2015年10月5日月曜日

大学ランキングの意味


 Times Higher Education による大学の国際ランキングで東大、京大がそれぞれ順位を大きく下げ(23 → 43)(59 → 88)、ほかに去年まで200位以内に入っていた大阪大、東北大、東工大をはじめとする日本の大学が沈没した、と記事になっています。代わってシンガポール大(26)、北京大(43)などが日本の両大学より上位か同位に付けている、と。
https://www.timeshighereducation.com/news/world-university-rankings-2015-2016-results-announced
 べつにナショナリストとして言うわけではないけれど、第1に、どういった指標・計算根拠で算出された結果の一覧表なのか、ということを理解しないまま、煽るようなことを言ってみてもしかたないでしょう。米英をはじめとして、英語で教育している大学の順位を計算しているわけで、フランスの École Normale Supérieure が54位(東大より下)にあることにも現れているように、そもそもグローバル化=英語化という大前提で算出しています。
算出方法はこちら↓
https://www.timeshighereducation.com/news/ranking-methodology-2016
 詰まらんランキングなのですが、しかし第2に、この偏位性のあるリストのなかでも去年まで東大は23位、京大は59位、そして両大学以外にもコンスタントに3大学が200番以内に入っていた。それが今年はそれぞれ大きく順位を下げた。何故か、という問題は残ります。THEの解釈は↓
“Research depends on the free movement of both ideas and people, and countries that adopt a more closed stance pay the price in the end. This is a prime cause of the substantial long-term declines in the global position of research in both Japan and Russia.”
これにフランスを加えて『ふさがれた道』(Stuart Hughes)と言いたいのかな。
スイス・ドイツ・オランダから北欧圏は健闘しています(アメリカの人的資源の出所です)。ちなみに行ったことのある大学で、レイデン大は67位、コペンハーゲン大は82位、ルンド大は90位。

 ただし、日本の大学が一斉に順位を下げているのは、円安(ドル換算で相対的に低い評価になる)により、研究資金・予算・収入が下がったと見なされたことにもよるのではないでしょうか。逆に、中国の大学が一斉に順位を上げているのは、国策の「成果」はもちろん、半年くらい前までの強い元の反映でしょう。来年度はまた入れ替わる、ということが予想されます。 

 最後に THE の編集者は、日本の大学の「実力」について、次のような気休め(?)にもならないコメントをしています。グローバルにみたら数的に第3位の中位の実力、ちょっと製造業における実力と似ている!
But despite its diminishing performance, Japan still has strength in depth: it is third place in the world in terms of the number of institutions represented, with 41 appearing in the top 800.

 それにしても、旧帝大と、旧制の大学(東工大や東京医歯大など医・工学系の大学)のほとんどが、慶応、順天堂、東京理科大まで顔を出していますが、早稲田が601~800のランクのビリから3番目に名を出し、一橋大は顔を見せないといったリストに、いったいどういう意味があるのか、ということですね。
 見方をかえると、41/800 という数字には別の寓意があって、日本の「大学」と称するものの合計が約800ですから、そのうち医・理工系で通用する機関が約41という風にも読めるのかな?

0 件のコメント: