2020年10月7日水曜日

日本学術会議 - 日本学士院

 5日のこのブログで言及した署名キャンぺーンを始めた日本史の二人は、「左翼」とは言い難い、個人主義的な、学者として誠実な人たちです。そこに意味があると思います。

 今晩のニュースで思わず快哉の声をあげたのは、またもや静岡県知事、イギリス学界では Heita Kawakatsu として知られる川勝の記者会見です(オブライエン先生もファーニ先生も[ドイツ的に]ハイタ・カワカツと発音していました!)。川勝もまた(学生時代はいざ知らず)左翼とは言い難い。むしろ彼を右寄りと受けとめている人も多いでしょう。

 その川勝知事が今日、静岡県の記者会見で日本学術会議の人事に触れて、

「‥‥「菅義偉という人物の教養のレベルが露見した。『学問立国』である日本に泥を塗った行為。一刻も早く改められたい」と強く反発した。  川勝知事は早大の元教授(比較経済史)で、知事になる前は静岡文化芸術大の学長も務めた、いわゆる「学者知事」だ。  川勝知事は6人が任命されなかったことを「極めておかしなこと」とし、文部科学相や副総理が任命拒否を止めなかったことも「残念で、見識が問われる」とした。」

ということです(朝日新聞 online、7日夕:https://digital.asahi.com/articles/ASNB761QMNB7UTPB00D.html)。

 そうなんですよ。菅首相が苦学して「法の精神」も、「現代政治の思想と行動」も身につける間もなく卒業してしまい、しかし経験的に世の中の機微だけは修得して権力に近づいた、小役人の頂点として内閣官房長官に納まるまでは幸運のわざ、と諒解できます。しかし総理大臣、すなわち statesman もどきの政治家として役を演じきるには、どうしても近くに賢いブレーンが必要不可欠です。(あの驕慢なエゴイスト・トランプがこれまでなんとか演技できてきたのも、献身的な側近 brains のおかげでしょう。)

 川勝知事の記者会見で「文部科学相副総理が任命拒否を止めなかったことも「残念で、見識が問われる」とした」というのも、問題は同類です。菅義偉という男のまわりには、権力の亡者ばかりがたむろして、忖度し追随しないと怖いことになる、という冷たい空気が漂っているのでしょうか?【ただし、ここで制度的に厳密なことを言い立てると、日本学術会議は文科省ではなく内閣府(← 総理府)の機関で、これを総理大臣が所轄しているので、文科相には発言権限がない! 文科省が管轄する(名称が似ていないではない)国家公務員団体は「日本[むかしの帝国]学士院」です。】

 ここで、日本学術会議よりもう一つ格上の賢者の集まり、「日本学士院」が - ただの御老体の終身年金受給者集団ではないという証に - どのような見識を示すのか、注視したいと思います。

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