は、国制上、ありません。イギリスは議会主権(議会絶対主義)の国なのですから、議会が熟議のうえ残留すると決めればよいのです。(議会を代表して議長がEUにそう申し出てもよいし、責任政府の長にそう言わせてもよいでしょう。)

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