2016年6月22日水曜日

Trump 現象

憂慮しています。
悩める共和党の「切り札」「ラッパ」としてのトランプ。結局は、合衆国における無責任なマスコミの視聴率争いの(意図せざる)結果です。かのヒトラーも、合法的な選挙に勝利して政権を執りました。ただしヒトラー首相は核弾頭の発射ボタンをまだ持っていなかった。ナチス期よりもはるかに危険な今の時代に、こういった人格破綻者が「民主的な手順」をふんで≒ケンカのルールを遵守して、米大統領=軍最高司令官(imperator)になるなんて、これは人類文明史(がつづくなら、それ)に残る大事件です。

虚栄心がまさり、攻撃的で目立ちたがり屋というくらいなら、他国の権力者としての前例もあり、現職の例もあります。しかし彼らは政治を知っている練達の権力者で、しかも一人っきりではない。専門家チームを組んでいます。
ところがトランプは、有能な専門職能チームをもっているのか。イスラームにも女性にも国際政治にも、無知で不用意な発言を、インパクトのある短いセンテンスで繰りかえし、それを無知な大衆有権者が喜び、カタルシスを覚えるという構造。

アメリカという大衆社会における知的中間層の失権、たとえばジェフ・ブッシュ程度の常識的保守政治家さえ大統領選に生き残れない政治文化とは!
すでに19世紀からトクヴィルが憂慮していた貴族なき=中間団体なきアメリカ合衆国は、カネとハッタリに左右される阿呆の国なのか? 驚くばかりです。合衆国内に優秀な頭脳は何百万もいて、数的に日本より多いことは明らかなのだが‥‥、その社会構造/政治社会の秩序の問題ですね。
ぼくは、相対的な選択として Hillary Clinton 支持です。

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