2022年9月18日日曜日
エリザベス女王からチャールズ王へ
https://digital.asahi.com/articles/ASQ9J6581Q9HUCVL044.html
で拙稿が公開されました。印刷版では、女王の葬儀(文字どおりの国葬です)の19日(月)朝刊に載るはずのものですが、ウェブでは半日早く公開されるのですね。
他の識者・先生方とはちょっとちがう議論をしています。『イギリス史10講』も『歴史とは何か 新版』も『王のいる共和政 ジャコバン再考』も著している者として、短いスペースながら言うべきことは言いました。
ウェブですとカラー写真で、かつ「紙媒体では所定のスペースから溢れ出てしまい、ボツになったチャリティ法についてのパラグラフ」が甦りました! ここにこそ、ウェブ版のメリットあり、ということですが、しかし、これでは紙離れ、ウェブ志向が、ますます進行してしまいます! ちょっと心配。
『歴史とは何か』の人びと(1)
『歴史とは何か 新版』に関連して、月刊の『図書』に連載を始めました。 「『歴史とは何か』の人びと」第1回は「トリニティ学寮のE・H・カー」です。9月号(通巻885号)、こんな具合で、毎回計6ぺージです。↓
紙幅もあり、あまり立ち入っては書けませんが、それでも『歴史とは何か 新版』の訳註や補註には書ききれない、それなりに意味あることを述べてゆきたいと目論んでいます。岩波書店の『図書』誌は、『みすず』や『未来』、そして今は消えてしまった『創文』とならんで、むかしは大学生協書籍部に、自由に持っていってくださいって具合に置いてありました。定期購入する場合も、たしか1部10円、年間100円といった「第三種郵便」の郵料だけ負担で、「安い!」と感動したものでした。今も、見てみると定価102円、1年分まとめて購入すると1000円(送料共)ですから、やはり安いと言えますね。
大学図書館、公共図書館にもかならず置いています。
いま気付きましたが、岩波書店の WEBマガジン「たねをまく」にこの第1回の全文が載っています。こちらにはハイパーリンクも張ってあるので、便利! → https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/6074
2022年9月17日土曜日
9月25日 『歴史とは何か』を再読する
→ https://kondohistorian.blogspot.com/2022/08/wine911.html
多数の皆さんの参加をえて、なにより池田喜郎さんのコメントが力強く、司会=中澤さんのリードとあいまって印象的でした。
ロシア文学・ソ連研究の方面から、ぼくには言えない評言があるだろう、とは予測していましたが、それ以上に(遅塚忠躬に先行する)1940年、53年の林健太郎による仕事の評価があって、これには脱帽です。
さて、これとは全然別に企画された催しとして、史学会例会「E・H・カー『歴史とは何か』を再読する」があります。
案内は、こちら → http://www.shigakukai.or.jp/annual_meeting/schedule/
9月25日(日)午後2:30~、ハイブリッド式で実施とのこと。
司会 勝田俊輔
報告
1.成田龍一(日本女子大学名誉教授)
2.加藤陽子(東京大学)
3.小山哲 (京都大学)
4.吉澤誠一郎(東京大学)
レスポンデント 近藤和彦(東京大学名誉教授)
11日WINEの催しではぼくのほうから語り出すことができましたが、25日はむしろ「俎上の鯉」で、こちらは身を清めて臨むしかありません。
無料で公開ですが、事前申込制(9月20日受付締め切り)です。
申込フォームは、こちら → https://forms.gle/Adc9VFAWf1EeBReT8
2022年9月9日金曜日
The Queen is dead
ヨーロッパの君主として例のとおり、間髪を入れず、
The Queen is dead. Long live the King!
と宣告されたのでしょう。
新王「チャールズ3世」とは、ジャコバイトの呪われた歴史がありますが‥‥
イギリス史をやっていますから、いろいろと考えます。
今の時点では、立憲君主制あるいは「国のかたち」について、どこかに書いてみたいという気持になっています。
かつて書いたもののうち、映画「クイーン」(2006)評、また中澤編『王のいる共和政』(岩波書店, 2022)にも関係します。
2022年9月8日木曜日
トラス ではなく トラス
逆に大学時代の労働党 → 自由民主党から保守党へと鞍替えし、EU堅持派から離脱派へと転換した(ようするに時流に乗るポピュリスト)flaky Liz(ハスっぱリズ)のトラスは、議員投票では2位止まりだったのに、一般党員の支持を集めました。理屈や合理性を問わない、したがって政策的有効性もわからない即効性のスローガンで勝利する、ジョンスン前首相と同じ手法です。
- Liz Truss の発音ですがトラスでなく、信頼の trust から t の足りないまま s を重ねた Truss ですからトラスです。Trustworthy ではなく、Truss unworthy です。
ちなみにトラスのことを日本のマスコミは「サッチャ元首相を尊敬し「鉄の女2.0」とも呼ばれる」などと一知半解のことを言っています。これは2重の意味で失礼な話です。第1に Iron Lady は「鉄の女」ではなく「鉄の淑女」です。ゴルバチョフが名付けたと言われますが、「女」と見下しているのでなく「レイディ」と一定の敬意を表していました。
第2にサッチャは父も夫も保守党員で、父にも夫にも愛され、メソディスト(カトリック嫌い)で、ハイエク、フリードマンを勉強した筋金入りの Conservative & Unionist でした。トラスははるかに浮気で、上に書いたように党を左から右へ渡ったポピュリストであるばかりでなく、夫婦関係についてもサッチャ夫妻とは大違いです。
いずれにしても Brexit の撤回、ヨーロッパ統合への(ベネルックス主導でない)イニシアティヴの回復がないと、連合王国(UK)の将来は暗い。北アイルランドの通商問題は全然解決していません。スコットランドの分離独立も行程表に上ってくるでしょう。しかも、たとえ次の総選挙で労働党政権になったとしてもEUへの復帰に舵を切れるかどうか。<左のグラフは『日経』より引用>
このままでは、われわれが知っている(幕末明治以来の)「英国」は、あと10年くらいのうちに解体してしまう運命でしょうか。イングランド人は、小さく「寄り添い、互いに平明な日常英語で語りあいつつ、「外の諸国や諸大陸はおかしな言動をするものだから、わが文明の恵みからも運からも孤立してしまったのだ」とかつぶやいているのです。」カー『歴史とは何か 新版』p.255 - これが61年前の連続講演の終わりに近い一句だとは、にわかに信じがたいほど、今に当てはまります。
2022年9月1日木曜日
池袋のジュンク堂
4階にはジュンク堂開店25周年特別企画として「人文学入門の手引」による展示があり、
それぞれ、なかなかの壮観です。
『歴史とは何か 新版』にともなう岩波書店の「特製ブックガイド」23点について、前にこのブログで触れました。 →https://kondohistorian.blogspot.com/2022/08/blog-post.html
「人文学入門の手引」は、7月にジュンク堂からの委嘱があり「歴史学」というジャンルについて5点を推薦ということで、こんな原稿を用意したのでした。
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人文書5冊(歴史学)
1.『翻訳語成立事情』 柳父 章 (岩波新書、1982)
高校3年生や大学1年生が最初に読むべき本。言葉は歴史的に生まれ、使われてきた。「自由」も「社会」も「個人」も「愛」も「彼・彼女」も幕末・明治の東西交流から生まれた。
2.『社会認識の歩み』 内田義彦 (岩波新書、1971)
社会を歴史的に考えるキミのために。マキアヴェリは運の女神は前からつかまえるしかないと主体性をうながし、ホッブズは国家を論じる前に人の感情に立ち入って考える。
3.『歴史学入門 新版』 福井憲彦 (岩波書店、2019)
歴史学をはじめとする学問は20世紀に大きく転換した。今どのような景色になっているか、本書はバランスよく指南してくれる。このあと何を読むと良いか、文献案内もたっぷり。
4.『全体を見る眼と歴史家たち』 二宮宏之 (平凡社ライブラリー、1995)
フランスで生まれ展開したアナール学派。パリで彼らと一緒に史料調査し、議論した二宮による自分ごととしての歴史学。この語りにあなたの心が動かないなら、歴史学はあきらめよう。
5.『歴史とは何か 新版』 E・H・カー 近藤和彦訳(岩波書店、2022)
名著の新訳・註釈付き。「歴史とは現在と過去の対話」、そして「すべての歴史は現代史」といった有名なせりふの意味を知りたければ、これを読むしかない。歴史学入門の仕上げ。
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ところが、内田さんも二宮さんも版元品切ということで、しばらく悩んだあげく、エイヤッと ↓ 写真のように差し替えてみたわけです。
2022年8月25日木曜日
『日経』と『朝日』
21日(日)『日本経済新聞』The Style の「文化時評」に掲載されたのは、深田記者のエッセイ風「『歴史とは何か』とは何か」でした。 24日(水)『朝日新聞』夕刊の1面は北海道・富良野の鉄道についてでしたが、2面「考える read & think 」というぺージには、大内記者の「問いかける知識人 新たなカー像」というインタヴュー記事が見えます。ぼくの顔写真までも。 どちらも市松模様の写真とともに、たっぷり書いてくださって、有難いことです。
真夏の大雪山国立公園
ぼくは母の新盆の後は、北海道に飛び、札幌から道東へ。十勝平野の北、大雪山の南の秘湯めぐりと洒落込んだのですが、警報が出るほどの強雨で、通行止めにも遭遇しました。 でも翌日にはカァーっと晴れて、たっぷり紫外線を浴びるとか。相客もそれなりに居て、(みんなマスクをしていますが)パンデミックも終局に向かいつつある、という空気でした。
然別(しかりべつ)湖、糠平(ぬかびら)湖といった名は初耳のような気がするけれど、帯広から糠平を経由して十勝三俣にいたる士幌線については、中学の人文地理で習ったな、とあやふやな記憶がよみがえり、糠平のひがし大雪自然館の脇からおりて廃線跡を歩き、左手の橋梁跡へ、右手の鉄道博物館まで行ってみました。
2022年8月5日金曜日
WINEのシンポジウム(9月11日)
→ https://www.waseda.jp/inst/cro/news/2022/07/14/9747/
→ http://wine-waseda.com/project
ポスターはこちらです。 → https://twitter.com/WineWaseda/status/1546439755449368576/photo/1
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WINEオンライン・シンポジウム「E・H・カー『歴史とは何か』を読み直す」(第12回研究会)
日時 2022年9月11日(日)14:00~17:00
場所 Zoomによるオンライン・シンポジウム(申し込み方法は下記のとおり)
開会の辞・注意事項 中澤達哉(早稲田大学・WINE所長)
報告者 近藤和彦(東京大学)
「『歴史とは何か』を読み直してみると」
コメンテーター 池田嘉郎(東京大学・WINE招聘研究員)
申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。参加費は無料です。
多数の参加が見込まれます。視聴申込はお早めにお願い致します。
登録情報に基づき、講演会の2日前までに、主催者の中澤からZoomURL、レジュメを配信致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://bit.ly/3RbQusu
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2022年8月1日月曜日
特製ブックガイド
ぼくの本には、ウクライナのウもなければ、プーチンのプも出てこない - そうした点で、まだの人にはまず、小山・藤原『中学生から知りたい ウクライナのこと』<http://kondohistorian.blogspot.com/2022/06/blog-post_11.html>などを手にして欲しいです。それにしても、パンデミックや戦争も含めて、長期的に人類史や現代文明の問題として考えるときには、ぼくの本も少しは役立つかな、と思います。
『歴史とは何か 新版』の販促グッズとして、A4表裏を四折りにした「特製ブックガイド」なるものが、7月から大きな本屋さんや大学生協書籍部に置いてあるかもしれません。赤白市松のデザインで、小さいけれど目立つ「粗品」です。
その裏に、訳者厳選ブックガイドなるものを自由に書かせてもらいました。最初は20点というはずでしたが、版元品切れのものが少なくないので、補っているうちに計23点になりました。
各100字までという制限があります。ただ「良い本」です、夏休みに「考える糧」となりますよ、といった推薦文ではつまらないので、具体的にその魅力やポイントにぐっと迫りました。プランパー『感情史の始まり』といった本について、「‥‥ドイツのメルケル首相が犬嫌いと知ったロシアのプーチン大統領が、会見場に巨大な犬をリード紐なしで放つ意味も論じる」といった具合に。 写真は上半分です。下半分は現物をご覧ください。
2022年7月15日金曜日
7月14日に思ったこと
直ちにいろいろと考えましたが、身辺のことに紛れ、ブログ登載はかないませんでした。ここに遅まきながら、すこし書いてみます。
7月8日昼に奈良であった安倍元首相襲撃/暗殺について、直後の報道や政党の発言の多くは、a.「民主主義への挑戦だ」「暴力による言論封殺は許せない」といったものでした。まもなく b.「特定の宗教団体へのうらみ」という捜査陣からのリーク情報が加わりました。
後者(b)のリークについては、まず正規の記者会見報道でなくリークであることがけしからんと思いましたが、やがて海外メディアでのみこれが Moonies (文鮮明から始まった世界統一神霊教会)のことだと報じられたのには、怒りに近いものを感じました。日本のマスコミ業界の自主規制はここまで極まっているのです。こういった自主規制≒事なかれ報道に甘んじているマスコミでは、いざという時に信用されませんよ。
そもそも世界統一神霊教会のことを、今どう名を変えているとしても、「特定の宗教団体」と呼ぶべきなのか、ただの「カルト」ではないか、という付随的な疑問もありますが、こちらは(今日のところは)問題にしません。
◇
むしろ大問題なのは、(a)今回の事件は「民主主義への挑戦」や「暴力による言論封殺」のたぐいなのか、ということです。Oh, No! それ以前の、より深刻な問題ではないでしょうか。
41歳の容疑者は、民主主義や議会制民主主義に不満をもらしたことはあったのか。あるいは自分の凶行が、国政の基本(国のかたち)にある「効果」をもたらすことを期待して -政治的テロリズムとして- 手製銃の引き金を引いたのか。否でしょう。
彼はもっと別のレベルの、しかし本人にとっては深刻な不幸(母のこと、失意の人生、誰かの不用意な発言, etc.)について繰りかえし悩み、その不幸の原因を「これ」と思い詰めて、「これ」を解決する/消すためにどうするか執拗に考えた。それが母を奪ったカルトの代表を襲うこと、それが実行不可能となると、第2目標として安倍晋三元首相を襲うことだった。‥‥
そこには論理の飛躍があり、分析も検証もないままの思いつきで、それを直線的に実行するための情報とノウハウを集積したのでしかありません。しかし、そもそも複合的な事態を調査探究したり、友人や同輩と対話し討論しながら、考えを具体化してゆくという訓練も経験も、彼は -学校でも自衛隊でも- していないのではないでしょうか。そもそも「話し相手」「グチ友だち」といえるほどの人は居なかったのかもしれない。
TVなどで中学高校の同級生や、職場の同僚が「あんなにおとなしい人が‥‥」「いつも人に合わせる人で、暴力をふるうなんて想像もできない」とコメントするのを聞かされると、そもそも取材する側の無知と想像力の浅さに唖然とします。おとなしすぎる人こそ危険なのです。自分の意見を言ったことのない人こそ(いざとなれば)凶暴になるのです。
こうしたことは民主主義や議会制よりはるか以前の、人間の社会性、あるいは文明/市民性の大前提ではないでしょうか。
学校教育で、また社会で、こうした事態や証言の分析、人前での報告、ディベートやディスカッション、そして紙の上での文章化‥‥要するに以前から問われていた公民教育/文明的経験を欠いたまま、やれ「民主主義を守る」だの「言論の自由」だの言ってみても、ただのお題目にすぎないのではないでしょうか。 ◇
じつは9日(土)午後8:00-8:45のNHKスペシャル「安倍元首相 銃撃事件の衝撃」と題する番組の後半で、御厨(みくりや)貴さんがコメントしていました。【まだ土曜まで NHK plus での視聴は可能です。】
「‥‥災害、疫病、戦争と続いて、人心が惑った。この国もテロを呼びこむのか。みんなが何でも言える社会になった。これはいい。しかし(イエス or ノーの)二値論理の対立になっちゃっている。これはまずい。自分の要求(思い)が通らない時にどうするか。内容のある議論を尽くして、これなら許せるという妥協点を見つける。このマリアージュが大事です。」
「妥協できる合意」を見つけて実行しよう、という立場です。
◇
1789年7月14日から、フランス革命は時々刻々と展開しますが、1792年、93年と緊迫した情勢で、いわゆるジャコバン派(山岳派)が勢いをもち、93~94年のいわゆる「革命独裁」を国民公会が支持することになります。
この苛烈な革命独裁は、味方と敵、パトリオットと反革命、徳と悪徳、純粋と腐敗といったシャープな対置、二項対立を是とし、異論をとなえる者、迷い、曖昧なままでいる者を許さず、さらには「まちがえる権利」も許さなかった。『王のいる共和政 ジャコバン再考』(岩波書店、2022)p.14. これをかつての「ジャコバン史学」は、歴史の必然とするか、あるいはせいぜい「歴史の劇薬」として是認していた。ロベスピエールやサンジュストの93~94年のメンタリティを、純粋で高貴と受けとめるか、悲劇的に狂っていると受けとめるか。革命史にかかわる人は、全員、この問題に正気で取り組むべきでしょう。
御厨さんの立場は、必然や劇薬ではない。イギリスの首相ピットも、89年に始まったフランス革命には賛同し(バークとはちがいます)、92年の急転には唖然とし、93年1月のルイ14世処刑には意を決して、2月に対仏大同盟を結成します。はっきりと識別しておきたい。巻末の「関連年表」も活用してください。
2022年7月3日日曜日
書評ふたつ
→ https://mainichi.jp/articles/20220702/ddm/015/070/020000c
「「無人島に一冊だけ持って行くなら」という問い方がある。‥‥断言してしまおう。上半期ではこの新版がそれだと。ただ、原作と清水訳の新書も持っては行きたい。」
これは最高級のお誉めの言葉です。たしかに原文の英語はどうだったのか、それに清水幾太郎はどう訳していたのか、その違いと how を確かめたくなりますよね。
最後の締めの文は -「カーは常に新しい。」でした。
ウェブでは匿名のコメント評が多数あるようですが、ここでは署名ブログから:
→ http://www.kai-workshop.com/diary/diary.cgi?move=202206
筆者・難波和彦さんとは、まったく存じ上げない方ですが、「界工作舎」という建築設計社の代表のようです。文中に鈴木博之とか陣内秀信といった知らないではない方々の名前も出てくるので、どこかですれ違っていたのでしょうか。
東奔西走のお忙しい仕事の合間に、6月10日から21日までかけて1講づつ丁寧に読んでくださいました。最初の10日のコメントは、「‥‥同じタイトルの第1版の『歴史とは何か』(E.H.カー著 清水幾太郎訳 岩波新書)は古典的名著であり大学時代に読んだ。‥‥自叙伝、詳細な補註が加えられている。講義自体も新訳なので、NHKラジオでの話の仕方を念頭に置きながら読んでみよう。」と始まります。ラジオでのトークもなさる方なのか。
その最後の言葉(21日)は、「‥‥たまたま手にした本書からは、実に沢山のことを学び、さまざまなことを考えさせられた。久しぶりに充実した読書だった。」とのこと。 訳者冥利に尽きるものです。ありがとうございました。
ところで、建築士/建築家 architect とは近世・近代のイギリスで gentleman's profession であるということは20歳くらいまでのナイーヴなぼくは知識としても知らなかったのでした。心底そうだったのだと理解したのは、恥ずかしながら、1981年にロンドンの Sir John Soane 邸(Lincoln's Inn Fields)に訪れたときです。つまり33-4歳まで、ぼくは「何も知らなかった」!
『歴史とは何か 新版』の2箇所(pp.11, 276)で建築家(大工の棟梁)についての訳註をくりかえしていますが、そうした昔の自分を省みての慚愧の訳註です。
2022年7月1日金曜日
2022年6月16日木曜日
王のいる共和政 ジャコバン再考 詳しい目次
編者名や本のタイトルだけなら、他の広告でも見られますが、
かなり詳しい目次 → https://www.iwanami.co.jp/book/b606557.html
そして何より、
立ち読み(試し読み) → https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/tachiyomi/0615440.pdf
のコーナーがあるというのは、すばらしい! どうぞ、ご一瞥を。
2022年6月11日土曜日
中学生から知りたい ウクライナのこと
「ロシアによるウクライナ侵略を非難し、ウクライナの人びとに連帯する声明」なるものを京都大学有志の会が2月26日に発表したようですが、その声明が巻頭に引用されています。この有志のうちの二人、近世ポーランド史の小山さん、現代ドイツ史の藤原さんがそれぞれの専門で長年考え感じてきたことをふまえながら、ウェブや新聞で発言している、それをもとにここに整えて一書としたものと受けとめました。
表題のうち「中学生から知りたい」についてのみ、ちょっと留保したい気持は残りますが、しかし(写真入りで)ポーランドのバルシチ(スープ)からウクライナのバルシチ(スープ)を見ると、どれほど具だくさんで「すごく豊かで滋養があるけど、ちょっと見た目が不思議な感じ」というイメージから、すごく大切なことが説きはじめられる。中学生だって知りたい。大人だって知りたい。高齢者だって知りたいです。
ですから「中学生から知りたい」というタイトルの修辞のみ留保して、あとは全面的に推薦したい。
細かい活字で補われている註も - 固有名詞の表記を含めて - 大事なことを教えてくれます。
(株)ミシマ社、6月10日刊。http://www.mishimasha.com/
2022年6月6日月曜日
王のいる共和政 - ジャコバン再考
6月28日には、やはり岩波書店で中澤達哉さん(編)の共著『王のいる共和政 ジャコバン再考』が出ます。このところ似た意匠の共著論集がないではないようですが、こちらはいささか ambitious な共同研究、中澤科研の成果です。この公刊により学界の景色、そのトーンもすこし変わるかと期しています。
ぼく個人にとっても数年かけて自分自身と先生方の研究をふりかえり、この何十年来に学び模索してきたことを総括する文章とすることができて、爽やかな快感をともなう仕事でした。序章「研究史から見えてくるもの」(pp.1-27)を執筆しています。ただし「市民革命」という語は用いていません。
中澤さん、近藤の他に、共著者は:森原隆、小山哲、阿南大、正木慶介、古谷大輔、小原淳、小森宏美、池田嘉郎、高澤紀恵のみなさん。巻末の関連年表もぜひご覧ください。 → https://www.iwanami.co.jp/book/b606557.html
2022年6月5日日曜日
2022年5月22日日曜日
池袋のジュンク堂では
赤白の市松模様だけではつまらないから(?)、青緑の岩波新書を混ぜて並べているのでしょうか。ほんの少しイタリア的な色模様。2022年の新版と1962年の旧版とを比べてご覧なさい、といった趣向でしょうか。
ところで、岩波書店のサイトには、このような「試し読み」コーナーもあります。
→ https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/tachiyomi/0256740.pdf これは1ぺージずつの表示ですが、実際の見開きの表示だと、もっと効果的ですね。
なおまた、すでに手に取ってくださった少なからぬ読者が、本にさわった感触、ぺージをくる心地よさ、etc.を伝えてくださいます。工学部のI先生のおっしゃる「書籍の人間工学的な形態論」でしょうか。ほんの少し厚めの紙質、柔軟でしっかりした製本、ほんの少し大きめの本文活字。それからもちろん、本文から左に目を移せば読める原註、訳註‥‥。デザイナと岩波書店の心意気に感謝です。
2022年5月17日火曜日
5月の実家
その後、無人の実家に行ってみました。
同行した長男が感激(!)したほど、樹木が繁茂して、公道や隣家にはみ出しています。街灯や通行する車や人のためのミラーを覆っていた枝葉を切除し、ミニマムの応急処理をしたあとになって、ようやく気付きました。(じつは最初から家の中の気配がおかしいような気がしたのですが、2ヵ月ほど来てないし季節も変わったので、気のせいかと考えました。)
母が使っていた帳面や、手紙、写真の類が畳のうえに散らばって、前回にぼくが行った折に、帰りを急いで乱雑なままにしたのだろうか? そんなはずはないのだが‥‥。
角の部屋のガラス戸が開閉できないと妻が言い出したときに、事態の意味がようやくわかってきました。そのガラス戸のロックの周囲がかろうじて手が入るくらいに破られています。 よく見ると、あらゆる部屋のタンスや引き出し、戸棚(以上、すべて上の段のみ)、押し入れが開いたままではありませんか。空き巣が侵入して、物色したあげく、最後にはアルミ雨戸を閉めて(少なくとも外からは異常とは見えないようにして)退散したあとだったのでした。位牌のない仏壇も、電源を切ってあった冷蔵庫も、だらしなく開いている、と気付いて怖くなりました。
亡父の能面、謡曲の本、ぼくの著書とか、『漱石全集』、昔の『岩波講座 日本歴史』といった類にはドロボーは目もくれず、現金やカード、宝石類を探したのでしょう。‥‥母はカードの類は持たない人だったし、老人ホームに移ってから4年半も経ったので、金目の小物はただの一つも残ってないのでした。 残念でしたね。
それにしても見るからに無人の陋屋で、アルミの雨戸もガタピシ。こんな所にまで、空き巣は「ダメモト」で侵入してみるものなのでしょうか。みなさま、ご用心を!
2022年4月28日木曜日
菊地信義さん 1943-2022
じつはぼくの関係した本で山川出版社から出たものはすべて菊地さんの装幀です。
最初の『深層のヨーロッパ』〈民族の世界史9〉(1990)からずっと、
『民のモラル』〈歴史のフロンティア〉も、高校教科書も、そして
『ヨーロッパ史講義』(2015)も、
『礫岩のようなヨーロッパ』(2016)も、
『近世ヨーロッパ』(2018)のようなリブレットにいたるまで
装幀はすべて菊地信義さんでした。
山川出版社のかつての独特の品位(センス)を表現していたような気がします。
菊地さんと同席してお話できたのは1回きりでした。 「何でも言ってください」とのことでしたが、今はむかし、です。
悼む記事が今日の『朝日新聞』夕刊に載っています。その筆者・水戸部 功さんは、なんと『歴史とは何か 新版』(5月刊)の装幀者です!
山川出版社から出た15冊については、↓のサイトから
www.yamakawa.co.jp/product/search?q=近藤和彦
ご覧ください。もしこれでうまくヒットしない場合は、
https://www.yamakawa.co.jp/product/search/
のぺージから「検索条件」として 近藤和彦 を入れて検索してみてください。





















