2026年3月24日火曜日

「デモ暗し」 Democracy Report 2026

 『日経』という新聞の強みの一つは、海外情報の網でしょう。
 オンライン版では17日午前に、紙媒体では18日朝刊に載った「米国『自由民主主義』からはずれる 世界の指数、47年前水準に逆戻り」という記事は、もっぱらスウェーデンのイエテボリ大学の V-Dem Institute の年次報告 Democracy Report 2026 の紹介ですが、世界の自由民主主義指数の悪化、そしてアメリカ合衆国における自由民主主義指数の急落が計量政治学的+叙述的に明らかにされています。
 この新聞記事で Democracy を民主主義と訳しているのは当然で妥当なのですが、Autocracy を権威主義と訳しているのは、ヤンワリと穏便に表現しているつもりかもしれませんが、まずい。ダイレクトに「独裁」とすべきです。auto=一人、cracy=支配・権勢です。Authorityではありません。むかし(大学3年で)成瀬治先生の演習テクストが Hans Rosenberg, Bureaucracy, Aristocracy and Autocracy: The Prussian Experience 1660-1815 (Harvard U P, 1958) でした。Autocracy とは、そのときまで知らなかったタームでしたので、強く印象に残っています。
アメリカ合衆国における現状は、権威主義に向かっているのではなく、autocratization(独裁化)の途上にあるのです。

仮訳:「5.焦点:アメリカ合衆国における独裁化の進行
・アメリカ合衆国ではトランプ大統領の政権下、デモクラシーは1965年と同等のレヴェルまで低下した。とはいえ、情況は公民権[闘争]の時代とは根本的に異なる。
・トランプ大統領の第2期を要約するなら、急速で攻撃的な大統領権限の集中、といえる。
・現在アメリカのデモクラシーが解体していく速度は、近代の歴史において前例がない[ほど速い]。
・立法府の制約/束縛は - 最悪の影響を受けているデモクラシーの局面だが - 2025年にその価値の3分の1を消失した。これは過去100年以上の期間でみても最低点に相当する。
・公民権、法の下の平等、表現とメディアの自由は、今や、過去60年間の最低レヴェルにある。
・しかしながら、デモクラシーの選挙人の構成要素は安定している - 今のところ。」

これまで計量政治学なるものには距離を感じていましたが、この V-Dem 研究所の分析はみごとです。今年の年次報告は全52ぺージ。公開され、だれでも無料でダウンロードできます。
https://www.v-dem.net/documents/75/V-Dem_Institute_Democracy_Report_2026_lowres.pdf

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